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食用に回していれば、話は別

 昨日の記事の中で、食用に供する目的でなければ「と畜場法」に該当しないと記したけれど、どうも嫌な想像が頭から離れない。

 獣医系大学の病理学または解剖実習では、起立しているウシの前肢の後ろと後肢の前にロープを回して、前後からそのロープを学生が引っ張ってウシを仰臥させる。その際、廃用になったとは言え、元気はウシは当然大暴れするわけで、セラクタール(R)など麻酔薬や鎮静薬が予め投与されるのだけど、酪農学園大学ではその前投与が行われていなかったのはなぜだろうと疑問に思う。まさか、解体して異常が見当たらなかったウシの肉を食肉販売業者なり、農家なり、飲食店なりに転売したり、大学の学祭で焼き肉にして売っていたりしないだろうな。万が一、そんなことが行われていたのであれば、明らかに「と畜場法」「食品衛生法」違反だけれど、いくらなんでもまさか、ね。
 食肉検査員としてと畜場に出向いていた頃、農場で立てなくなったウシをその場でと殺、解体して、検査して欲しいという業者がいたが、私の当時の上司が「と畜場法」の根本を覆す行為だとして拒否した。すると、逆切れした業者が脅し文句で食ってかかり、傍らにいた私たちも本当に恐ろしい思いをした。それでも上司は屈せず、法律を守り、獣医師として私たちの職責を全うしたわけだ。強迫にも屈せず、立場を貫く獣医師もいるわけで、あくまでももしもだが、大学が実習後の解体肉を食用に転売されることを承知で回していたとしたら、これは大問題になるはずだ。BSEの検査もしていないだろうし。
 今回の刑事告発は「動物愛護法」違反だから、「と畜場法」違反についてまで調べられるのか分からないけれど、個人的にはとても興味がある。

 毎年、一人は獣医学生が動物実験を苦に自殺したという話を聞く。国全体で自殺者の数が増えている日本だから、比としたら大したことがないと言われてしまえばそれまでだ。が、自殺の理由として、生活苦であるとか時代を背景にした要因ではなく、一貫して動物の犠牲を苦にして学生を自殺に追いやっている学会が、その事実を無視続けて改善を試みないのであれば、どんな体質の学会なのかと世間は思うだろう。このままであれば、自殺者もなくならないし、内部告発もまた起こるだろう。そして、動物愛護運動も先鋭化するだろうし、賛同者も増えるだろう。一つ一つの事件で「ああ、よかった。」じゃなくて、もういい加減にその一つ一つを学会全体で考えるきっかけにすることが建設的ではないだろうか。
by fussyvet | 2009-08-25 09:55 | 動物 | Trackback | Comments(4)
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Commented at 2009-08-26 01:49 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2009-09-13 11:57 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by ワタシ at 2009-09-30 12:53 x
はじめまして。
ブログにリンクさせてください。
販売をしていたかどうかはわかりませんが、この大学の学園祭では牛や豚の丸焼きがイベントの目玉の一つとなっており、たびたび地元の新聞等でも取り上げられていました。
Commented by fussyvet at 2009-10-16 08:50
 獣医学実習で行なう診療実習と病性鑑定の区別は別々の授業で行なうはずですから、学生にも区別はつくと思います。鎮静は、動物の苦痛等の軽減のためだけではなく、処置を行なう人間の危険回避のためにも行ないます。無麻酔下と言いますか、ウシには麻酔作用があるとされるセラクタール(これはキシラジンを主成分とする鎮静薬の商品名です。キシラジンと言うのは成分名です。)のみを用いて行なう放血殺は、実習でウシを犠牲にする際にどの大学でも行なわれている方法です。セラクタールはウシでは麻酔薬としても用いられる商品ですから、それを用いたウシの解剖実習に問題があり、業務麻痺であるとされるのであれば、少なくとも日本の全ての獣医系大学はそうであることになってしまいます。
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