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今回の衆議院選挙についての雑感

個人的には大選挙の一つが終わったと思っている。これだけ新党が土壇場で乱立し、くっついたり、離れたり。しかも、政権交代が予想される状況だったから、これは皆一票を投じに投票場へ駆けつけるに違いないと思ったら、投票率は「なんだこれは」と思うような数値だった。日本人として、恥ずかしい。初めて選挙権というものを手にした時代の先人たちが今回の投票率を聞けたとしたら、どう感じただろうか。

その点でいえば、動物愛護運動の先鋭的活動家は、絶対に選挙に行っているはずである。動物の問題に関心を持ち、熱心に取り組んでくれた国会議員を応援したり、政党にアンケートを送ってその結果を公表したりして、投票を促していたことからも伺いとれる。ただ、どれくらいの人が投票先を決める際に動物愛護を考慮するだろうか。ましてやこの、経済、復興、教育、外交、年金、医療費と問題が山積している状況下で、動物愛護を最優先事項にしている人がいるんだろうか。

動物の問題は少なくとも経済、教育、同和と密接に関わっている。まずこれらの問題が解決の方向に回らずして、動物愛護運動は考えられない。活動する団体のデータ公表が悪いとは全く思わない。でも、動物の問題に関心を持つ一有権者としては、動物愛護の観点だけから投票先を決めてほしくはないと思う。多分、包括的に考えた結果ではないその一票は無駄になる。

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# by fussyvet | 2012-12-17 09:38 | 動物

活動に利用されたくなくて

 東日本大震災後のあらゆるジャンルの動物愛護運動家による非常識な「狂騒」に嫌気がさし、しばらくブログを触る気にもならなかったけれど、またゆっくり、つらつらと書いていくことにしました。動物愛護運動、特にアニマルライツ運動に利用されることはご免こうむりたいし、その対極の側にある人たちの現状にも全く賛成しかねる。それでもいずれも意見にも一理あることは当然あるわけで、そんな中で自分の経験から思うことをまた書き出していきたい。

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# by fussyvet | 2012-08-12 21:48 | 動物

「ザ・コーヴ」鑑賞

ザ・コーヴ [DVD]

ポニーキャニオン



日本のイルカ猟を批判したドキュメンタリー映画がアカデミー賞のドキュメンタリー部門で最優秀賞を獲得したという話題から始まり、同映画が国内で上映されることが決定すると上映予定の映画館に街宣車が「反日映画を上映するな」と妨害活動を始めたということで、どんなもんかと思って構えながら見たが、これのどこが反日映画?製作者が外国人というだけで、日本人全体を敵視した内容なんかじゃないじゃない。

全編を通して出てくるのが、「わんぱくフリッパー」の調教師だったリチャード・オバリー氏。彼はフリッパーを演じた複数のイルカの調教師だったが、自分が飼育することで自分の愛するイルカたちがどれほど苦しんでいるかに気づき、イルカの解放運動を始める。もともとは日本での活動などではなく、自国で水族館用に送られるために捕獲されたイルカたちを逃がすため、そこで網を切るなどの非合法的な妨害活動を含めた活動を展開していた人。日本の太地町を標的にするようになったのは、そこが世界中の「イルカショー」への供給源になっていたからだ。

イルカの屠殺現場を撮影するため、彼らはチームを構成する。声をかけられたのは、特撮の専門家、スキンダイバー、冒険家など多種多様なメンバー。太地町に入ってすぐ、見た目で外国人とわかる彼らは警察や漁協から尾行を受ける。町全体が敏感になっていたから、当然と言えば当然。その辺りの攻防と、農水省、IWCにおける日本代表の説明と現実の矛盾、そして、イルカなど海の生態系で上位に立つ動物の水銀汚染を絡めて話が進行していく。映画のクライマックスは撮影に成功した屠殺シーン、そして、その後、その画像を農水省の役人に突き付け、IWCで「屠殺方法は改善され、ほとんどが即死する」と日本代表が説明しているさ中に嘘であると示すように会場に見せて回る。私自身は、イルカを含めた捕鯨反対派が理由とする「知能が高い動物だから」というものには、「知能が低ければよいのか」と反発を感じるが、「屠殺方法が長時間苦しませる方法であるから」という点で私は彼らに賛成だ。ちなみに、牛、豚、鶏の屠殺を見てきたが、イルカ猟よりもずっと苦しむ時間は短い。

リチャード・オバリーは、イルカの調教師だった頃、稼いだお金でポルシェを購入した。それは自分が製作に参加した「わんぱくフリッパー」によってイルカの人気が上がり、経済的価値も上昇し、捕獲されるイルカが増えたせいだったことも知らずに。「私は愚かでいい気になっていた」というようなその自責の念も伝わってくる。太地で撮影した映像を首からかけたモニターに映し出して、IWCのみでなく、東京の街中でたたずむ彼の姿は、道化師そのものだ。それを彼は敢えて自分に課しているようにもみえる。

「反日映画だ」「プロパガンダ映画だ」という声こそ、プロパガンダだろうと思う。多分、裏で関係者が動いているのだろうと思う。そんな声に騙されずに、まあまずは普通の人には見てほしい。そして、考えてほしい。動物愛護に関心のある人もない人も。

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# by fussyvet | 2011-07-09 16:34 | 映画

「20 km圏内」のドタバタ

動物を守りたい人にもいろいろある。愛玩動物を守りたい人、野生動物を守りたい人、畜産動物を守りたい人、そして実験動物を守りたい人。福島第一原発の半径20 km圏内に取り残された動物たち(この場合、愛玩動物および畜産動物)を助けようと、それまで実験動物のアニマルライツに傾倒していた人たちまでも一斉にネット上に集まって、行政に多くの声を電話を呼びかけ、現場の状況も考えず、結果的にその機能をマヒさせるような行為にまで及んでいた。そんなさ中、一人、前線で活動している獣医師がいて、動物愛護な人たちは皆その獣医師に注目し、称賛し、期待をかけていた。

ところが、あるテレビインタビューでその獣医師が、取り残された畜産動物の命をなんとか救おうと、一時的に「実験動物」としてそれらを移送することを提唱した。その途端、その「実験動物」という言葉に反応したアニマルライツな彼女たち、それまでは、他の動物愛護な人たちに便乗してその前線獣医師を応援していたにもかかわらず、ピタッと立ち止まり、「う~ん」とうなっている様子。自分たちがその存在を否定していた動物実験・実験動物が肯定されるような形になり、それはちょっとと立ち止まった。

後先考えず便乗するような行動は何にしても良い結果を生まないわけで…。

前線獣医師は、彼女たちの反応を「過敏だ」とし、説明を加えているが、いずれにしろ、彼が提唱していることが実現すれば(私自身は実効性に乏しいと思っているが)、「実験動物」が増えることには変わりない。その削減を目指している人たちにとって、それを認めてしまっては、自分たちの主張の一貫性が失われてしまう。最初から、アニマルライツな人たちがその思想からできることは、「この悲劇を教訓にして、皆、ベジタリアンになりましょう」「動物の飼育を止めましょう」と呼びかけることだけだったろうと思う。だって、人間が動物を飼育している限り、悲劇はなくならないのだから。

加えてこの一件によく表されていることには、獣医師は、獣医師である限り、決してアニマルライツな側には属しえないこともあるだろうと思う。

私は動物を取り巻く悲劇をなくしたい。でも、こんな一貫性のない人が多い中にあって、それは不可能なんじゃないんだろうか。猫も杓子も集まって、お祭り騒ぎ。ぐったり疲れた1ヵ月、早く収まってほしい。

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# by fussyvet | 2011-05-27 09:57 | 動物

食事とは、もともと食べられないものを食べられる状態にして口に入れることなので

ユッケによる食中毒の死者が4人になったというニュースが入りました。食肉処理の段階での過失なら、一チェーン店だけに収まらず、拡大していくはず。原因食品、原因施設等については、現在調査中ですので、個人としては、これ以上、犠牲者の数字が上がらないことを祈るだけなのですが、ちょっと「食事」ということに関して思うことがあるので、基本的な知識を基に書きとめることにしました。

食中毒予防の三原則は「つけない、増やさない、殺菌」。「つけない」は食中毒原因物質を食材、加工中食品、そして最終食品につけないということ。家庭でも、まな板を魚、肉、野菜で使い分けたりするし、未加工の食材と加工済みの食品とを直接的・間接的に接触させないようにするのは、これにあたります。次に「増やさない」というのは、食中毒原因物質を増殖させないということ。食材、加工中食品、最終食品は常温で長く放置せず、冷蔵庫・冷凍庫で保管するのは、これにあたります。「長く」というのはあいまいなので書いてしまうと、常温で細菌が1回分裂する平均時間は30分、魚介類にもともと付着している腸炎ビブリオにいたっては10分に1回分裂するから、特に食材はすぐに冷蔵庫へ入れた方がいい。

最後に「殺菌」。これは、主に加熱を意味します。調理の最終過程で大抵の食事は加熱が入るけど、これは、もともと固い食材を柔らかくして食べやすくするという意味だけじゃなくて、「殺菌」の意味もあるわけです。ユッケだけじゃなく、刺身など非加熱食品の場合、この加熱がなされないから、食中毒のリスクは大きい。そのリスクを減らすために、「つけない」「増やさない」の二原則が守られなければいけません。「殺菌」のために、生魚は真水に弱い腸炎ビブリオを減らすために水道水で洗ったり、肉であれば、枝肉の段階で塩素水を使って噴射・浸漬させたりしていると思いますが、「加熱」ほどの効果はありません。

食中毒原因細菌によって、感染が成立して発症する細菌数が違います。多くの原因菌は、十万単位、百万単位の個数が口に入らないと、発症はしません。が、中には少ない細菌数で食中毒を起こす菌種があります。サルモネラやカンピロバクターは1万個程度で発症しますし、病原性大腸菌にいたっては、100個程度で症状が出ます。生食用食肉の基準が厳しくて、実際には生食用牛肉なるものは存在しないと言われていますが、食肉処理の段階で病原性大腸菌数を安全なレベルで維持するためには、厳しくせざるを得ないことから現行の基準になったはずです。ネットニュースなどでは、「現行の形骸化した基準を緩和しろ」という関係業者の声が載っていましたが、上の理由から、これはありえないと思います。

「なぜ、その基準を守らせてこなかったのか」という行政への批判があります。施設への通常の立ち入り検査(食中毒事件調査以外ということ)は、各自治体の保健所の食品衛生監視員が一名ずつで行います。そこで、生食用食肉として販売されているものを見つけた場合、口頭指導をするでしょう。が、罰則がないため、そこまでです。中には、「罰金でもあるの?」と言ってきたり、「他の店もやってることだ。なんでうちだけ!」と食って掛かる業者もいます。「人気のある食文化を止めさせることは難しい」という話がニュースに出ていたのは、そういう背景もあるのだと推察します。行政が実際に強制力を発揮できるのは、食中毒事件が起こってしまってからの「営業停止・禁止」「回収命令」措置ぐらいです。

以上は、私が食品衛生監視員であった頃に得た基本的な知識を基にした話です。実際の基準はもっと細分化されていますし、私が仕事をしていた頃から変わったこともありますから、現在の情報は厚労省のホームページで検索してみてください。

今、一消費者として考えることを最後に。そもそも、食中毒はいつでも起こっています。ニュースになるのは、飲食店等を原因施設とする「食中毒事件」だけです。だから、食中毒とはお店で起こるものと思っている人も多いと思いますが、実際には家庭での食事を原因とした食中毒も多い。「食事」とは、本来そのままでは口にできないものを口にできる状態にしてから食べるということです。その意味で「食事」には、外食、内食に関係なく、常にリスクが付きまとう。今、清潔になった日本ではそのような意識は忘れ去られていますが、この事件を一契機として、個人で食事のリスクから家族を守る方法を最確認してみませんか。これから気候が暖かくなってきます。今、室内には朝食時に食べたものが、網やスノコをかけるだけでそのまま放置されていませんか?肉や魚を購入後、どこかへ寄り道などして、常温に長く置くことになっていませんか?外食時、その食事は子供に与えてもいいものですか?

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# by fussyvet | 2011-05-05 12:30 | こうして社会は回ってる