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子供虐待の心理が少し分かってきた

 もうすぐ6ヶ月になる息子。乳児湿疹がひどく、医者通い。血液検査で卵白、牛乳、小麦にアレルギーがあることが分かった。どうやらアトピーの気があるらしい。とにかく痒がり、夜の寝入りばなは頭、顔をかきむしってなかなか眠れず、私も傍らで一所懸命薬を塗ってやりながら、やっとの思いで寝かす。眠っていても朝になるまで、ひどい時は1時間おきに痒みで起き、そのたびに薬を塗ったり、痒みを紛らわせるために抱っこして部屋中を歩き回って眠らせてやる。息子もそうだが、私も慢性の寝不足・・・なんて字で書くほど気楽なものじゃなくて、本当に心身ともにくたくたであった。
 それにも関わらず、医者はさらに離乳食は手作りせよなどと教唆する。あったまに来る。これ以上、頑張れない。くたくたなのに、どこにそんな余裕があるのか?こんなに頑張って、こんなに疲れきっているのに、周囲は更に努力せよと無責任にいう。この子の面倒をみるのは私しかいない。そう、私”しか”いないから、私”が”しなければならないのだ。食物アレルギー日記をつけ、離乳食を手作りし、風呂に入って洗うのにも気遣い、薬をきちんと服用あるいは塗ってやる。文字で書けばたやすい。実際はそんなものではない。今までいろいろな業務に携わったが、これほど孤独な仕事はなかった。小さな子を持つ母親はみんな孤独なのかも知れない。
 ふらふらになりながら、今日もまた夜が来る。憂鬱な夜だ。今夜こそは息子は朝まで眠ってくれないだろうか?痒みが劇的に引いていかないだろうか?そんな願いは毎日打ち砕かれ、4月以来、朝まで眠った覚えが無い。いつまで続くのだろう?息子はいつになったら眠ってくれるのか?医者は1歳になったら、などと言うが、それまで私に眠るなと言うのか。あったまに来る。
 そうして、やっぱり夜中に起こされた。眠い、辛い、身体がしんどい。体力は極限である。息子が痒みで泣く。私も一緒に泣きたい。一所懸命に薬を塗ってやる。治まらない。「痒いな、痒いな。そうだよな、痒いよな。よしよし…。」抱っこして家の中を歩き回る。…眠い。夫は眠っている。どうして私だけ。まだ、息子は泣く。イライラする。…そうして、赤ん坊の息子を投げつけたい衝動がやってくる。

 こんな思いはきっと同じような状況になった者でないと分からないだろう。とにかく、追い詰められるのだ。
 自分のイライラを赤ん坊に当たってはいけないなどということは、皆分かっている。小学生ではない。全ての母親はそんなこと頭では理解しているはずだ。
 私の解消法はとにかく昼間のかわいい息子の顔を思い出して、理性で自分を抑制する。そうしていられるうちは、まだ”まし”な方なのだろうと思う。が、これがもっともっと追い詰められた状態で、もっともっと心身ともに消耗したならば…その時は私は冷酷な母親としてマスコミに出るのかも知れない。

 こんなに辛くても、まだ私は恵まれた方なのだろうと思う。こんなこと、書く余裕があるのだから。辛さを心にしまい込み、”孤育て”する母親も大勢いるだろう。虐待する親の全てがそうなのだとは思わないが、外部やその他もろもろの要因で不本意にも追い詰められてしまう親も多いんじゃないかと想像している。

 薬を変えた昨夜、息子はいつもよりよく眠ってくれた。痒みも緩解しているようにみえる。どうか今夜も眠ってくれるように、眠らせてくれるように…、そんなことを毎日夕方になると思い、痒みと睡眠不足を覚悟して布団にもぐる日々。どうか、今夜こそは。
by fussyvet | 2006-06-29 14:28 | 家族
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