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獣医にひたすらなりたい、高校二年生の女の子からメールをもらいました

先日、また獣医師に憧れる高校生からメールをもらいました。結果的に、今回は以前とは反対のパターンとなりました。

***受け取ったメール***
こんにちは、Aといいます。
私は、高校2年生の女子です。
獣医になりたくて、今勉強しています。

でも親や先生から反対されています。
学力もそうですし、獣医の仕事としてもです。
今の学力では届かない。
私に獣医の仕事が勤まるのか。
いろいろ言われています。

獣医が「動物のお医者さん」ではないことも、動物を死なせてしまうときがあることも、分かっているつもりです。
「獣医師に憧れている若いあなたへ」も読みました。
それでも、獣医になりたいと思います。
正直、賛成してくれている身近な大人はいません。

私のまわりには、残念ながら獣医がいません。
だから私の知識もインターネットやテレビ等と、限られてしまいます。
獣医になることを諦めるつもりは全くありませんが、獣医についていろいろ知りたいと思います。
そこで、暇なときでいいので、質問に答えていただけたら嬉しいです。

高校生のときの学力はどれくらいでしたか。
また、どれくらい勉強していましたか。
獣医になるまでで嬉しかったこと・辛かったことは何ですか。
獣医になってから嬉しかったこと・辛かったことは何ですか。
獣医の仕事の喜び・苦しみは何ですか。
私のような人が獣医を目指すことについて、どう思いますか。

本当に暇なときでいいですし、答えたくなければ返信はかまいません。
ただ、獣医についてのいいことも悪いことも知っておきたかったのです。

今日は、突然メールしてすみませんでした。
また、このサイトを参考・励みにして勉強を頑張っていきたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。

Local Time: 2009/11/20/23:17
***受け取ったメール内容はここまで***



このメールに対して、私は以下のように返信しました。

A 様

初めまして。「動物のお医者さんが見てきたこと」のサイト管理人fussyvetです。

周囲の人の反対や学力の問題など、獣医になるには否定的な要素が多く、また、「獣医師に憧れている若いあなたへ」を読まれたにも関わらず、獣医になりたい理由はなんでしょうか?また、どのような獣医をイメージして、そこまで強く獣医になりたいと思われているのでしょうか?

(私の学力について)
私は中学までは、近畿、東海、関東という地域の区切りの中で総合○位であり、基本的学力が高かった方です。高校に入り、自分の能力を高く見積もりすぎて、勉強を熱心にしなかった時期があり落ちましたが、それでも偏差値は○から○あったと記憶しています。

(どれくらい勉強していたかについて)
高校二年生のときは、部活が忙しくて、熱心に勉強せず、宿題すらサボる始末でした。が、今、思えば、高校二年までは少なくとも宿題だけはきっちり理解できるまで集中してこなすべきだったと思います。そのための勉強時間は人によって違うと思います。時間よりもまずは集中力です。因みに高校三年の秋、苦手な日本史だけを集中して頭に叩き込むために費やした時間は、学校から帰宅してすぐ始めて、決めたノルマが終わるまで、つまり、朝の5時,6時まで勉強するときもありました。

> 獣医になるまでで嬉しかったこと・辛かったことは何ですか。
> 獣医になってから嬉しかったこと・辛かったことは何ですか。

嬉しかったことは、外科の研修生時代に動物が治って飼い主さんが喜ばれたことです。獣医の勉強自体は、とても興味深く、大学時代は充実していました。辛かったことは、動物実験、手術中に亡くなってしまったこと、自分が世話をしていたイヌ・ネコが実験に使われてしまったとき、社会人になって保健所での引き取り業務、食品衛生監視員でヤクザのような人が行政に来て対応しなくてはならず恐怖を感じたことです。

> 獣医の仕事の喜び・苦しみは何ですか。

どんな獣医になりたいのかによります。まず、それを教えてください。

> 私のような人が獣医を目指すことについて、どう思いますか。

正直、このメールで感じられるのは、獣医に対する情熱と強い思い込みのように思いますので、もう少し冷静になって、自分の得意科目から他の道も模索されてみることをお勧めします。

獣医といっても、いろいろです。どんな分野の獣医になりたいのか、また、既にターゲットにしている大学はあるのか、それらが分れば、もう少し具体的に書けるだろうと思います。

大変だと思いますが、高校の勉強は大切です。その時は辛いだけでも、大人になるとそれが分ります。どうか、ひたすら集中して、要領よく的を絞って頑張ってください。

fussyvet
***私の返信内容ここまで***


再び同じ女の子からメールが返ってきました。

お答えいただき、ありがとうございます。

最初は虐待されている動物を助けたいって思いました。
たぶん、それが一番最初です。
動物が好きなのもありますが、テレビで虐待されている動物見て、助けたいと思いました。
それからいろいろ獣医のことを調べて、いろいろなことを知りました。
動物を殺さなければいけないときがあること、動物のためじゃなくて人間のための医者であること。
理想的なことばかりではない、現実的で、目を背けたくなることがあることを知りました。
それでも、獣医を目指すことをやめようとは一度も思いませんでした。
理解しているつもりでも、理解してないのかもしれません。
理想をいつまでも追い求めて、現実を見ていないのかもしれません。
心の何処かで、動物を助けられるって、信じてるのかもしれません。
意地になっているのかもしれません。
いろんな人に反対されて。
それで意地になっているのかもしれません。
何でなりたいの、って聞かれて、はっきり答えることができません。
動物を助けたいという気持ちに変わりはありませんが、助けられないと言われたら、返す言葉がないです。

根本的には、やっぱり動物を助けたいって気持ちがあります。
獣医になって動物を殺すかもしれないけど、助ける命もあるはず。
獣医にならなければ、殺さなくてすむかもしれないけど、助けることもできない。
たとえ殺す数のほうが多くても、獣医になって動物を助けたい。
それが、私の気持ちです。
幼稚で、浅はかな考えかもしれません。
でも、獣医を諦めるという考えは、浮かんでこないのです。

今は、○○大学を考えています。
合格できるのか全く分かりませんが、勉強を頑張りたいと思います。

返信していただき、ありがとうございました。


ここでやりとりは終えました。

一子供の諦めきれない夢を砕く理由などありません。ただし、「獣医にならなければ、殺さなくて済むかもしれないけど、助けることもできない。」というのは間違いです。虐待されている動物を助けたいのであれば、なおさらです。現実に虐待されている動物を助けているのは、職業としてではなく、ボランティアとして保護活動を行なっている獣医以外の人が多いのですから。それに獣医でなくても、殺さなければならない場面もあります(安楽死の依頼等)。何度も繰り返しますが、獣医だけが動物を助ける者ではないのです。
まだ、高校二年生です。この先は、各分岐点で彼女自身が選択していくことです。現時点で「なんとしても獣医師になる。」と決断しているのですから、私が言えることは「勉強頑張ってください。」だけです。

受験勉強は大変だと思いますが、頑張って乗り切ってください。


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by fussyvet | 2009-11-27 15:36 | 動物

第22回日本動物実験代替法学会学術大会に行ってきた

 第22回日本動物実験代替法学会について、長い文章を書いたのに、Internet Explorerの不具合のお陰で、消えてしまった。あの長い文章をもう一度書く気力もないので、まとめだけ。

・開催地が大阪であったせいか、市民シンポジウムの一般参加者が少なかった。
・動物愛護団体の参加も少なかった。
・獣医系大学の学生もいなかった。
・獣医師の参加もほとんどなかった。
・昨年、ある動物愛護団体を怒らせたと聞いたので、今年はどうかと様子を見ていたが、大した対立もなく終わった。
・学会発表としては、3Rのうち、Replacementに集約されつつある。
・そのReplacementの道のりもまだ長く、悲観的。
・化粧品におけるReplacementすら危ういのに、医学系研究における動物実験はなくならないだろう。
・獣医師としてできることは、RefinementとReductionであることを確信。
・教育における代替法は、学生による打ち上げ花火的活動では持続性がなく、教官の意思による参加が不可欠。
・研究者と動物愛護団体が参加する唯一の学会で、双方の確執は非建設的。
・動物実験の全廃は無理でも、無駄な実験を減らすことはできる。そのためには、巨大研究機関だけでなく、公には知られていない研究機関を含める(意識を変えるための)法制化が不可欠(そこに、研究者側と動物愛護団体との話し合いの意義がある)。

 まあ、こんなところ。
 Internet Explorerに怒っています。


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by fussyvet | 2009-11-16 11:12 | 動物