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お金持ちと純血種と避妊去勢手術と獣医

 彼の親戚へ挨拶回りをしてきた。緊張もあってとても疲れたが、何とか無事終わった。それはいいとして…。

 3軒回ったが、3軒とも純血種を飼っていた。私はなぜかため息が出た。一頭は輸入して購入したものだった。手入れの行き届いた、とても元気なテリア種だった。
もう一頭はある獣医が繁殖をしていて、そこから手に入れたらしい。小型犬によくある膝蓋骨脱臼症を生まれつき持っており、はや3回の手術をしたという。膝が弱いため、高いところの上り下りは禁忌である。その獣医からは購入費も治療費も要らないと言われたとのことだが、
「当然だよねぇ。獣医から買ったんだよ。それなのにこんな遺伝病を持ってるなんてねぇ。」
その獣医に向けた文句を我ら二人に言われた。
 そしてもう一頭はレトリバー種。これもレトリバーなどに発生する股関節形成不全の徴候があった。

 膝蓋骨脱臼症を煩っている犬は去勢をしていなかった。私はこの犬に大歓迎を受けたのだが、歓迎を受けすぎてその犬は性的にも興奮してしまった。去勢手術を受けていないこの犬は止まらなくなり、ついに最後までいってしまったのだが、興奮が長く続きすぎたのもあって、動悸が激しく、終わった後は大丈夫かと心配するほどグッタリしていた。飼い主が言う。
「この子、4歳だけれど、今から手術受けてもいいかねぇ。」
私は、基礎疾患がなく、麻酔に耐えられるのなら大丈夫だから、去勢手術をした方がいいと言った。統計をとったことはないが、周囲を見る限り、雑種よりも純血種を飼う人の方が避妊去勢手術をしない傾向にあるが、健康な身体にメスを入れたくないのだろうか、あるいはいずれ子供を取って売れるかも知れないと思っているからだろうか。

 その辺りは、田村正和邸など有名芸能人の邸宅が集まる高級住宅地である。田村正和邸の近くを車で通った時は、思わず車から乗り出すようにして見てしまった。私は田舎者丸出しだった。
 小公園があった。犬を連れた人がたくさんいた。私はそんな光景を目にするのは初めてだったが、集まっている犬は全て純血種である。雑種が一頭もいない。あの中に雑種を連れていくのは相当勇気がいることのように思えた。この近所には保健所がないのだろうか?あの中の何人が保健所にも犬がいることを知っているだろうか?お金持ちは動物を得る手段は購入することしか知らないのだろうか?

 これまで私の周囲には都会のお金持ちがいなかった。今回の旅で、動物についても人間についても、全く知らない世界を覗いたようでクラクラした。ああいう無邪気なお金持ちが純血種を購入する限り、動物を生産する人は絶えないし、保健所に持ち込まれる雑種犬がもらわれる機会も増えない。緊張もあるが、別の意味でも疲れる旅だった。

 犬ではなく猫好きな親戚もいた。その人にも
「どうやって手に入れたんですか?」
と聞いてみた。その猫好きなおばさんは、
「どの猫もね、私に寄ってきたのよ。」
と微笑んだ。唯一救われる言葉だった。
by fussyvet | 2005-05-23 06:46 | 動物 | Trackback | Comments(2)
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Commented by fes-sawada at 2005-05-23 17:51 x
英国あたりでは高学歴、高所得層の人たちはシェルターから犬を引きとるほうが多くて低学歴、低所得層がステイタスのために純血種を持ちたがるというデータがあるそうです。実際の階層はどうであれ犬にステイタスを求めることは人間的に卑しい感じがしますね。
都市部のボランティアさんとも以前話しましたが猫の里親希望さんは純血種にこだわる方は少ないそうです。それは猫は家の中にいて人に見せるものではないからで犬は散歩に連れ出して人に見られる機会が多いからだろうと話していました。ステイタスやファッションの一部で犬を買う人たちは犬に対しての知識も持たないまま買う場合が多いのでシェルターに犬がいることや処分されていることももちろん知識にないでしょうし・・・私はそのタイプの人たちはもう異次元の人間だと感じます。
本当に精神的に疲れそうな旅でしたね、お疲れ様。
Commented by fussyvet at 2005-05-24 10:14
fes-sawadaさん、無下に捨てられる動物ばかり見ていると純血種を買い求めるお金持ちが恨めしく思えますね。大金はたいて亡くなった愛猫のクローンを作る技術はアメリカではビジネスになろうとしています。それに対してやはりアメリカの動物保護団体は反対しています。「シェルターにはペットになれる動物たちがいっぱいいる。」と。
私が勤務していた保健所には猫もわんさかと持ち込まれていました。多くは野良猫が生んだ子猫たちです。その数は犬の数を圧倒していました。相対的にはやはり猫も純血種を購入する人の割合が高いのではないかと思っております。あれだけの猫が余っているのを目の当たりにしてしまうと…。
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