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食事とは、もともと食べられないものを食べられる状態にして口に入れることなので

ユッケによる食中毒の死者が4人になったというニュースが入りました。食肉処理の段階での過失なら、一チェーン店だけに収まらず、拡大していくはず。原因食品、原因施設等については、現在調査中ですので、個人としては、これ以上、犠牲者の数字が上がらないことを祈るだけなのですが、ちょっと「食事」ということに関して思うことがあるので、基本的な知識を基に書きとめることにしました。

食中毒予防の三原則は「つけない、増やさない、殺菌」。「つけない」は食中毒原因物質を食材、加工中食品、そして最終食品につけないということ。家庭でも、まな板を魚、肉、野菜で使い分けたりするし、未加工の食材と加工済みの食品とを直接的・間接的に接触させないようにするのは、これにあたります。次に「増やさない」というのは、食中毒原因物質を増殖させないということ。食材、加工中食品、最終食品は常温で長く放置せず、冷蔵庫・冷凍庫で保管するのは、これにあたります。「長く」というのはあいまいなので書いてしまうと、常温で細菌が1回分裂する平均時間は30分、魚介類にもともと付着している腸炎ビブリオにいたっては10分に1回分裂するから、特に食材はすぐに冷蔵庫へ入れた方がいい。

最後に「殺菌」。これは、主に加熱を意味します。調理の最終過程で大抵の食事は加熱が入るけど、これは、もともと固い食材を柔らかくして食べやすくするという意味だけじゃなくて、「殺菌」の意味もあるわけです。ユッケだけじゃなく、刺身など非加熱食品の場合、この加熱がなされないから、食中毒のリスクは大きい。そのリスクを減らすために、「つけない」「増やさない」の二原則が守られなければいけません。「殺菌」のために、生魚は真水に弱い腸炎ビブリオを減らすために水道水で洗ったり、肉であれば、枝肉の段階で塩素水を使って噴射・浸漬させたりしていると思いますが、「加熱」ほどの効果はありません。

食中毒原因細菌によって、感染が成立して発症する細菌数が違います。多くの原因菌は、十万単位、百万単位の個数が口に入らないと、発症はしません。が、中には少ない細菌数で食中毒を起こす菌種があります。サルモネラやカンピロバクターは1万個程度で発症しますし、病原性大腸菌にいたっては、100個程度で症状が出ます。生食用食肉の基準が厳しくて、実際には生食用牛肉なるものは存在しないと言われていますが、食肉処理の段階で病原性大腸菌数を安全なレベルで維持するためには、厳しくせざるを得ないことから現行の基準になったはずです。ネットニュースなどでは、「現行の形骸化した基準を緩和しろ」という関係業者の声が載っていましたが、上の理由から、これはありえないと思います。

「なぜ、その基準を守らせてこなかったのか」という行政への批判があります。施設への通常の立ち入り検査(食中毒事件調査以外ということ)は、各自治体の保健所の食品衛生監視員が一名ずつで行います。そこで、生食用食肉として販売されているものを見つけた場合、口頭指導をするでしょう。が、罰則がないため、そこまでです。中には、「罰金でもあるの?」と言ってきたり、「他の店もやってることだ。なんでうちだけ!」と食って掛かる業者もいます。「人気のある食文化を止めさせることは難しい」という話がニュースに出ていたのは、そういう背景もあるのだと推察します。行政が実際に強制力を発揮できるのは、食中毒事件が起こってしまってからの「営業停止・禁止」「回収命令」措置ぐらいです。

以上は、私が食品衛生監視員であった頃に得た基本的な知識を基にした話です。実際の基準はもっと細分化されていますし、私が仕事をしていた頃から変わったこともありますから、現在の情報は厚労省のホームページで検索してみてください。

今、一消費者として考えることを最後に。そもそも、食中毒はいつでも起こっています。ニュースになるのは、飲食店等を原因施設とする「食中毒事件」だけです。だから、食中毒とはお店で起こるものと思っている人も多いと思いますが、実際には家庭での食事を原因とした食中毒も多い。「食事」とは、本来そのままでは口にできないものを口にできる状態にしてから食べるということです。その意味で「食事」には、外食、内食に関係なく、常にリスクが付きまとう。今、清潔になった日本ではそのような意識は忘れ去られていますが、この事件を一契機として、個人で食事のリスクから家族を守る方法を最確認してみませんか。これから気候が暖かくなってきます。今、室内には朝食時に食べたものが、網やスノコをかけるだけでそのまま放置されていませんか?肉や魚を購入後、どこかへ寄り道などして、常温に長く置くことになっていませんか?外食時、その食事は子供に与えてもいいものですか?

※本ブログはリンクフリーですが、本ブログ内の文章の転載については、リンク等により記載元としてこちらが分かるようにし、かつ、同一文章を修正または一部抜粋することなく全文を記載してください。同一日付内文章の無断での一部抜粋および加工転載は一切お断りします。
 管理人は仕事、育児および家事にと綱渡り生活を送っております。申し訳ありませんが、いただいたコメントおよびメールについて、個別に返信することができません。ご了承ください。
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by fussyvet | 2011-05-05 12:30 | こうして社会は回ってる

炭酸ガスによる殺処分について(再掲あり)

 以下のような質問を受けました。

 所謂、炭酸ガスによる殺処分の実態についてですが、例えば、「気絶をするから 安楽死だ。」と言う人も居れば、「もがき苦しむから安楽死ではなく、窒息死である。」と言う人も居て、私にはそういった専門的知識もありませんので想像の範囲でしか知ることが出来ません。
 私は一辺倒な考え方を持つ事にとても抵抗があるので、質問したくメール差し上げました。
 炭酸ガスでの殺処分は動物にとって安楽死と言えるのでしょうか?


 これに関して、昨年の実験動物医学会で発表された教育シンポジウムの抄録が公開されていますので、そちらを参考にしてください。なお、この抄録の最後の演題に出てくる効果が高いとされるイソフルラン麻酔の併用ですが、ほとんどの自治体ではイソフルランなどは使われていません。設備、予算の問題等があると思います。それから、二酸化炭素による安楽死についての過去記事は「二酸化炭素による動物の殺処分について(2007年9月3日付)」にあります。
 「気絶をするから、安楽死だ。」「もがき苦しむから安楽死ではない。」は、あくまでも見た目から判断されたものであり、科学的裏付けはありません。もちろん、見た者(殺処分を実施する者)の精神的苦痛も考慮に入れて安楽死を定義する人もいます(実施する者の精神的苦痛が生じる方法は、安楽死と認められず、回避するべき)。動物の苦痛除去を第一に、実施する者の精神的苦痛や実用性(効率、コスト、設備等)をその次に考えて安楽死方法は考えられるべきだろうと思います。今のところ、二酸化炭素はその鎮痛作用によりガイドライン上、安楽死方法として認められている国が多いと思います。が、分かっていないことが多いのも事実で、その解明には今後の研究が必要です(そうすると、この部分についての動物実験を肯定することになります)。一番いいのは、イヌ・ネコの飼育者に審査を設け、商用・個人的趣味を問わず繁殖を制限等して殺処分される動物をなくすこと、実験動物の削減であることは言うまでもありませんが。


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by fussyvet | 2009-09-27 15:50 | 動物

イヌ・ネコの譲渡を行なっているボランティア団体について

 6月11日付の記事に対してメールをいただいた。因みに通常、余裕もないのでメールへの個別の返信はできないし、今後もできません。

fussyvet 様

 こんばんは
 昨年12月に殺処分の方法について質問させていただいた○○です。久しぶりにブログを拝読させていただきました。

 6月11日付けの記事について少し意見を述べさせてください。

「何のための運動なのか、本質を欠いた運動に明日が来るわけはない。が、しかし、どんな運動においても、悪質な団体の存在は運動の促進を妨げるだけではなく、運動自体を疑問視され、さらには後退させる要因となり、そのような団体は排除していかなければならない。」

という部分に関してですが、fussyvet 様が言及されているような明らかに悪質な団体が批判されるべきなのは当然ですが、悪質な部分が表に出てこない「愛護団体」も多々あると私は考えています。

 これらの「愛護団体」は明らかに悪質な団体と裏でしっかりつながっているのであろうと、思われますけれど、このような団体は一見よい活動をしているので排除の対象と位置付けられることはまずないでしょう。

 fussyvet 様のリンク集にも、そのような 私が?と考えている団体が入っていますが、通常、裏に隠れた悪質な部分を把握することはきわめて困難ですし、愛護団体の良し悪しを問題にすることは確かに重要ですが、愛護団体の必要性について考えてみることの方がより重要ではないかと思います。

 善意からであれ、あるいは裏に隠れた悪質な動機(金銭的な利益を得ることが目的)からであれ、動物にぶらさがって生計を維持する活動であるのなら結局のところ、どのような団体であっても、ある意味、たいした違いはないと考えています。

 つまり、例えばかわいそうなイヌ・ネコを助ける活動をすることで生活しているのであれば、その前提として、人々がイヌやネコを飼う社会であることが必要不可欠ですから、ここにおいて唱えられる動物愛護は幻想でしかないでしょう。



「正規の手続きを踏んだ結果、問題のある団体が淘汰されることは全体的な運動のためになり、イヌ、ネコに限らず、よりよい動物との共存のためには悪質な団体は是非とも淘汰されなければならないと思う。」

 前述したように、その団体が悪質か否かを見極めることはきわめて困難な場合がありますから、仮に明らかに悪質な団体が淘汰されたとしても、悪質な部分が表に出てこない団体はしっかり生き残るでしょう。

 私は、動物愛護あるいは動物福祉を強調する活動は必要ないのではないかと考えています。それより、fussyvet様もおっしゃっているように、「ライフスタイルの見直しで犠牲を減らすことができる」
という点を強調すべきではないかと常々考えています。例えば、イヌやネコに関して言えば「人間、イヌやネコを飼わなくても生きていけるじゃない?」と主張できますし・・・

  「動物愛護運動を推進したいなら、問題のある団体を淘汰せよ」

とは言っても、イヌやネコを飼うのも自由ですから、飼い主に全ての責任を帰すべきだという方向でモノを言うべきではないかと考えています。すなわち、動物愛護団体に属することや動物愛護の活動に意義を見出す発想あるいはこれらを肯定する
発想から脱却すべきではないかと思うのですが・・・



 これに対する私の考えは以下の通りです。


 まず私自身は思想的改革派・現実主義的右派中道です。つまり、

> つまり、例えばかわいそうなイヌ・ネコを助ける活動をすることで生活しているのであれば
> その前提として、人々がイヌやネコを飼う社会であることが必要不可欠ですから
> ここにおいて唱えられる動物愛護は幻想でしかないでしょう。

とおっしゃることには全面的に賛成ですし、また、

>   「動物愛護運動を推進したいなら、問題のある団体を淘汰せよ」
> とは言っても、イヌやネコを飼うのも自由ですから、
> 飼い主に全ての責任を帰すべきだという方向でモノを言うべきではないかと考えています。
> すなわち、動物愛護団体に属することや動物愛護の活動に意義を見出す発想あるいはこれらを肯定する
> 発想から脱却すべきではないかと思うのですが・・・

という部分についても、私も理想として同様に考えています。

 しかし、現実を考えた場合、「無責任な飼い主」に当てはめられるような飼い主は後を絶ちませんし、これから先もいなくならないだろうと思います。そして、悪質なブリーダーによる多頭飼育崩壊もです。それを考えた場合、動物の権利を主張するのであれば、究極的には人間がイヌ・ネコ等を”飼育”しないのが、一番良いだろうと思います。しかし、現実的にはそれも近い将来でも無理だと思いますから、まず、とりあえず動物の福祉に重きをおかなくてはならないだろうと思います。そうなると、やはり今現在、危機に陥っている動物たちをどうするのかを考えたら、行政による殺処分、譲渡、および動物愛護団体による類似業務が必要不可欠だと思います。行政のみで行なえれば一番いいと思いますが、財政、人員を考えれば、絶対的に無理です。
 怪しい団体は少なからずありますし、裏でつながっているかも知れません。私がリンクしている団体は、私自身が今現在信用している団体ですから、それが信頼に値しないと思われるのであれば、是非、教えていただきたいと思います。が、いずれにしても、動物愛護団体を全否定することは、今現在はできません。

 私が当該記事で言いたかったことについて、動物愛護団体に属することや、動物愛護の活動に意義を見出すことの推進であると捉えられたのであれば、残念ですが、そうではありません。あそこで、敢えて問題のある動物愛護団体と抽象的に書いたのは、どこの団体も身に覚えがあれば、自分たちのことを書かれているのではないかと思うかもしれない、それを狙って故意にあのような表現としました。おっしゃるように、どこまでが悪質でどこまでが良質であるのか、定義することなど難しいからです。しかし、少しでも改善点が見出される団体であれば、それを直すよう、努力もされるでしょう。しかし、それでも私は動物愛護の活動に意義を見出すよう鼓舞したいわけではありません。

 全くイヌ・ネコの悲劇がなくなれば、動物愛護団体も必要ありません。そんな社会を願っていますし、自分たちの活動が不要になる時代が来ることを願っている活動家も、当然ながら、大勢います。

 以上、記事の趣旨の補足説明としてご理解いただけたのなら幸いです。


 最初のメールの送信者は、動物愛護を唱えることで食べていっている人たちや寄付を募る人たちに相当な不信感を抱かれているとのこと。高い譲渡率を誇るところも、その裏ではいい加減な譲渡によるものであることを情報公開請求にて知ったとのことでした。さらに返信にて、余裕があれば、情報公開請求をお勧めされたが、この方は御存じなのかどうか定かでないが、私は9年半行政にいた人間です。過去の職場(他の地域であっても同じ)に情報公開請求する気はいまのところありません。


 いろんなメールをいただきます。気が向いたら、返信する場合もありますが、「単に感情をぶつけたかっただけかな?」と思うメールもあり、原則、直接返信しないことにしています。興味深いメールや励ましのメールもありますが、余裕のない時は、疲れますね。
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by fussyvet | 2009-09-23 08:25 | 動物

”ペット”を飼う資格審査

 先日、整骨院で治療中、待合室から聞こえてきた会話です。

「…。でね、そのイヌがね、眼鏡を舐めてたのよ。私、もうびっくりして、子供に『捨ててきなさい!』って言ったの。でね、結局、親子もろとも保健所へ連れて行ったの。かわいそうだけど。子供にはワンワン泣かれたよ。今でも言われるもの、『あの時は悲しかった。』って。でも、仕方ないでしょ、眼鏡舐めてたんだから。」

 どうやら、子供がかわいがっていたイヌの親子を眼鏡にいたずらしたことに怒って保健所に引き取ってもらったという内容でした。聞こえてきた会話はこれだけですから、そのイヌの親子がもともと飼われていたのか、子供が拾ってきたのか、分かりません。しかし、この会話から察すると、飼って可愛がり始めたのは子供さんのようです。しかし、”眼鏡”の件が原因で、このイヌの親子にとってもこの子供さんにとっても結果的に重大な悲劇が生じました。
 この会話を聞いているとき、私はペラペラと悪びれもせず整骨院の待合室で受付の女性に話している初老の女性に怒りを感じました。しかし、思い直していろいろなことを仮定して考え始めました。
 そもそも、この女性あるいは他の大人がこのイヌを飼い始めたのであれば、それは無責任極まりない飼い主と言える。自分たちで飼い始めたにも関わらず、イヌの習性も理解せず、眼鏡ごときで親戚など他の飼い主を探す努力もせず処分してしまうなどもってのほかでしょう。しかし、もしもこのイヌを飼い始めたのが子供であったのなら(子供が拾ってきてやむを得ず飼い始めたのなら)、どうでしょうか?捨て犬に同情し、拾ってくることは子供がよくやることです。この場合、”無責任な飼い主”という言葉は当てはまるのでしょうか?私にはどうもその場合に”無責任”という言葉を当てはめることには抵抗を感じます。拾ってきた子供が”無責任な飼い主”でしょうか、それを許した大人がそうでしょうか?私にはどうも違うように思えます。この場合、”無資格な飼い主”だったのではないでしょうか?
 今、ペットの飼育条件には実効性のある法的規制が皆無です。誰でも無条件に飼えてしまいます。海外では飼育者にも”審査”があり、その審査をパスしないとペットの飼育ができない国があります。行政による殺処分数を減らすには繁殖制限と共に飼育者側へ資格審査を設ける必要があるのではないでしょうか。一部の動物保護団体の譲渡条件には既に自主審査がありますが、徐々に一般的あるいは法明記されるとよいと思っています。
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by fussyvet | 2009-03-31 12:48 | 動物

憶測での「言論の自由」の利用

 権利や自由を主張するには、それに見合うだけの責任が伴うはずだ。そうでなければ、民主主義はただの暴徒の塊にしかならない。

 いろんな事件を起こす人間がいるが、その犯罪が起こってしまった理由にはその犯罪者の内的素質とその素質を増幅してしまった人間関係や体験など負の環境因子、そして抑制因子の不在が関わっているだろう。まあ、こういう分析能力が他国に比べて日本がどうなのかは知らないが、そんな犯罪者を作ってしまった環境因子は一つではないだろうと思う。

 一方の言い分だけとりあげて、それを「それが本当なら」と話を続け、結局は自分の思いに見合った方向に話を持っていくことはどんな主義主張を持つ人であっても見られることだけれども、そんなことばかり続く人を個人的に見ていると、もうがっくりと肩を落とさざるを得ない。

 保健所にもとんでもない人間もいたが、良心的な同僚も多かった。私の昔の良き同僚たちが、今回のこの痛ましい事件をどう捉えているか…。聞く機会があったら聞き、「動物愛護運動に携わっている人がこんなことを言っているが、どう感じるか?」と感想を聞き、それらが実現したらここにアップしたいと思う。

 犯罪者を作り出す要因は一つじゃない。犯罪を犯してしまった者の心の根底にあるものも一つじゃない。本人がどう言おうが、潜在意識はあるし、ましてや間に人を介していればそれが簡単に偏向されるものであることは経験を積んだ成人なら知っていることだ。己の主義主張はそんなことすら考慮に入れられなくするほど脳を占有するものか?
 子供に限らず、家族が愛している動物を黙って保健所に連れてくる人にはそれぞれに理由がある。連れてきた家族が悪いことだってある。その後、家族がクレームをつけてきたケースは私自身は経験はないが、そうならないように現代はどこも慎重にしているだろう。仮に馬鹿な職員が対応を間違えてしまったとしても、それだけが犯罪者を生み出してしまう唯一の要因ではないだろう。私が憤慨しているのは、いろいろな可能性が考えられる事象を取り上げて、自分たちの主張に見合うように犯罪報道すら偏向して利用してしまうこと、そしてそれが及ぼす影響についてその危険性と合わせて全く理解していないことだ。
 自分の主張を大切にするあまりに他人を傷つけるような言動は厳に慎むべきだ。その主張が大切であるのならなおさらだ。それにより間接的に困るのは言った本人じゃない。その本人が守ろうとしているものだということに気付かないことが本当に歯がゆい。
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by fussyvet | 2008-11-28 11:15 | 徒然

まあ、いろいろびっくりしますが

 厚生労働省だかを退職した上層部の人たちが、ご自身のみならず、何の罪もないご家族まで巻き添えになる痛ましい事件があり、「年金テロ」だとか騒いでいたのに、容疑者の自供では子供のころに保健所に犬を殺処分された恨みだとかいう話が出てきて、自分の身に置き換えて震えた。私だって、保健所で動物の引き取り業務に関わったのだ。たまたま私が関わった引き取り依頼者の中には事件を起こすような人がいなかった(いや、変な人もいたけれども)だけで、これを”運の違い”と言わずして何と言おうか?…、まあ、まだ真相は明らかでありませんが。
 と、いうようなことを最近は徒然と思っていて、ここの「徒然」に書き足そうかと思っていたのだけれど、他の人のブログでぶっとぶような文章を見つけて唖然としてしまったので書いておきます。

 確かにね、私が社会人になりたての15年くらい前までは確実に陰陽問わず保健所から大学や研究機関へのイヌ・ネコの払い下げが行われていたし、かの事件の容疑者のイヌも保健所で殺処分されずに研究機関に払い下げられた可能性もあるわけです。だからと言ってですね、もしもの仮定としてではあるけれども、「本当に恨まれるべきは誰だったのか?」と暗に含んだ疑問を投げかけられるのはですね、なんていいますか、恨みの矛先を不特定多数の読み手の恣意的な解釈に任せつつも特定のターゲットに向ける意図が伝わってきて、もっともっと背筋が寒くなるわけです。仮にも殺人事件なわけです。何の罪もない家族まで巻き添えになっているような事件なわけです。もしかしたら、「ターゲットが違っていたら、あなたの家族も…。」という脅迫文まで感じます。あまり深く考えずに書かれたのかも知れませんが、重大な結果を引き起こした事件に絡めて話すにはあまりにも無神経ではないですか?またもし逆に、故意に書かれたものであるならば、私は動物実験反対運動に賛同しようとしている全ての人を徹底的に賛同を思いとどまるよう説き伏せたいと思います。

 私は学生時代に保健所から払い下げられた動物を実習に使わされたし、保健所に勤務したことはあるし、その方がおっしゃるところの”ターゲット”としては全てに当てはまり、逃れられないわけですよ。もし、今回の被害者が本当にイヌの仇討のために殺されたのであれば、私も私の息子も私の夫も私の親兄弟も被害者になり得たわけです。そして、それがもしも「かわいそうな動物たちの仇討のため、自業自得だ。」などと思われるのであれば、私はこの世の一切を信用しないし、すべてを呪うでしょう。特に動物の権利を守るため、そのような殺人すら”死刑”と位置づけて行動することが動物愛護運動であるのなら、私はそのような運動は決して許さない。

 誤解を招くような言動は肝に銘じて慎まれた方が良いと思います。特に重大事件に絡めては。それが悪意であるのなら別ですが。自分たちが持ち合わせている良識が自分たちが疑っている研究者の良識と大差ないと言われても仕方ないことになってしまうでしょう。
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by fussyvet | 2008-11-25 12:02 | こうして社会は回ってる

二酸化炭素による動物の殺処分について

 近頃はダルフール紛争を気にかけるあまり動物たちのことはうっちゃっておいたので、罪滅ぼしのために一つ記事を書いておく。
 二酸化炭素(俗に炭酸ガスと呼ばれるが)による殺処分について、特に愛玩用小動物を処分する保健所等の行政機関で行われているものについては、自身の経験から”安楽死ではない”と言ってきた。実際に手を下す同僚の話では、10分15分と炭酸ガスを注入しても息が絶えていない個体がいるという。意識を失って倒れこんだと思われるまでにも決して短いとは言えない時間がかかり、見ているものは皆「これは安楽死ではない。」と思う。しかし、獣医学的にはこの二酸化炭素という物質は特定の動物種について安楽死薬として容認されたものであり、イヌについても二酸化炭素による安楽死が容認・推奨されている。二酸化炭素には麻酔作用および鎮痛作用があるとされている。
 この話をすれば、皆一様に驚く。先日東京で行われた動物実験代替法学会でも二酸化炭素の鎮痛効果についての発表があった。私はこの発表(ラットについての実験結果)を行った演者に尋ねた。
「実際にイヌについても同じことが言えると思われますか?」
「大丈夫だと思います。実際にイヌに使ったことがありますが、1分くらいで倒れます。」
「私は保健所を経験してきましたが、保健所の殺処分では、かなり長く苦しむようにみえます。これはやはり器材の不適当さによるものでしょうか?」
「そうだと思います。」

 現段階での結論としては、二酸化炭素は鎮痛作用や麻酔作用があり、安楽死薬としては容認されている。が、麻酔薬など他の薬剤の方が短時間で意識を消失できることも事実であり、これは一度に多くの個体を殺処分する場合に限られるべきものだと思われる。さらに、二酸化炭素が適切な濃度に達していない段階で殺処分される個体が暴露されれば、意識消失までの時間は延長され苦悶は長引く。現在、自治体で使われている炭酸ガス注入用器械は古いものが多く、確実な濃度の達成と維持ができるとは到底言いがたいものが多い。各自治体で行われている殺処分を「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠したものとするには、殺処分頭数が殺処分実施職員数にとって十分少なくて可能であるならば適切な麻酔薬の過量急速静脈内投与による安楽死により、また、処分数が多く二酸化炭素による安楽死によるならば二酸化炭素が確実に適正濃度に達して維持できる装置を導入するべきであり、漏れなどによる濃度の達成と維持が困難である装置は順次更新されなければいけない。その要望を出すのは、各自治体の住人であるし、意見が多ければ器材導入のための予算をつけやすいと推察する。なお、このことは譲渡による殺処分される動物数の削減や避妊去勢手術の励行による動物人口過剰状態の緩和、動物取扱業に関する規制強化を否定するものではない。

 以上、現在の獣医学的見地から個人的な結論です。

参考:
アメリカの獣医学会による安楽死のガイドライン(2007年)
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by fussyvet | 2007-09-03 12:58 | 動物

環境省のパブリックコメント

環境省 報道発表資料-平成19年8月9日-「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」及び「動物の処分方法に関する指針」の改定案に関する意見の募集(パブリックコメント)について

 9月7日までです。
 私は以下のように意見を送りました。参考にしていただければ光栄ですが、もし、実際に意見を送付する際は、これをコピーして張り付けるのではなく、必ずご自身の意見をご自身の言葉でお送り下さい。なお、メールで送る際は添付文書や参照URLの貼り付けは不可ですので、必ず「意見募集要項」を一読することをお願いします。

*********
 貴職で募集されているパブリックコメントのうち、「動物の殺処分方法に関する指針(案)」について以下のように意見をお送りします。

1. 「第3 殺処分動物の殺処分方法」のうち
「社会的に容認されている通常の方法によること」を「獣医学的根拠に基づいた安楽死方法によること」と訂正。

理由:原案の表現では抽象的過ぎる。見た目、感情による非科学的方法により、殺処分される動物の苦痛が長引くことは動物の愛護および管理に関する法律に反する。この法に則った方法であるべきとするならば、科学的根拠による鎮痛作用を伴う方法でなければならないと考える。この場合、該当する科学分野は獣医学であり、アメリカの獣医学会では安楽死のガイドラインが作成されており、国内でも実験動物医学会および動物実験代替法学会を中心に安楽死についての議論が行われている。既知のガイドラインや専門家の意見を取り入れるのが「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠した方法であると思われる。

2. 「第4 補 則」のうち
「2 …この指針の趣旨に沿って配慮するよう努めること」を「2 …この指針の趣旨に沿って確実に安楽死が行われるよう努めること」と訂正。

理由:「配慮」ではなく、確実に安楽死が行われなければ、行政による殺処分が「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠しているとは社会的に容認されがたい。

名前
住所
所属
電話番号
*********
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by fussyvet | 2007-09-03 12:24 | 動物

犬の抑留施設改善の予算

 以前の記事、保健所による処分は殺処分だけをいうのではないという画期的な判断 1およびで紹介させていただきました通知が5月上旬、実際に各自治体に出されましたが、その後、2007年5月25日の衆議院環境委員会の中で、同じく松野頼久議員の質問をきっかけにして、

・先の通知通り、今後は環境省と協議して施設の実態の調査を行い、改善をはかること。
・厚生労働省も環境省も交付税措置に取り組むこと。

が明言されました。これにより、地方自治体では実際に動物の愛護と管理に関する法律に基づく業務を遂行するため、動物の抑留期間の延長などに必須となってくる抑留施設の改善の予算が取りやすくなります。因みに、質疑応答中に出てきますが、若林国務大臣は犬が大好きで、実際に都の施設から譲渡により犬を飼育されているそうです。立場を問わず、さまざまな経験の人がつながって、動物の諸問題が解決していきますように。
 質問してくださった松野頼久議員は熊本選出の議員さんですが、保健所等での動物の殺処分問題に関して、実際に視察に行かれたり行動してくださる議員さんで、これからもこの問題に取り組んでくださるとのことです。是非応援していきたいと思います。

 おまけですが、FESさんのところ奇跡の母子犬という動画を見つけました。冷酷な私が不覚にも涙してしまいましたが、この動画中の母子犬に起こった奇跡は実際にはほとんど起こりません。「他の犬と滅多に交流しないから。」「うちは雄だから。」「手術はかわいそうだから。」と避妊去勢手術をしない飼い主さんも多いですが、保健所等に持ち込まれる子犬が生まれた理由はいずれも「不覚にも。」です。滅多に他の犬と交流しなくても、一度”不覚にも”交われば妊娠します。自分の大切な飼い犬が雄であって増える心配がなくても、他人の大切な犬を孕ませてしまう恐れがあります。自分の飼い犬にする手術は「かわいそう。」でもその結果”不覚にも”生まれてしまった子犬たちが保健所等に持ち込まれれば更に不幸です。「生まれても飼い主を見つければいい。」そのとおりですが、その機会を譲渡される可能性が1割程度しかない、保健所等で死を待つばかりのイヌにも分けてあげて欲しいのです。

 最後に、5月25日の衆議院環境委員会中のやりとりを抜粋して掲載しておきます。

ココから-------
○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、また委員長を初め各党の皆さんにこうしてお時間をいただきますこと、感謝を申し上げます。

 今回、昨年の十二月からこの環境委員会におきまして、実は三回目のお時間をいただいて、犬、猫の殺処分の問題について、また再び質疑をさせていただきたいと思うんです。

 資料は配られていますね。質疑に入る前に、ぜひこれは皆さんに見ていただきたいんですが、資料の十六ページ、カラーコピーでつけておりますけれども、大変胸が痛むような写真であります。全国で犬や猫が四十万匹こういう形で殺処分されている、これが実態の写真でございます。ぜひ、これに基づいて、この数を少しでも減らしたい、こういう思いで質疑をさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、菅原政務官にきょうは来ていただきました。前回、四月十日の質疑で私が指摘をさせていただいた点について、全国の都道府県並びに政令指定都市、特別区に通知を送っていただきました。環境大臣も同じでございます。資料を冒頭につけてあります。

 このことには大変感謝を申し上げると同時に、全国で狂犬病予防法、動物愛護法の現場で働いている職員さんからも、もちろん、厚労省では前からこういう運用なんですよということをきのうレクの段階でおっしゃっていただいていますが、実際にはこういう運用をしてもいいんだということを知らなかった自治体の職員さんがたくさんいまして、私のところにも電話やメールで随分いただいております。今までは本当に、現場で働いていても、法律のもとで三日目以降は処分をしなければいけない、その処分の仕方は殺すことだけだと思っていて、自分でも胸が痛い思いをしながら、でも仕方がないということで処分を行っていた。

 ただ、この通知が出たことによって、大きく改善ができるのではないかというような声を大変いただいておるのと同時に、以前から私の地元を一つ例にとりまして御説明をさせていただいていましたけれども、私の地元の熊本市は日本で有数の命を助けている自治体でありますけれども、熊本県が同じ基準の中でやはりワーストフォーだったということなんですが、いよいよこの熊本県も百八十度方向を転換して、命を助ける方向に変えなければいけない、こういう動きに実際なってきております。この通知は非常に大きな意味を持つ通知だったのではないかというふうに思っております。

 さて、実際には、この通知を出していただいて、まず、資料一の通知を見ていただければありがたいんですけれども、昨年の十二月に指摘をさせていただいた生後九十日以内の子犬に関しては、狂犬病予防法の適用外だということを明記していただいております。そしてまた、四月の十日に政務官から御答弁をいただいた、処分とは殺処分だけではない、これもしっかり自治体に明記をいただきました。

 ただ、現実にそうなると、では、今まで三日目に殺処分をしていた自治体が方向転換をして、例えば、三日目からは動物愛護法のもとに移して、そこで譲渡先を見つける、要は、飼養に適すると判断をされた犬や猫に関してはできるだけ生存の機会を与えるように、いわゆる動物愛護法の精神にのっとって運用をしようとした場合には、これが一週間なのか十日なのか二週間なのかわかりませんけれども、現実問題としては、保護する数と期間が長くなってくるわけです。そうすると、施設も必要である、えさも必要である、もしかしたらワクチンも必要である、現実的に今度費用がかかる問題というものが出てくるわけです。

 そういう中で、実は私も総務省の方に、狂犬病予防法ではなく動物愛護法、狂犬病予防法はもう既に交付税措置の対象になっていますからあれですけれども、動物愛護法の保護管理に関して交付税措置が今なされていないんですね。要は、一般財源の中で各自治体が行うということですけれども、実際に、それでは、現実問題として各自治体はお金がない中で、本当にその改善がなされるのかということで、今総務省の方で検討していただいているんです。

 ぜひ大臣も総務省の方に検討を働きかけていただきたいんですが、その検討する中で幾つか今問題点があるということがございます。

 まず、どれぐらいの施設を用意したらいいのか、また、どれぐらいの期間の滞留で、その滞留、保護されている期間に何匹ぐらいいるのか、ひいては、えさ代がどれぐらいかかるんだろうか、ワクチンがどれぐらいかかるんだろうか等々、そのことについてきょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、全国ベースでお伺いしたいのは、毎年狂犬病予防法に基づいて捕獲され、要は抑留をされている犬の数、動物愛護法に基づいて、引き取り義務に基づいた形で持ち込まれる保管が必要な犬の数、こういうきちっとした合わせたデータというのはあるんでしょうか。それぞれお答えいただければありがたいと思います。

○菅原大臣政務官 厚生労働省の方で、各年度ごとの抑留の頭数を把握いたしておりまして、直近の十七年におきましては八万八千六百八十七頭、このように今手元に資料がございます。

○若林国務大臣 各年度ごとに、引き取っている犬、猫の数、そして抑留をいたします犬の数、そしてそれらの殺処分をいたしましたものの数といったようなものは、今手元にございますのは昭和四十九年からでございますが、平成十六年度まで手元に用意しております。

○松野(頼)委員 資料の六を見ていただきたいと思うんですが、狂犬病予防法の条文をつけてございます。これですと、二日間公示の後に、市町村長に通知をし、通知を受けたときには二日間公示をしなければならない、この政令の定めるところにより、処分することができる。

 その政令を読むと、「あらかじめ、適当な評価人三人以上にその犬若しくは同条に規定する動物を評価させておかなければならない。」狂犬病予防法施行令の第五条、下の方に書いてありますけれども、これを見ていただければありがたいんですが、この評価をさせなければならない、要は、処分の前に評価をさせなければならないということの規定が書かれているんですね、狂犬病予防法には。

 これはどういう評価で、この評価によってどういう選別をするのか、お答えをいただければありがたいと思います。

○菅原大臣政務官 御通告いただいていないもので、正確にお答えできるかどうかあれですが、その犬のそれぞれの評価そのものというふうに認識をしているわけでございますが、御質問の趣旨と今のお答えが、定かじゃないものですから。

○松野(頼)委員 済みません、一応ざくっと狂犬病予防法ということで通告をさせていただいたんですが、ここまで細かいところはしていないんですけれども、要は、飼養に適するものか飼養に適さないものか、狂犬病予防法でも分けているのか分けていないかというところを聞きたいんですが、それは後で事務方を通じて御報告ください。

 いずれにしても、何が言いたいかというと、まず、狂犬病予防法で抑留をした犬、動物愛護法のもとに基づいて持ち込まれた犬、これが今四十万匹処分をされているということなんですね。要は、この持ち込まれた犬の今九割が殺処分されているんです。ですから、大体四十二、三万匹が持ち込まれているのであろうというふうに思うんです。

 その中で、自治体によって、この間も御紹介しましたけれども、例えば我が熊本の自治体においては、殺処分率は十八年度は八・数%、ただし、生存率、返還率は七五%。二五%から八・数%を引くと、やはり十数%は飼養に適さない犬や猫であったり病気だったりして、これはやむなく殺さなければいけないということです。ですから、こういうやる気のある自治体と、全くそのデータがなくて、やる気のない自治体の中でばらつきがあるんです。

 この平均値をある程度とらなければ、例えば熊本市だったら、六百頭から八百頭年間収容されてくる、その中の七五%が飼養に適したりすることで譲渡ができる、その八・数%も加えると約八割近くが飼養に適するので、頑張れば命を助けられる。とすると、大体六百頭から八百頭の七五%というと、四百頭から六百頭ぐらいです。それを三百六十五日で割ると、大体一日二頭平均。それを十日間なり二週間ということでもし保護をすると、二十頭から三十頭ぐらいの施設が必要ですね。これが補助基準面積に、人口六十七万の中核都市の場合には補助基準面積になるんじゃないでしょうか。例えば、二十頭が十日間のえさは大体これぐらいですねといって割り出せるわけですね。

 ですから、この自治体のばらつきをもう一度ある程度平均化をして、そしてそこで補助基準面積を割り出したりということをしないと、交付税の対象になかなか難しいのではないか。また、全国の引き取りの、例えば譲渡のときには、動物愛護法に基づいて持ち込まれた犬に対して、引き取り手数料を取っている自治体と取っていない自治体があるんです。そこもばらばら。また、譲渡を受けるときに、もらう側に費用を幾ら払っているのかもばらばら。これがばらばらですと、結局、自己財源、自己収入の金額がばらばらなので、要は、一般費、運営費として補助をする場合に一体幾らしたらいいのか、半分は国が見ますよといっても、幾らしたらいいのかというのがわかりません。

 ですから、ここのところを、施設また頭数に関して、どうか早急に割り出していただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

○若林国務大臣 松野委員から、実態の分析を詳細に行っていただいて、具体的に問題を明らかにしていただきました。

 委員がおっしゃるように、交付税の対象として要求をする立場としますと、やはりそういう政策的な判断を加えながらの実態に即した数量的な把握というものがなければ説得力もありませんし、受けた方も処理をするのに大変難しいことになると思いますので、今委員が御指摘になりましたような実態を基礎にしながら、どの程度の水準のものを自治体に要請をするか、それに関連した自己収入についての考え方、見通しも含めまして、要求するのに足りる資料整備を早急に行って、交付税措置は総務省にしっかりと要請していきたい、こんな思いでございます。

○松野(頼)委員 もちろん、全国的な基準、私も環境省とお話をさせていただいたならば、結構あるんです。ただ、自治体によって、前回から御答弁いただいているように、運用がばらばらなんです。

 もちろん、やりたくない自治体まで、これはしようがないことですけれども、もうこういう状況になって、今回の五月一日の通知をいただいたので百八十度方向を転換したいという自治体が結構全国に出てきているんですね。その自治体に対して、やる気のあるところはこういう基準を守っていただければ交付税措置として、項として項目を立てますよということに、私も実は取り組んでいるんですけれども、ぜひ大臣に取り組んでいただきたいのと、来年度のシーリングが九月から始まります。十二月には概算要求が始まります。この辺で、来年度できないものなんでしょうか。ぜひそこの時期的なものを答弁いただければありがたいと思います。

○若林国務大臣 委員のいろいろの深い知見と持っておられるデータなどの御指導もいただきながら、来年度要求できるような体制を整えていきたい、このように思います。

○松野(頼)委員 総務省の方には今実態把握、全国調査をしていただいていますので、大臣からしっかり要求をしていただければ、必ず、まず第一、第二ということで、全国いよいよスタートできますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 私も、けしからぬ、けしからぬと言って、けしからぬだけの議論で終わるのではなくて、やはり建設的な形で、どうやったら殺処分数を減らして命が助けられるのかという議論をさせていただいているつもりでございますので、ぜひ大臣の御尽力をお願いしたいと思います。

 少しそれに関連をするんですけれども、今度は資料の八、この新聞記事を見ていただけますでしょうか。これも、これから基準をつくっていただく施設整備にかかわるところなんですが、これは二〇〇四年の一月三十一日の毎日新聞の記事でございます。

 要は、収容施設の環境が悪い、そして基準がないという、線を引いたところ、施設の衛生状態が悪く、一たん収容されると病気にかかりやすくなる、里親に引き取ってもらうことが難しくなり、殺処分の増加につながる、線を引いた上の段です。下の段では、現在、都道府県動物収容施設に関する明確な基準はないというふうに締めくくっておりまして、全く明確な基準がないんです。

 次に、資料の九、十、これもカラーでつけてあります。

 この写真を見ていただきたいと思うんですが、これはこの二つだけじゃありません、実際の保護施設なり抑留施設の例として、こういうのが全国にたくさんあるんです。とてもこれは飼養にたえ得るものが見つかったときに、十日間、二週間そこに保護して、新しい飼い主を見つける施設では私はないと思います。

 そしてまた、環境省の動物愛護法のもとで定めている、施設の設置基準みたいな指針が一応あるんですね。

 資料の七をごらんください。

 まず、犬、猫の引き取り、上の段です。動物の所有者または占有者の責務、義務、命あるもので動物の所有者または占有者としての責任を十分自覚し、その動物、その種類、習慣等に応じて適正に飼養し、または保管することにより、これは一応自治体も含まれる内容なので、その適正にということが非常にあいまいな文言です。その下、一番下の段をぜひ見ていただきたいと思いますが、犬、猫の引き取り及び負傷動物の収容に関する措置、保管、返還及び譲り渡し、構造等が適正な施設及び方法によって保管をすること、要は、この保護のところでは全く基準が定められておりません。ただ、その真ん中の家庭動物の飼養及び保管に関する基準、ここの「所有者等」、等に、一の健康及び安全の保持の下ですね。等の下に、等は自治体の保護も含むということでありますので、そうすると、飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持、適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生条件の維持に配慮することということなんです。

 この文言とこの写真をぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、全くその文言とはかけ離れた施設であります。風通しがあるのかもわからない、温度がある程度一定に保たれているのかもわからない。そして、ここに一週間、二週間置けるものでは私はないと思うんです。

 大臣、ぜひこの施設の改善と、例えばこの施設は、狂犬病予防法のもとにおける抑留施設なのか、動物愛護法のもとにおける保管施設なのか、ここもぜひ整理をしていただきたいと思うんですが、まず大臣にお願いします。

○若林国務大臣 私も実は犬が大好きでございます。議員になってからは、適正な飼養管理ができませんので、孫が地元におりまして、孫に預けております。また、東京におります孫が非常に犬を欲しがったものですから、今の自治体の方に申し出てみろということを言いましたら、東京都の方に申し出て、すばらしい犬をあっせんいただいて、今、これは中型犬ですが、家の中で飼養しているというようなことでございます。

 そういうような私自身の心情からしますと、委員がお示しになられましたこの劣悪な施設の状況を拝見して、本当に胸を痛めております。このような状況にあります飼養管理の状況は、ぜひとも改善が必要であると思いますので、全国の各自治体の状況を全部一度、状況を正確に把握するのは難しいでしょうけれども、全体の傾向、状況がわかるような調査に努力をいたしまして、この基準の徹底を図るようにしていきたい、努力したい、このように思います。

○菅原大臣政務官 ここ数回の御議論を賜っておりまして、大変松野委員のこの問題に対するお気持ち、とうといものがあると認識いたしております。すべての生あるものに対する生命の尊厳というものは極めて大きなものがあるわけでございまして、その意味において、狂犬病予防法、この趣旨の中で動物愛護の観点を阻害するものではないわけでございます。

 しかしながら、現在の法のもとにおきましては、人への狂犬病の感染を防ぐ公衆衛生上の観点から必要な規制を求めるということが主眼となっておりまして、今るる御議論がございました、同法に基づいて抑留された犬の取り扱いに関しましては、動物愛護の観点の規定というものが現在設けられておりません。

 そういう意味では、動物愛護法に基づいた適切な取り扱いによるものである、このように厚生労働省としては認識をいたしております。

続く-----
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by fussyvet | 2007-07-02 11:24 | 動物

犬の抑留施設改善の予算(続き)

----続き

○若林国務大臣 失礼いたしました。

 先ほど、狂犬病予防法上の抑留施設と動物愛護法上の保管の施設との関係整理をすべきだというお話がございました。

 現在、その重複状況を自治体に対して問い合わせをいたしておりまして、その実態を把握した上で、厚生労働省ともよく協議して、その整理をきちっとしていかなきゃいけないと思っております。

○松野(頼)委員 ぜひ、この施設を見ていただいて、狂犬病予防法の施設なのか、動物愛護法の施設なのかというのは非常にあいまいなんですね。少なくとも、動物愛護法の施設であれば、動物愛護法及びその関連法規の中で示されている施設には適さないわけです、この施設は。ただ、狂犬病予防法の、抑留して三日目に今まで殺していた施設ですよと言われると、ああ、そうだろうなというふうに思うんですね。

 ですから、去年から再三言っているのは、やはり狂犬病予防法の整理と動物愛護法の整理をしてもらいたい。要は、中央レベルでは、この資料の四、これも二月に出していただいた通知ですけれども、こういうチャート図にしていただいているんですが、このチャート図で見ていただいても、狂犬病予防法と動物愛護法、最後に一致するのは殺処分のところだけで、あとは別の線なんですよね。ただ、受ける自治体はごっちゃなんです、施設は。動物愛護法に基づいた施設がある地域とない地域と、運用している自治体とそうでない自治体というのが実際に現場でごっちゃになっているので、そこのところをぜひ整理をしていただきたい。

 同時に、菅原政務官、きのうは随分事務方と議論をさせていただいたんですけれども、狂犬病予防法においては、これはまことに申しわけないけれども、犬の愛護の部分は入っていない。ただ、受ける方の自治体は同じ二つの法律ですから、要は、狂犬病予防法に基づく二日間の抑留期間、動物愛護法に基づく、飼養に適する犬、猫に関してはできるだけ譲渡の可能性を探るようにという動物愛護法と、犬から見ると同じ保護、抑留されている期間に二つの法律がまだかかわっているんですよ。

 では、ちょっと極端な例でお話をさせていただくと、狂犬病予防法で抑留をしている二日間にえさを与えなくてもいいんでしょうか。例えばその間にけったりしてもいいんでしょうか。ちょっとそこを具体例としてお答えをいただきたい、これは極端な例で申しわけありませんが。

○菅原大臣政務官 現在の狂犬病予防法の中で、先ほども答弁の中で申し上げたとおり、動物愛護の観点を阻害するものではない、こういう思いの中で、今挙げられた例については、あってはならない、このように認識しておりますけれども、この問題については、二つの法律にまたがって、またそのすき間の中でいろいろな課題があり、先生からも御指摘をいただき、また本委員会において御議論されておりますから、今後、環境省とよく協議をしながら、この点は問題点を浮き彫りにし、また収れん化していく方向に向けて努めていきたいと思っております。

○松野(頼)委員 できれば厚労省にお願いをしたいのは、たとえ狂犬病予防法に基づく抑留期間でも、動物愛護の観点を忘れずに、もし、その後、三日目に動物愛護として運用するようになった場合、要は、飼養に適する犬を譲渡することも処分の一つだというふうにこの間通知を出していただいたので、その二日間においてもしっかりと、譲渡をして里親に上げたときにもちゃんと健康管理ができるような状態にぜひしていただきたい。このことを政治家としてちょっと前向きに答弁をしていただけないでしょうか。

○菅原大臣政務官 大変重要な御指摘であると認識をいたしております。あくまでも狂犬病予防法の中で、先ほど来繰り返しになりますが、動物愛護の観点を排除するものではない、あわせて、二日間ということにおいては、当然そこにおいての責任があろうかと思っておりますから、今の御指摘を踏まえたことを実効性を上げるべく努めていきたいと思っています。

○松野(頼)委員 どうもありがとうございます。

 非常に前向きな答弁をいただいたというふうに、できれば、こういう施設を改善するときに、またどっちの予算でやったらいいんでしょうか。狂犬病予防法で交付税を要求するのか、動物愛護法で、新たに基準をつくっていただいて交付税を要求するのか、ちょっと御答弁いただけますか。

○若林国務大臣 狂犬病予防法と動物愛護法と、両方にまたがって、それを同じ自治体で受け、現場がその扱いによって困惑し、混乱している自治体もあるやに承りまして、その関係をきちっと整理をすることは先ほどお約束を申し上げましたが、整理すると同時に、いずれにしても、どちらの法律に基づいて飼養管理をするにしても、やはり命を大切にするんだという基本的な考え方に立って処理をしていかなきゃいけないんですが、施設整備については、どちらの方で施設の整備をしていくのか、その後もその施設をこのまま使っていくというような方法もあるのかないのか、そんなことも含めまして、つまり整備した後ですよ、これから両省間で十分協議をし、両省間が重なることがないように、また両省間の考え方が同じ方向を向いているように、要求段階できちっと整理をした上で総務省に交付税措置の要求をしていくようにしなきゃいけない、こんな思いをいたしております。

○松野(頼)委員 時間があと五分になりましたので、前回ちょっとお願いをしました、資料十三をごらんください。

 「動物の処分方法に関する指針」、ここで、第2の定義の(3)、処分、殺処分、致死させることをいう、これは環境省の文書なんですけれども、これは非常に紛らわしいので直していただきたいということを四月十日に申し上げました。直していただけましたでしょうか。

○若林国務大臣 これを改善する、直すということをお約束申し上げました。そこで、これを直すという方針はもう決めているわけでありますが、告示でございまして、告示の改正は、中央環境審議会の意見を聴取するということが必要になってまいります。中央環境審議会にかける、このこと自身は、多分、かければ当然のこととして同意いただけるものと思っておりますが、この機会に、中央環境審議会の動物愛護の関係に、このことだけをかけるんじゃなくて、その他の事項についても意見を聞いて、改善すべきことがあれば改善をした方がいいんじゃないか、そういうふうに私の方から指示をしていることもありまして、何の審議をお願いするか、今整理しているところでございます。いたずらに長引くことがないようにということで、夏までにはこれを整理して、中央環境審議会の方に意見を聞くような形にしたいというふうに考えております。

○松野(頼)委員 大変前向きな御答弁をいただいたと受け取らせていただきます。

 ぜひ、さっきの施設及び今のこの殺処分数を減らすこと、もうこんなものは小さいことなので、ただ、これで混乱をしているということもあるし、これを入り口にして、この動物愛護行政とまた狂犬病予防法の行政のやり方をぜひ根本的なところから改善をしていただきたいということをお願いいたします。

 ちなみに、御参考までに申し上げると、日本の殺処分数というのは世界の中でも高いんです。資料十二につけてございます。これは環境省の資料ですけれども、日本、イギリス、アメリカというデータをとられていますが、日本は、犬、猫、約九割以上、イギリスでは二割から一割以上、アメリカで五割以上。ちなみに、アメリカの下に、民間のシェルターを活用した、要は保護施設を活用した譲渡のやり方みたいなチャート図も、ちゃんと環境省の方でこういうデータを持っているわけですから、これを見て、改善をするところの根本的な議論をぜひしていただければありがたいと思いますし、非常に諸外国に比べて、世界に恥ずかしい数字だというふうに思っています。

 どうも環境省の外郭団体がつくられたパンフレットでは、外国に紹介する日本の動物愛護では、すばらしい施設と、犬と人間が遊んでいる絵とか阪神・淡路大震災のときの絵と、いいところだけが写されていて、さっき御紹介させていただいたような保護施設、抑留施設の写真は全くありませんでした。その姿を見ても、非常に今の現状というものが世界に恥ずかしいというふうに思っていらっしゃるんではないかというふうに思いますので、ぜひ改善をお願いいたしたい。

 あと最後に一点、資料の最後の十七から十八、十九、環境省が平成十七年につくられた、日本動物福祉協会というところに千百四十万相当でつくっていただいた動物検索サイトなんです。これが支出負担行為決議書ですけれども、この千百四十万相当が随意契約ということだったので会計法に照らしてどうなのかなということもあるんですけれども、まあそれはさておいて、実際にこれを稼働させてほしい。

 最後の十九ページをちょっと見ていただきたいと思うんですが、ある民間団体のホームページにこんなことが書いてありました。

 余談ですけれども、佐世保市も環境省収容動物データ検索サイトをことしの三月ごろ導入しようと環境省に問い合わせたところ、その導入の手続が年に一回しかされていないので、四月になったら連絡しますよと言われた、それっきり返事がありませんということが書いてあるんです。

 昨年の十二月に委員会で私が指摘をさせていただいた、資料の十七というのがいわゆるその動物検索サイトなんですけれども、十二月の段階では十三しかつながれておりませんでした。その後、指摘させていただいたので、十八にふえました。ですけれども、きのうの夜検索をしましたら、譲渡動物の検索はまだ十六枚しか写真が載っていないんです。迷子動物は、少し頑張られて九十八件写真が載っていました。ただ全国です。

 まず、百幾つある当該の自治体に対して十八しかつながれていない。一千百四十五万を払って、毎月五十万の管理費を払っている検索サイトに対してこの活用では、余りにもお金の無駄なんではないでしょうか。そして、何でこんなにつながれないんだろうといろいろ環境省に言われても、こういう、問い合わせたところ何の返事もありませんという状況ですので、時間が来ましたので、大臣、これは早急に改善する、どんどんつないでいくということを答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

○若林国務大臣 まず、佐世保市の案件についてでございます。

 この御指摘を受けて聞きましたところ、誤解があったようでございまして、これは県を通じて委託をしているということもあって、手続は実はいつでも受け付けているということでございまして、そのことをきっちり佐世保市の方に、また関係者にお伝えをしなきゃいけないというふうにいたしております。

 なお、このデータベースネットワークが有効に活用されていない。これだけの努力をしてシステムをつくり、費用もかけて管理しているわけですから、委員がおっしゃるように、これがもっと有効に使われなければ意味がないわけでありますので、有効に使われるようなことをどのような形でアピールしたらいいのか、工夫をしながらもっと積極的に使われるようにする指導をしていきたい、こう思います。

○松野(頼)委員 どうもありがとうございました。

ココまで------
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by fussyvet | 2007-07-02 11:22 | 動物