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義人なし、一人だになし

今は亡くなったが、高校時代の恩師が言っていたことを今でも覚えている。「人間を分類すると4つに分かれる。頭が良くて性格も良い人間、頭は良くて性格が悪い人間、頭は良くないが性格が良い人間、頭も性格も悪い人間。頭は良くないが性格が良い人間は2番目に良く、頭も性格も悪い人間というのは悪い方から2番目だ。最悪なのは頭が良くて性格が悪い人間。これは性悪だが頭が良いのでどうしようもない。一番良いのは頭も性格も良い人間だけれども、私はそんな人間には今まで一度も会ったことがない。」
なるほど、と思ったものだ。頭が良くて性格が悪いとどんな悪さをするか分からないし、頭が良いから始末に負えないということだろう。”知能犯”…か。が、「頭も性格も良い人間」というのに出会ったことがないと言われたのを聞いて、「えっ、そうかな?」と思った。たまにはそういう人がいるんじゃないの、とも…。
が、今になると、あの時先生がどうして頭も性格も良い人間の存在を否定したのか分かるような気がする。他人が人を称して「あの人は頭も良いし、人柄も良い。」と評するのは良しとしよう。が、人間が自分で自分のことを「頭も良いし、性格も良い。自分はできた人間だ。」と思った時点で、その人の価値は地に落ちる。下手をしたら、「最悪な分類」に入る「頭が良くて性格が悪い」人間になりかねない。だって、この世に本当の義人はいないのだから。性格の良い人であれば謙虚であるし、更に頭が良ければ謙虚に自分を振り返って更に前を向いて努力するだろうから、「自分は性格も頭も良い」と立ち止まって「完成」とはしないだろう。
シニカルだけど、いい先生だった。一度だけ怒ったことがある。同級生がウソを付いた時。「私はウソが一番嫌いだ。ウソだけはだめだ。」とその同級生を叱った。…はい、先生、私はどうしようもない人間だけど、自分の良心に正直に生きようと思います。先生も天国で安らかに(おとなしくはしてないだろうなあ)。
by fussyvet | 2004-08-04 12:54 | 徒然
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