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動物実験代替法を人体実験代替法と言い換えることについて

最近、動物実験代替法を人体実験の代替法と言い換える傾向が散見されます。最初、この人体実験代替法という言葉の代替を見たとき、ピンときませんでした。それどころか、普通の人だったら、この言葉を見たときに「大丈夫かな」という感想を持つんじゃないかと思います。

そもそも動物実験は必要ないという考え方に由来するのだと思いますが、今回はこの「人体実験代替法」という言い換えに対して少々批判を加えたいと思います。

動物実験にも数々あります。しかし、その批判の急先鋒がターゲットとするのは医薬品、農薬等の承認に係る非臨床試験ですが、これ自体が既に人体実験代替法であり、そのことは医者や研究者は既に承知のことです。ですから、「人体実験代替法」という言い換えに対して、彼らは「何を言ってるんだ」と呆れるはずです。

さらに、獣医系大学、理学部などヒト以外について研究を行っている教育機関の動物実験は、人体実験の代替法ではありません。だから、「動物実験代替法」を「人体実験代替法」と言い換えることで、逆に獣医系大学、理学部などの動物実験を自ら除外し、動物実験代替法の範囲を狭めてしまうことになります。動物実験代替法学会には獣医系大学の研究者も少なからず参加しているのに。

本当に動物実験をやめさせたいのであれば、「人体実験代替法」という言い換えは止めた方がいいんじゃないかなと思います。あえて言い換えるのであれば、「生体実験代替法」でしょう。これなら、動物実験の苦痛のカテゴリーB以上の動物実験がほぼ全て含まれることになります。あまり意味がないどころか、動物実験の縮小にとって逆効果になる言葉に言い換える必要はないだろうと思うわけです。

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by fussyvet | 2011-02-14 19:37 | 動物

元学生から内部告発された北里大学の動物実験について

 Twitterなどで「無条件」に拡散されているのですが、ちょっと違和感を覚えることもあるので書きたいと思います。

 <内部告発>北里大学での残虐実験!!猫の頭を開き、電極を刺す!!ネズミを画鋲で張り付け!!

 現在、どこかの病院で臨床検査技師をしている元北里大学生からの告発だそうですから、臨床検査技師を養成する課程の実験動物学および生理学実習で行われた実験だろうと思います。私は臨床検査技師の必須課程を知らないのですが、もし、これらの実習が国の定めた必須課程の一つであるなら、なんらかの動物実験をしなくてはいけないのだろうと思います。それは学生が「無意味である」と思うか否かに関係なく、実習自体は実施が定められていて、その単位を取らない限り、臨床検査技師にはなれないということです。

 今回、告発された動物実験は3種類あったようです。無麻酔でマウスを磔にするなどは言語道断(ただし、麻酔後に覚醒させない条件で発泡スチロールにマウスの針で四肢で指すことは、責められません)、また、痛覚のあるカエルの脊髄破壊を不慣れな学生に何度もやらせるのも問題があると思います。麻酔下で猫の頭部に電極を刺入して行う実験は、生理学ではしばしば行われる手法であって、麻酔後に覚醒させない条件下で行うこと自体を責められるのであれば、あらゆる医薬系大学がその非難の的に入ることになります(ちなみに、この猫の実験は必須の実習内ではなく、研究室に所属後、その研究室の研究として行われた[る]ものです)。個人的には猫好きな私には耐えがたい実験ですが、自分に耐えがたいからと言って、その実験を非難し、さらには止めさせることはできるのか?

 今回の内部告発事件に関心を持たれた人のうち、「動物実験は絶対にダメ」とまでは思っていない人、または「よくわからない」人には、告発内容のどこがどういけなかったのか、具体的に考えてみてほしいと思うわけです。

追記:「大学の必須課程として、動物実験が採用されていること自体が問題だと思われる人があれば、では、動物実験に代わる大学教育教材として妥当な実習内容はどういうものなのか、実際に妥当性が認められた方法があるのか、考えてみてほしいと思います。一番の問題は、大学教育における動物実験代替法に取り組む教官、および関心を持つ学生が皆無に近いことなのですが。

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by fussyvet | 2011-02-04 11:39 | 動物

極にいる者

 先週だったか、関西ローカルのバラエティ番組で捕鯨問題が取り上げられた時、オーストラリア人タレントが「いやあ、本当にごめんなさい。」と謝っていた。捕鯨問題でオーストラリアが日本を非難していることから、自衛のための予防策として謝ったのか、本当にオーストラリア人として申し訳ないと思って謝ったのか知らないが、私は彼が謝る必要など全くなかったと思う。彼が謝った時、千原兄弟の髪の毛が薄い方がここぞとばかりに責めていたが、寧ろ日本人としてこいつの言動の方が恥ずかしいと思う。

 「Cove」というイルカ漁を取り上げたアメリカのドキュメンタリー映画の上映に際し、この映画を「反日的」と称した団体が上映予定の映画館へ街宣活動をしかけたために、ぞくぞくと上映中止になっていった。「反日的」な外国映画は、私たち日本人は見て吟味することすら許されないのか?第二次大戦中の言論統制かと思う。非常に時代錯誤の浅はかな人間の活動により、見る自由すら奪われてしまうこの異常事態。そもそも、グリーンピースやシーシェパード等、動物愛護団体の過激な活動がしばしば取りざたされるし、実際に国内の動物愛護団体の中にもチンピラ紛いの団体がある。が、それと同じように動物愛護運動に批判的な連中の中にも、どのような類の人間が含まれているのか、「Cove」上映中止騒動から普通の日本人は察しはつくだろうと思う。

 動物愛護運動の是非を唱えるのは、過激な活動家ではなく、普通の一般の人々が考えていくことでしか、”まともな結末”は迎えられないだろうと実感する。

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by fussyvet | 2010-08-01 17:26 | 動物

ヒヨコと動物実験と民意

 文面からして10代か20代の若い人だと思いますが、次のようなメールをいただきました。

「こんにちは。はじめまして。
 動物実験の実態を知り、動物たちがかわいそうで、新聞で知った、○○さんの活動を調べていくうちに、「△△」というブログで、こんな記事を知りました。
(特定のURL)
『東京の国際畜産見本市や各地の農場を見学する。一片の土も太陽もない工場に押し込められた、例えばヒヨコたち。過密状態だと気がたって傷つけ合う。それを避けるためにヒヨコの流れ作業でくちばしを折られていく。おびえて小さな目をつぶるヒヨコ。ときに機械は誤って舌を切り落としてしまうこともある。小さなヒヨコの大きな絶望。』
 私は鳥が大好きで、インコを飼い続けています。このようなこんなことは本当にあるのでしょうか?鶏がお互いにつつかないように、くちばしを焼き切る所があることを知っただけでもショックでした。やめさせる方法はないのでしょうか?考えるとかわいそうで眠れなくなります。
 動物実験についてですが、「動物実験は人間の大罪」とありますが、本当にそう思います。私はシャボン玉せっけんを使い、洗剤を使わないアクリルタワシを使用し、動物実験をしていない会社の製品を使うようにしています。
 また、本で読んだのですが、肉を食べると、動物たちの苦痛で苦しい怨念が、そのまま人間の体に入るといいます。私はそれを読んでから、肉は出来るだけ食べないようにしています。
 動物実験を廃止したり、ひよこの幸せに私に出来る具体的なことはないのでしょうか。教えてください。」

 このメールの送信者、彼女がその実態を知って動物たちがかわいそうになった動物実験というのがどんな内容のものだったのか分からないが、とにかく、それがきっかけでいろいろと関心を持ちつつ調べられたのでしょう。
 このメールに書かれてあるヒヨコのくちばしを切る作業は実際に行なわれていることです。採卵鶏であれ、肉鶏であれ、放し飼いでなく、ケージに複数羽ずつ入れて飼育する一般的な飼育法では、同じケージに入れられた鶏同士が突きあわないようにくちばしを切らねばなりません。卵や鶏肉を今の価格で、近所の販売店で購入することを諦めない限り、やめさせる方法はありません。卵や鶏肉の値段が上がっても構いませんという消費者が増えて、それが「民意」となれば別の話ですが、今のところ、そのような傾向を日本で感じたことはありません。
 それから、動物実験についてですが、「動物実験は人間の大罪」という言葉はアニマルライツの思想を持つ人や団体のホームページなどに書かれているものですが、上のヒヨコの話と同様、今のように病院へ通って、薬局で薬を購入すること、それから、今の価格で石鹸、洗剤などを購入することを諦めない限り、動物実験を減らすことはできても全廃にすることはできません。新しい治療方法や薬、石鹸・洗剤はもう要りませんという消費者が増えて、それが「民意」となれば別の話ですが、今のところ、そのような傾向を日本で感じたことはありません。
 状況を変えるのは「民意」です。民意は、保守的な考え方であれ、革新的な考え方であれ、どちらかの考え方に大勢の人、つまり、一般大衆が大きく傾いたときに決定されます。今のところ、ヒヨコや動物実験に対して一般大衆はそれほど関心を持っていません。少しでも多くの人が関心を持ってくれるといいですねとしか、私には答えられません。

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by fussyvet | 2010-01-22 13:08 | 動物

第22回日本動物実験代替法学会学術大会に行ってきた

 第22回日本動物実験代替法学会について、長い文章を書いたのに、Internet Explorerの不具合のお陰で、消えてしまった。あの長い文章をもう一度書く気力もないので、まとめだけ。

・開催地が大阪であったせいか、市民シンポジウムの一般参加者が少なかった。
・動物愛護団体の参加も少なかった。
・獣医系大学の学生もいなかった。
・獣医師の参加もほとんどなかった。
・昨年、ある動物愛護団体を怒らせたと聞いたので、今年はどうかと様子を見ていたが、大した対立もなく終わった。
・学会発表としては、3Rのうち、Replacementに集約されつつある。
・そのReplacementの道のりもまだ長く、悲観的。
・化粧品におけるReplacementすら危ういのに、医学系研究における動物実験はなくならないだろう。
・獣医師としてできることは、RefinementとReductionであることを確信。
・教育における代替法は、学生による打ち上げ花火的活動では持続性がなく、教官の意思による参加が不可欠。
・研究者と動物愛護団体が参加する唯一の学会で、双方の確執は非建設的。
・動物実験の全廃は無理でも、無駄な実験を減らすことはできる。そのためには、巨大研究機関だけでなく、公には知られていない研究機関を含める(意識を変えるための)法制化が不可欠(そこに、研究者側と動物愛護団体との話し合いの意義がある)。

 まあ、こんなところ。
 Internet Explorerに怒っています。


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by fussyvet | 2009-11-16 11:12 | 動物

イヌ・ネコの譲渡を行なっているボランティア団体について

 6月11日付の記事に対してメールをいただいた。因みに通常、余裕もないのでメールへの個別の返信はできないし、今後もできません。

fussyvet 様

 こんばんは
 昨年12月に殺処分の方法について質問させていただいた○○です。久しぶりにブログを拝読させていただきました。

 6月11日付けの記事について少し意見を述べさせてください。

「何のための運動なのか、本質を欠いた運動に明日が来るわけはない。が、しかし、どんな運動においても、悪質な団体の存在は運動の促進を妨げるだけではなく、運動自体を疑問視され、さらには後退させる要因となり、そのような団体は排除していかなければならない。」

という部分に関してですが、fussyvet 様が言及されているような明らかに悪質な団体が批判されるべきなのは当然ですが、悪質な部分が表に出てこない「愛護団体」も多々あると私は考えています。

 これらの「愛護団体」は明らかに悪質な団体と裏でしっかりつながっているのであろうと、思われますけれど、このような団体は一見よい活動をしているので排除の対象と位置付けられることはまずないでしょう。

 fussyvet 様のリンク集にも、そのような 私が?と考えている団体が入っていますが、通常、裏に隠れた悪質な部分を把握することはきわめて困難ですし、愛護団体の良し悪しを問題にすることは確かに重要ですが、愛護団体の必要性について考えてみることの方がより重要ではないかと思います。

 善意からであれ、あるいは裏に隠れた悪質な動機(金銭的な利益を得ることが目的)からであれ、動物にぶらさがって生計を維持する活動であるのなら結局のところ、どのような団体であっても、ある意味、たいした違いはないと考えています。

 つまり、例えばかわいそうなイヌ・ネコを助ける活動をすることで生活しているのであれば、その前提として、人々がイヌやネコを飼う社会であることが必要不可欠ですから、ここにおいて唱えられる動物愛護は幻想でしかないでしょう。



「正規の手続きを踏んだ結果、問題のある団体が淘汰されることは全体的な運動のためになり、イヌ、ネコに限らず、よりよい動物との共存のためには悪質な団体は是非とも淘汰されなければならないと思う。」

 前述したように、その団体が悪質か否かを見極めることはきわめて困難な場合がありますから、仮に明らかに悪質な団体が淘汰されたとしても、悪質な部分が表に出てこない団体はしっかり生き残るでしょう。

 私は、動物愛護あるいは動物福祉を強調する活動は必要ないのではないかと考えています。それより、fussyvet様もおっしゃっているように、「ライフスタイルの見直しで犠牲を減らすことができる」
という点を強調すべきではないかと常々考えています。例えば、イヌやネコに関して言えば「人間、イヌやネコを飼わなくても生きていけるじゃない?」と主張できますし・・・

  「動物愛護運動を推進したいなら、問題のある団体を淘汰せよ」

とは言っても、イヌやネコを飼うのも自由ですから、飼い主に全ての責任を帰すべきだという方向でモノを言うべきではないかと考えています。すなわち、動物愛護団体に属することや動物愛護の活動に意義を見出す発想あるいはこれらを肯定する
発想から脱却すべきではないかと思うのですが・・・



 これに対する私の考えは以下の通りです。


 まず私自身は思想的改革派・現実主義的右派中道です。つまり、

> つまり、例えばかわいそうなイヌ・ネコを助ける活動をすることで生活しているのであれば
> その前提として、人々がイヌやネコを飼う社会であることが必要不可欠ですから
> ここにおいて唱えられる動物愛護は幻想でしかないでしょう。

とおっしゃることには全面的に賛成ですし、また、

>   「動物愛護運動を推進したいなら、問題のある団体を淘汰せよ」
> とは言っても、イヌやネコを飼うのも自由ですから、
> 飼い主に全ての責任を帰すべきだという方向でモノを言うべきではないかと考えています。
> すなわち、動物愛護団体に属することや動物愛護の活動に意義を見出す発想あるいはこれらを肯定する
> 発想から脱却すべきではないかと思うのですが・・・

という部分についても、私も理想として同様に考えています。

 しかし、現実を考えた場合、「無責任な飼い主」に当てはめられるような飼い主は後を絶ちませんし、これから先もいなくならないだろうと思います。そして、悪質なブリーダーによる多頭飼育崩壊もです。それを考えた場合、動物の権利を主張するのであれば、究極的には人間がイヌ・ネコ等を”飼育”しないのが、一番良いだろうと思います。しかし、現実的にはそれも近い将来でも無理だと思いますから、まず、とりあえず動物の福祉に重きをおかなくてはならないだろうと思います。そうなると、やはり今現在、危機に陥っている動物たちをどうするのかを考えたら、行政による殺処分、譲渡、および動物愛護団体による類似業務が必要不可欠だと思います。行政のみで行なえれば一番いいと思いますが、財政、人員を考えれば、絶対的に無理です。
 怪しい団体は少なからずありますし、裏でつながっているかも知れません。私がリンクしている団体は、私自身が今現在信用している団体ですから、それが信頼に値しないと思われるのであれば、是非、教えていただきたいと思います。が、いずれにしても、動物愛護団体を全否定することは、今現在はできません。

 私が当該記事で言いたかったことについて、動物愛護団体に属することや、動物愛護の活動に意義を見出すことの推進であると捉えられたのであれば、残念ですが、そうではありません。あそこで、敢えて問題のある動物愛護団体と抽象的に書いたのは、どこの団体も身に覚えがあれば、自分たちのことを書かれているのではないかと思うかもしれない、それを狙って故意にあのような表現としました。おっしゃるように、どこまでが悪質でどこまでが良質であるのか、定義することなど難しいからです。しかし、少しでも改善点が見出される団体であれば、それを直すよう、努力もされるでしょう。しかし、それでも私は動物愛護の活動に意義を見出すよう鼓舞したいわけではありません。

 全くイヌ・ネコの悲劇がなくなれば、動物愛護団体も必要ありません。そんな社会を願っていますし、自分たちの活動が不要になる時代が来ることを願っている活動家も、当然ながら、大勢います。

 以上、記事の趣旨の補足説明としてご理解いただけたのなら幸いです。


 最初のメールの送信者は、動物愛護を唱えることで食べていっている人たちや寄付を募る人たちに相当な不信感を抱かれているとのこと。高い譲渡率を誇るところも、その裏ではいい加減な譲渡によるものであることを情報公開請求にて知ったとのことでした。さらに返信にて、余裕があれば、情報公開請求をお勧めされたが、この方は御存じなのかどうか定かでないが、私は9年半行政にいた人間です。過去の職場(他の地域であっても同じ)に情報公開請求する気はいまのところありません。


 いろんなメールをいただきます。気が向いたら、返信する場合もありますが、「単に感情をぶつけたかっただけかな?」と思うメールもあり、原則、直接返信しないことにしています。興味深いメールや励ましのメールもありますが、余裕のない時は、疲れますね。
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by fussyvet | 2009-09-23 08:25 | 動物

食用に回していれば、話は別

 昨日の記事の中で、食用に供する目的でなければ「と畜場法」に該当しないと記したけれど、どうも嫌な想像が頭から離れない。

 獣医系大学の病理学または解剖実習では、起立しているウシの前肢の後ろと後肢の前にロープを回して、前後からそのロープを学生が引っ張ってウシを仰臥させる。その際、廃用になったとは言え、元気はウシは当然大暴れするわけで、セラクタール(R)など麻酔薬や鎮静薬が予め投与されるのだけど、酪農学園大学ではその前投与が行われていなかったのはなぜだろうと疑問に思う。まさか、解体して異常が見当たらなかったウシの肉を食肉販売業者なり、農家なり、飲食店なりに転売したり、大学の学祭で焼き肉にして売っていたりしないだろうな。万が一、そんなことが行われていたのであれば、明らかに「と畜場法」「食品衛生法」違反だけれど、いくらなんでもまさか、ね。
 食肉検査員としてと畜場に出向いていた頃、農場で立てなくなったウシをその場でと殺、解体して、検査して欲しいという業者がいたが、私の当時の上司が「と畜場法」の根本を覆す行為だとして拒否した。すると、逆切れした業者が脅し文句で食ってかかり、傍らにいた私たちも本当に恐ろしい思いをした。それでも上司は屈せず、法律を守り、獣医師として私たちの職責を全うしたわけだ。強迫にも屈せず、立場を貫く獣医師もいるわけで、あくまでももしもだが、大学が実習後の解体肉を食用に転売されることを承知で回していたとしたら、これは大問題になるはずだ。BSEの検査もしていないだろうし。
 今回の刑事告発は「動物愛護法」違反だから、「と畜場法」違反についてまで調べられるのか分からないけれど、個人的にはとても興味がある。

 毎年、一人は獣医学生が動物実験を苦に自殺したという話を聞く。国全体で自殺者の数が増えている日本だから、比としたら大したことがないと言われてしまえばそれまでだ。が、自殺の理由として、生活苦であるとか時代を背景にした要因ではなく、一貫して動物の犠牲を苦にして学生を自殺に追いやっている学会が、その事実を無視続けて改善を試みないのであれば、どんな体質の学会なのかと世間は思うだろう。このままであれば、自殺者もなくならないし、内部告発もまた起こるだろう。そして、動物愛護運動も先鋭化するだろうし、賛同者も増えるだろう。一つ一つの事件で「ああ、よかった。」じゃなくて、もういい加減にその一つ一つを学会全体で考えるきっかけにすることが建設的ではないだろうか。
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by fussyvet | 2009-08-25 09:55 | 動物

酪農学園大学が刑事告発された件

 JAVA「動物実験の廃止を求める会」が酪農学園大学の学長を相手取り、通称動物愛護法違反容疑で札幌地検に刑事告発したそうです。以下、同サイトから引用

引用ココから*****
 酪農学園大学獣医学科では、牛の病理解剖や剖検、解剖実習、殺処分において、鎮静剤(キシラジン)もしくは筋弛緩剤(サクシニルコリン)の接種のみしか行っていない状態、つまり、牛を意識や感覚が明瞭である状態で、学生達が力づくで牛を横倒しにして、押さえつけ、首を切り開き、頚動脈を引っ張り出して切断し、放血(血をすべて流れ出させる)させて殺しています。牛は大変な苦痛と恐怖を味わいながら死んでいくのです。

 その他、筋弛緩剤(サクシニルコリン)と獣医用薬品ではない科学実験用の試薬である硫酸マグネシウムを注射し、全身、特に呼吸筋と神経系機能を侵し、窒息死させたり、牛舎や牛の体を消毒するための逆性石鹸「パコマ」を静脈内に投与し、酸素欠乏に陥らせて殺処分する、といった方法も用いられるケースがあるのです。

 虐殺の実態は、酪農学園大学の獣医学生など関係者からの内部告発で明らかになりました。その実態は以下のとおり、非常に凄惨です。
***************************

 筋弛緩剤を頸静脈に打ち、牛が倒れたら「足結び係」が足を結び「放血係」が首を刀で裂き、頚動脈を引き剥がし、鉗子で動脈を挟み、ハサミで切れ込みを入れ、バケツにつながるチューブを動脈内に挿し込み、鉗子をはずし放血をする。
 眼瞼反射や肛門反射で死を確認し、足のロープにフックを掛け、吊り上げて体重を量る。解剖室中央に牛を移動させ(天井からフックのついた牛を左右に移動できる機械がある。有線のリモコンで操作。)頭をはずし、また牛を移動させ、台に降ろし、四肢をまずはずし、そのあと「腹出し係」がお腹を刀で裂き、腸、胃、肝臓などを取り出す。
 そして「胸出し係」が胸くうを空け、肺と心臓を取り出す。一方では「脳出し係」が脳を出している。
子牛の場合は、ドンと押せば倒れるので、その要領で倒し、足を結び、いきなり刀で首を裂く。時折、子牛を連れてくる研究室の学生がキシラジンを打っていたが、牛の意識ははっきりしていた。子牛の場合はチューブを動脈内に挿しはせず、ズバっと切って血が流れるままにする。動脈は体の深部にあるので、深く切る。殺される牛の中にはそれほど弱っていない牛もいた。その際、牛がモーモー!!!!!!とひどく苦しそうに、大きな叫び声をあげることがあったが、放血を担当していた当時の病理学教室の大学院生がそれに対し、「モーモー!!!!!だってよ、アハハハハ!!」と笑ったこともあり、その光景はまさに地獄絵図のようだった。
まだ鳴いている子牛に先生が近づき、刀で気管を切り裂いたこともあった。

***************************

 その女子学生は、この残酷な殺処分方法に対して、勇気を振り絞り、「せめて麻酔を打って欲しい」と学長に直訴しました。しかし、彼女の訴えを学長は黙殺し、この残酷な方法を続けました。女子学生は、日々、行われる牛の虐殺のことで悩み続け、昨年10月末、首をつり自殺をしたのです。彼女の死後も大学は何ら改善を行っていません。

 動物愛護法の第40条第1項において、「動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならない」と定められており、同法に基づく「動物の処分方法に関する指針」の第3 処分動物の処分方法においては、「処分方法は、できる限り処分動物に苦痛のない方法を用いて意識喪失の状態にし・・・」とある。そして、「苦痛」の定義として、肉体的な痛みだけでなく、精神的苦悩、恐怖、不安等も含まれると定められています。
動物愛護法第44条第1項において、みだりに愛護動物を殺すことが禁じられているにも拘らず、酪農学園大学では、被告発人によって、年間約500頭にものぼる数の牛が虐殺の犠牲となっているのです。

 現在、JAVAでは、刑事告発とは別に、酪農学園大に対して、即時改善を要請していますが、全国には16の獣医大学があり、酪農学園大以外でも、同様の方法をとっている大学があると思われます。
 この酪農学園大学への活動は、獣医学教育における動物実験を廃止させるための第一歩となる重要な活動と考えています。

引用ココまで*****

 少し前に酪農学園大学の学生がウシの解剖実習に悩んで自殺したという噂は聞いたのですが、詳細はここから出ていたんですね。因みに私が学生の頃の同じ実習では、学生40人に対し殺した牛は数頭でした。年間500頭というのは学生数に比しても多いかな。まあ、酪農家から廃用となった乳牛の譲渡を受けやすい条件下にあるのだと思います。それから、私の学生の頃は、最初に牛に対してセラクタールという薬剤を筋注してから倒したこと、頸動脈からの放血時に皮下に局所麻酔薬を投与していたこと等がここに記載された酪農学園大学の方法と相違する点です。「パコマ」を静注する方法は、投与された動物は見た目には静かに死んでいくため、酪農家、養豚農家で病気で動けなくなった家畜にはよく用いられる方法です。”簡単”で”安価”でしかも消毒薬ですから、感染症が疑われる場合、消毒効果もあって一石三鳥くらいの感覚です。パコマは麻酔薬ではないのですが。
 まあ、モーモー鳴きながら死んでいく牛を嘲笑った大学院生がいるという時点で、大学の品格が問われます。そういえば、私のいた大学の医学部では、献体された遺体解剖実習で、切断された耳を壁に当てて、「壁に耳あり。」と冗談を言った医学生が退学になったという噂があり、当時、「さすが医学部だな。獣医学部ではどうして退学にならないんだろう?」と思ったものです。私の同級生は、カエルの足を使って冗談を言っていましたから。ウシの解剖実習では、ずっと飼育実習で使ってきたシズカという名前の乳牛を最初に使いました。私が大学の実習で泣いたのは、それが最初で最後です。泣くことは恥ずかしいことだと思っていたから、隅の方にいってましたが、気付いた同級生の一人が「泣くな。」とやさしく声をかけてくれました。その同級生は今、母校で教授をしています。
 夕べ、ちょうど学生に戻った夢を見ていて早朝に目が覚め、今見つけた記事です。タイムリーにいろいろ思い出させてくれますな。
 上記の様子を読んで、”地獄絵図”だと思った人は、獣医系大学に行かない方がよいかも知れません。上記の方法で主に問われるべき点は麻酔薬使用の有無だろうと思います。残りの部分はどこも同じやり方でしょう。確立された方法ですから。ことの成行きを興味深く見守りたいと思います。

 ちなみに、ウシを殺してもよいのは「と畜場法」で「と畜場」だけと決まっているのではないかと疑問を抱かれている人を見かけましたが、同法で定められている「と畜場」とは「食用に供する目的で獣畜をとさつし、又は解体するために設置された施設」(第3条第2項)ですから、食用に供する目的以外、つまり実験・実習でとさつする場合は同法に含まれないはずです。
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by fussyvet | 2009-08-24 04:55 | 動物

昨日の記事に追加

 下記URLにて判決文全文が読めます。興味がある方は是非、お時間あるときに読んでみてください。

http://arkbark.net/pdf/arkangelscase.pdf

 特に16ページ以降に書かれている事実関係。無理やり役員になることを迫ったり、里親候補者やその他に威圧的に振るまったり、関係に亀裂が入った途端、それまでの費用を全額請求したり…。どこかの威圧的左翼団体の糾弾会主催団体の人が頭に浮かびました。おいおい…。
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by fussyvet | 2009-06-12 13:01 | 動物

動物愛護運動を推進したいなら、問題のある団体を淘汰せよ

 動物の福祉でも動物の権利でも、どちらでも構わないが、動物愛護運動と呼ばれるものを推進し、さまざまな動物が生存するための環境にまつわる問題を排除したいのであれば、動物愛護団体間における誹謗・中傷合戦など愚の骨頂だと思う。何のための運動なのか、本質を欠いた運動に明日が来るわけはない。が、しかし、どんな運動においても、悪質な団体の存在は運動の促進を妨げるだけではなく、運動自体を疑問視され、さらには後退させる要因となり、そのような団体は排除していかなければならない。

 大阪に拠点をおく大規模動物保護団体が、別の動物愛護団体に対して名称使用の禁止等を求めて起こしていた訴訟は原告が勝訴した。高裁まで持ち込まれるようだが、とりあえず、これまでの名称は使えなくなった。この団体に関しては、過去記事でも取り上げたことがあるけれど、一方的で独善的な行政非難、募金の不透明な使い道等、問題が多かった。判決後、そのホームページに掲載された文章を読んで見た。名称が使えなくなったのなら、それを変更すればよい。そもそも、原告が怒った理由は、あたかも自分たちと関連した団体であるかのような名称を利用して、警告したにも関わらず、疑わしい活動を続けたことである。
 今後の抗告審を見守りたいが、どうしてこのような怪しい活動を続けるのか、理解できない。個人的には初めての団体にはいつも警戒しているし、怪しい団体には近付かないようにしているが、正規の手続きを踏んだ結果、問題のある団体が淘汰されることは全体的な運動のためになり、イヌ、ネコに限らず、よりよい動物との共存のためには悪質な団体は是非とも淘汰されなければならないと思う。
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by fussyvet | 2009-06-11 15:02 | 動物