カテゴリ:動物( 217 )

北限のジュゴンを守りたい

 沖縄近海は絶滅危惧種であるジュゴンの生息地の北限だといわれています。その海、辺野古に地元の声を無視する形で米軍基地建設が予定され、ジュゴンの生息を脅かしています。
 どうか北限のジュゴンを守るため、あなたの声を届けて下さい。

Save the Jugon in Okinawa

 沖縄の海は私も行ったことがありますが、今までに行ったコタキナバルやケアンズの海を超える一番美しい海です。沖縄の経済は現在米軍基地に依存するところも大きいですが、これから転換を図っていかなければならないとも思います。さらには日本全体のアメリカより、アメリカ依存体質を変えていかなくては日本人の自立と誇りは守れません。米軍基地建設は特に沖縄では最優先事項のようになっていますが、そんな国の体質を変えなくては将来経済面でも環境面でも取り返しのつかない後悔をすることになるのではないかと思っています。
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by fussyvet | 2007-09-19 10:55 | 動物

紛争と動物実験

 先日、東京で開催された第6回国際動物実験代替法会議でイスラエルからの参加者が自国の紛争と動物実験について発表していたのを拝聴した。イスラエルにも動物愛護法があるが、軍事および国民の安全に関わる分野に関してはその法律は適用外だそうだ。
 イスラエルでの紛争の激化とそれに伴う犠牲者数の変遷と実験に用いられる動物数との相関を表すグラフが示されていたが、国民の安全を守るための実験は紛争の激化に伴う犠牲者数と比例して増えており、そのため実験に使われる動物数も増加しているというものだった。
 拙ブログのタグクラウドを見ているとここ連日ダルフール紛争について書いているにも関わらず、「動物愛護運動」タグの大きさや検索語句からすると、動物の問題について検索してたどり着いた人や以前から読んで下さっている動物愛護活動家が今でも多勢を占めてくださっているのだろうと思う。そんな方々からすれば、近頃このブログの管理人は何を考えているのか、動物たちはどうでもいいのか、と思われているかも知れない。が、人間間の平和がなければ、異種である動物たちの平和はあり得ない。そんな事実をイスラエル人の発表が如実に物語っていた。
 人種の違い、部族の違い、それだけで同じ人間を残酷な方法で殺す生き物が他の動物のことまで考えるだろうか?ダルフール紛争に関する英文字のニュースを読みながらぐったりするほどやるせなくなる時がある今日この頃だ。
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by fussyvet | 2007-09-18 11:31 | 動物

二酸化炭素による動物の殺処分について

 近頃はダルフール紛争を気にかけるあまり動物たちのことはうっちゃっておいたので、罪滅ぼしのために一つ記事を書いておく。
 二酸化炭素(俗に炭酸ガスと呼ばれるが)による殺処分について、特に愛玩用小動物を処分する保健所等の行政機関で行われているものについては、自身の経験から”安楽死ではない”と言ってきた。実際に手を下す同僚の話では、10分15分と炭酸ガスを注入しても息が絶えていない個体がいるという。意識を失って倒れこんだと思われるまでにも決して短いとは言えない時間がかかり、見ているものは皆「これは安楽死ではない。」と思う。しかし、獣医学的にはこの二酸化炭素という物質は特定の動物種について安楽死薬として容認されたものであり、イヌについても二酸化炭素による安楽死が容認・推奨されている。二酸化炭素には麻酔作用および鎮痛作用があるとされている。
 この話をすれば、皆一様に驚く。先日東京で行われた動物実験代替法学会でも二酸化炭素の鎮痛効果についての発表があった。私はこの発表(ラットについての実験結果)を行った演者に尋ねた。
「実際にイヌについても同じことが言えると思われますか?」
「大丈夫だと思います。実際にイヌに使ったことがありますが、1分くらいで倒れます。」
「私は保健所を経験してきましたが、保健所の殺処分では、かなり長く苦しむようにみえます。これはやはり器材の不適当さによるものでしょうか?」
「そうだと思います。」

 現段階での結論としては、二酸化炭素は鎮痛作用や麻酔作用があり、安楽死薬としては容認されている。が、麻酔薬など他の薬剤の方が短時間で意識を消失できることも事実であり、これは一度に多くの個体を殺処分する場合に限られるべきものだと思われる。さらに、二酸化炭素が適切な濃度に達していない段階で殺処分される個体が暴露されれば、意識消失までの時間は延長され苦悶は長引く。現在、自治体で使われている炭酸ガス注入用器械は古いものが多く、確実な濃度の達成と維持ができるとは到底言いがたいものが多い。各自治体で行われている殺処分を「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠したものとするには、殺処分頭数が殺処分実施職員数にとって十分少なくて可能であるならば適切な麻酔薬の過量急速静脈内投与による安楽死により、また、処分数が多く二酸化炭素による安楽死によるならば二酸化炭素が確実に適正濃度に達して維持できる装置を導入するべきであり、漏れなどによる濃度の達成と維持が困難である装置は順次更新されなければいけない。その要望を出すのは、各自治体の住人であるし、意見が多ければ器材導入のための予算をつけやすいと推察する。なお、このことは譲渡による殺処分される動物数の削減や避妊去勢手術の励行による動物人口過剰状態の緩和、動物取扱業に関する規制強化を否定するものではない。

 以上、現在の獣医学的見地から個人的な結論です。

参考:
アメリカの獣医学会による安楽死のガイドライン(2007年)
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by fussyvet | 2007-09-03 12:58 | 動物

環境省のパブリックコメント

環境省 報道発表資料-平成19年8月9日-「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」及び「動物の処分方法に関する指針」の改定案に関する意見の募集(パブリックコメント)について

 9月7日までです。
 私は以下のように意見を送りました。参考にしていただければ光栄ですが、もし、実際に意見を送付する際は、これをコピーして張り付けるのではなく、必ずご自身の意見をご自身の言葉でお送り下さい。なお、メールで送る際は添付文書や参照URLの貼り付けは不可ですので、必ず「意見募集要項」を一読することをお願いします。

*********
 貴職で募集されているパブリックコメントのうち、「動物の殺処分方法に関する指針(案)」について以下のように意見をお送りします。

1. 「第3 殺処分動物の殺処分方法」のうち
「社会的に容認されている通常の方法によること」を「獣医学的根拠に基づいた安楽死方法によること」と訂正。

理由:原案の表現では抽象的過ぎる。見た目、感情による非科学的方法により、殺処分される動物の苦痛が長引くことは動物の愛護および管理に関する法律に反する。この法に則った方法であるべきとするならば、科学的根拠による鎮痛作用を伴う方法でなければならないと考える。この場合、該当する科学分野は獣医学であり、アメリカの獣医学会では安楽死のガイドラインが作成されており、国内でも実験動物医学会および動物実験代替法学会を中心に安楽死についての議論が行われている。既知のガイドラインや専門家の意見を取り入れるのが「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠した方法であると思われる。

2. 「第4 補 則」のうち
「2 …この指針の趣旨に沿って配慮するよう努めること」を「2 …この指針の趣旨に沿って確実に安楽死が行われるよう努めること」と訂正。

理由:「配慮」ではなく、確実に安楽死が行われなければ、行政による殺処分が「動物の愛護および管理に関する法律」に準拠しているとは社会的に容認されがたい。

名前
住所
所属
電話番号
*********
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by fussyvet | 2007-09-03 12:24 | 動物

第6回国際動物実験代替法会議

 第6回国際動物実験代替法会議から今戻ってきました。前回のようにこと細かくレポートする余力がないので、講演・発表や個人的会話の中から得られた知見だけを数回に分けて掲載することにします。
 「国際ハーモナイゼーション」という言葉が動物実験の世界でもしばしば聞かれますが、今回、研究者ではない一日本人として特別シンポジウムで発表された2人の方を聴講した限りでは、英語力は他の日本人の研究者など誰も比較にならないほど秀でており、発表に関しても内容についての個人的賛否はおいておくとして、まとめ方、話しかたは本当に素晴らしく、動物実験に疑問を持っている国民の活動の方が余程「国際ハーモナイゼーション」が進むと感じました。感情を特定の職業人にぶつける非建設的な方法ではなく、こういう場できちんと論理的に意見を述べられる”国際人”が動物愛護運動の国際協調の先頭になっていけば、閉鎖的な日本の動物実験界も「何も知らない一市民のくせに」的な態度では対応できず、他の先進諸国では既に行われている実験動物に関する記録保管と情報公開、定期的査察、第三者評価機関の設置も受け入れざるを得なくなっていくかも知れません。頑張れ、一市民!私も今は何も肩書きがない一市民なので、自分も頑張れ>はい。

 残念ながら、本日午後から行われた市民のための公開講座には帰る時間の関係で出られず、どのような討議が行われたのか気になります。一市民からどのような質問、意見が出たのでしょうか。研究者側はどのように答えていたのでしょうか。


 今回の会議でも、海外の獣医師でもある研究者、活動家、学生たちなどいろいろな人と交流できて本当に有意義だったけれど、つくづく今の自分は宙ぶらりんな状態であることを思い知らされた。これからどうしていくのか、子育てとの両立、獣医・研究領域に戻るのか、あるいはすっぱりと足を洗って他の仕事で生計を立て動物愛護運動に身を投じていくのか。悩んでいるときが一番苦しいけれど、ゆっくりと歩むしか仕方がない。再び絶望しないよう、神様に祈りつつゆくだけです。
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by fussyvet | 2007-08-25 23:02 | 動物

貧困と紛争と実験動物

 広大なアフリカ大陸の西方にシエラレオネという小さな国がある。レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台になった国であり、世界でもっとも平均寿命が短い国である。1991年から2002年の12年間にわたり続いた内戦では無抵抗の市民が老若男女問わず虐殺され、10歳にも満たぬ少女が母親の目の前で強姦されて、その後その少女の目の前で母親は惨殺され、10歳にも満たぬ少年が銃を持たされて自身の手で親兄弟を殺すことを強要され、生後2ヶ月の赤ん坊さえ押えつけられて斧で何度も切りつけて手足を切断され、現在その地を訪れれば手足を失った子供・大人をあちこちで見かける貧しい国だ。
 そのシエラレオネという国で、絶滅の危機にあるチンパンジーの捕獲および屠殺が禁止になった。現在、動物愛護運動が活発化・一般化した日本を含める先進諸国では、チンパンジーに限らず実験用サル類の捕獲・繁殖が世論的に困難になり、その代わりに中国、東南アジア諸国、そしてアフリカなどが動物実験を行う先進諸国への供給源となってきている。貧困の克服のために外貨が欲しい発展途上国と、国内の世論を気にせずしかも自国で調達するよりもコストをかけずにすむ先進国との利害関係が釣り合った結果である。そして、発展途上国のサルは捕獲され、繁殖され、先進国へ輸出され、実験に用いられるのだ。サル類の動物実験を廃止させるため、サル類を供給している発展途上国が動物愛護団体から攻撃されることもあるが、貧困、そして貧困をもたらす紛争の解決なしでは根本的な問題解決にならないだろうと思う。
 法的にチンパンジーの捕獲と屠殺が禁止になったことは喜ばしいことかも知れないが、私は懸念している。密猟が進むことを。そして、それらの陰に紛争が存在することを。動物の問題に関しては、先進国の動物愛護運動からの圧力による発展途上国の表面的な動物保護の推進を喜べない。まずは貧困問題の解決をしないことには、発展途上国の人たちの生活が先進国の人間によりいつでもどちらにでも転がされていることになるからだ。先述のシエラレオネの内戦には先進国で高価に売買されるダイヤモンドをめぐる悲劇だった。まずは人間の欲と、一見関係がないと思われる人間の無知から生じる人間自身の悲劇をなくさない限り、動物たちの悲劇も決して終焉を見ない。そんな思いもあって、近頃、世界で起きている紛争に焦点を絞って調べているのであった。
 因みに「動物の権利は人間の権利と同等だ。」「人間の権利を守るために動物愛護運動など止めるべきだ。」という両極端な意見は一切の問題の解決につながらない無益な議論である。
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by fussyvet | 2007-08-06 15:28 | 動物

動物実験代替法学会を支える企業たち

 動物実験の廃止を願って行われる消費者運動の中に、動物実験を行っている企業の製品を買わないという不買運動がある。新規物質開発のためなど企業が動物実験を行う理由にはさまざまあるが、特に化粧品開発などで動物実験を行っている企業に対する風当たりは国内外問わず強い。かくいう私も極力動物実験を行っていない企業の商品を購入するように努めている。しかし、これらの不買運動は都会など商品の選択肢が豊富に存在する地域ではよいが、そうでない地域では商品を選ぶことは難しい。私自身も自分が望んだメーカーの商品でなくても、忙しいときは近くのスーパーでいつもとは違うメーカーの商品を買うことがある。そういう場合、動物実験代替法に出資してくれている企業の製品を購入することで、動物実験代替法の開発に資金を提供してくれている企業を支える、そういう考え方もありではないかと思うのだ。ということで、参考までにそんな企業の一覧。
 因みに、動物実験代替法学会に出資していても、その企業自身は動物実験を行っている。「動物実験自体を許せない。本来あるべきものではなかった。」と言われれば、それまでだろうと思う。が、そういう運動では私は動物実験は廃止され得ないと思っている。そんなこんなも参考にしていただけたのなら幸いである。

 8月21日から25日まで東京で開催される第6回国際動物実験代替法会議のスポンサー(敬称等略)

プラチナスポンサー
 ロレアル
 日本製薬団体連合会
 Colgate-Palmolive Co.
 Kimberly-Clark
 ファイザー製薬
 P&G
 マンダム

ゴールドスポンサー
 ユニリーバー
 Humane Society of the United States
 Alternatives Research Development Foundation
 チャールズリバー社
 日本化粧品工業連合会
 ジョンソン&ジョンソン
 エクソンモービル

シルバースポンサー
 ARI
 グラクソスミスクライン社
 The European Cosmetic Toiletry and Perfumery Association
 カネボウ
 アストラゼネカ
 資生堂
 大野先生
 花王

ブロンズスポンサー
 財団法人食品薬品安全センター秦野研究所
 財団法人残留農薬研究所
 日本メナード
 コーセー
 Mary Kay
 ノエビア
 財団法人食品農医薬品安全性評価センター
 富士バイオメディクス
 慢性疾患リハビリテイション研究振興財団
 BioReliance
 住友化学

 また、日本動物実験代替法学会を恒常的に支えて下さっている企業はこちら
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by fussyvet | 2007-07-31 13:43 | 動物

動物実験の代替法が取り入れられている獣医系大学は国内にあるか?

 前回に引き続き、日本獣医学会のQ&Aより。2007年7月25日付けで以下についての回答文が掲載された。

日本獣医学会:獣医学Q&A 実験動物の代替法が行われている獣医系大学はありますか?

 回答しているのはやはり北海道大学獣医学部の教授である。「動物実験代替法が取り入れられているか?」の質問にはっきりと「はい。」と答えられているけれど、これをこのまま鵜呑みにすれば、入学後苦悶する学生は絶えないだろうと危惧する。「動物が苦悶の表情を呈するような教育実習はまずどこの大学でも行なわれていない筈」とあるが、実際に安楽死方法を知らない獣医の大学教官による指導により、苦悶する学生が今でもいるし、ストリキニーネという痙攣を起こす物質を生きたマウスのお腹に注入して、痙攣に苦悶させる実習が行われている。これらはDVDなどで代用できる実習だとして海外などでは毎年動物を苦悶させるような実習は行われていないところもあるが、そのような映像教材による代替法の取り入れについても日本の獣医系大学は消極的であり、まだまだ普及していない。ただ、実際にこの北海道大学では教育における動物実験の代替法を積極的に取り入れようとする動きがあることは事実で、実際に熱心な大学教官ががいらっしゃる。その先生たちの努力を否定するものではない。「代替法が取り入れられています。」とはっきり言い切れるほどではないが、早く肯定の肯定が内部学生から見ても第三者から見ても躊躇なくできるよう、願って止まない。
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by fussyvet | 2007-07-28 22:54 | 動物

獣医系大学での動物実験について

 日本獣医学会のホームページに獣医学についての質問と回答が掲載されている。そこに2007年7月20日付けでタイトルのようなQ&Aがアップされた。

獣医系大学での動物実験について

 これによれば、
「解剖や簡単な外科手術の実習には動物が生きていることは必ずしも必要ではないため、動物を安楽死させた後行っています。しかし、生体反応を見る実習では動物は生きたまま使用されております。しかし、動物は深麻酔されており、苦痛を全く感じない状態で実験されています。実習の内容によっては麻酔下で動物に何らかの処置を行い、回復を待ってデータを取るというような実習もありますが、その際は、動物が確実に回復するよう獣医師が細心の注意を払って看護しております。原則は実験動物であっても附属の動物病院に来院する動物と全く区別はしないということです。」
とのことで、これが事実であれば、獣医系大学では実験動物の福祉が配慮されているのだと思う。この回答は北海道大学獣医学部の教授によるものだが、回答文を読む限り北海道大学だけではなく、全ての獣医系大学に当てはまるのだととれる。因みに私自身が学生実習を行っていた1988年から1992年にかけては、ここに書かれていることは事実ではなかったと断言できる。しかし、今は2007年だ。15年経った今、この日本獣医学会のページにあるように

・解剖や簡単な外科実習には動物を安楽死させた後に行われているか。
・生体反応を見る実習では、動物は深麻酔されており、苦痛を全く感じない状態で実験されているか。
・麻酔下で動物に何らかの処置を行い、回復を待ってデータを取るというような実習の際は、動物が確実に回復するよう獣医師が最新の注意を払って看護しているか。
・原則は実験動物であっても附属の動物病院に来院する動物と全く区別はしていないか。


この四点について事実であるのかどうか知りたいと思い、今現在、獣医系大学に所属している学生さんに尋ねてみた。

 すると一人は「この回答文に書いてあるほど素晴らしいところまでは、まだまだ到達していない。」とした上で、

・自身が通っている大学では解剖実習はこの日本獣医学会の回答にあるように全て安楽死後だが、外科実習は、全て生体を用いる。
・「深麻酔下で手術終了後そのまま安楽死」の予定にはなっているが、その麻酔コントロールも学生が行う為に不安定で、動物に苦痛が全くない状態か疑問である。
・生体反応を見る実習では、自身の大学では苦痛を感じない状態で全て行われているというのは絶対ない。生理反応ならともかく、生体反応を見る実習では、苦痛を伴なうものは沢山ある。
・麻酔下で動物に何らかの処置を行い、回復を待ってデータを取るというような実習の際は、動物が確実に回復するよう獣医師が最新の注意を払って看護しているというのはありうるか疑問。自身の大学では、知らないところで指導教官が夜な夜な看病しているのを気づいてないだけなら別の話だが、回復後データを取る際は、学生と研究室の先輩で看護しているだけのように思う。
・「原則は実験動物であっても附属の動物病院に来院する動物と全く区別はしていない。」とのことについては今まで動物を用いた実習を行う全ての先生と話してきたが、「実験動物」と捉えていない指導教官はおらず、絶対にあり得ない。「実験動物だから仕方がないけど、でもあなたの気持ちは十分わかるよ。考えて行かなければいけないね」が、最高レベル。

 また、一人目と別の大学の通っている別の学生さんは、

・薬理学や毒性学実習では薬物の生体反応や行動を観察するのでマウスには麻酔などはしない。苦痛にのたうち回り死んでいった。
・動物実験以外にも今通っている大学には飼育方法や間引き等問題はたくさんあると思われる。

等々、体験を通した意見を語ってくれた後、「おそらくこの回答をされた教官の立場としては、日本の獣医学部は動物実験委員会で審査をしているから大丈夫と言わざるを得ないのではないか。そうでないところもあると発言したら大問題になるはずだから。」と結んでくれた。

 私個人の感想は、仮にも社会的に認められた法人格を持つ団体の公式サイトに掲載された現実と違う内容を真に受けて獣医系大学を必死に目指し、入学後苦悩する学生が増える要因になるから、由々しきことだと甚だ憤慨したが、上記二人目の学生さんが最後に言ってくれた言葉がもっともなことで、現役の獣医系大学教官としては対外的にそう回答せざるを得ない内容だったと思う。私が獣医師を目指す若者にできるアドバイスとしては、公式の言葉と非公式の言葉の両方で情報収集してから進路を決めてくださいということだけだ。この日本獣医学会に質問を寄せた本人にはこの本文を読んでもらえたらと思うが、獣医学会の公式文章だけを信じるだけでも、また個人の意見を情報源とするだけでも、どちらも危険で不十分なのだ。よく聴き、よく見極めて、最後には最も大切なことだけれども、格好だけでも金目当てだけでもなく、自分にとって一番適した道をその時々で選び、できるならば一過性ではなくその後も少しずつ大学教育における動物の犠牲について考えていって欲しいと思うのだ。
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by fussyvet | 2007-07-26 15:08 | 動物

メール

 2007年7月20日金曜日の早朝付けで、以下のようなメールをもらった。

 こんにちは。私は●●(北米のある地)に住んでいます。特にヒッピーとヤッピー(バークレー系の人たち。ヒッピーの真似をして自然志向だけれども実はお金持ちのお坊ちゃまお嬢様たち)がたくさんいて菜食主義を気取っています。myhomepageを見たのですが「子供にとさつ現場を見せて子供に肉を食べるかどうか判断させる…」といったような文面があったのですがそりゃー脅しと大して変わらないんでないのかなあ?と思いました。ちなみに私の友達はもとヒッピーで菜食主義者が2人いますが子供に菜食主義を強制したことを後悔しています。菜食主義って(子供は動物が殺されるのを見てかわいそうとかそういう風に始まりますが)大人の菜食主義ってもっと「心の問題」から始まっているように感じるのですがどうでしょうか?詳しく説明したのですがここでは文字数が足りないでしょうからぜひメールにお返事をください。あ、ちなみに私もクリスチャンです。(ちょっとなんちゃってクリスチャンがはいってます。笑)


 これに対して私は、送信者のちょっと横柄な口調に違和感を覚えながらも、詳しく説明したいというので、12時間以内に以下のような返信を送った。


○○ 様

 初めまして。「動物のお医者さんが見てきたこと」のサイト管理人fussyvetです。私の稚拙なホームページを読んでくださってありがとうございました。
 さて、子供にと殺現場を見せて肉を食べるかどうかを判断させる云々の話ですが、今一度ホームページの文章を読んでいただけたらと思いますが、私は子供に菜食を強制させることを推奨したのではありません。最近、日本では食育という言葉がよく聞かれるようになりましたが、食事というものを通して心を養おうという意味があります。野菜でも魚でも肉でもそうですが、ただ食卓に並べられたものを機械的に食べていると、それがどうやって自分の口に入ってくるかわからなくなります。野菜などは、小学校でも栽培実習がありますし、魚介類は漁をする映像がニュースでも見られますが、肉だけはのんびりとした畜産風景などは見られても”と殺”風景を見る機会はありません。ホームページにも書きましたが、動物は好きでも、ただ並べられた肉の塊に関しては何の情もなく食べる、そのことがとても矛盾したもののように思えてなりません。ですから、機会があれば、肉に付いてもどういう工程で肉ができるのか、知ることは有意義ではないかと思っています。もちろん、親にも見せる見せないの選択肢がありますから、それはその人次第です。
 菜食は宗教なども絡んできたり、「心の問題」でありますし、環境問題でもありますし、エネルギー消費の問題でもありますし、ライフスタイルの選択の問題でもあります。食べるだけで精一杯のとき、そんなことは考えていられません。が、先進国に住み、漠然と消費生活を送ると思わぬ犠牲が陰にあることを忘れがちです。フェアトレードという考え方もそうですが、恵まれた環境にいるのであれば、その陰にある問題も考えて消費生活を送ることは有効ではないかと考えます。同時に、それらの実践は強制されるものではなく、”気付き”によるべきだろうと思います。そんなことを考えつつ、自分の経験をもとにホームページを作りました。子供を脅せという意図はありません。

             fussyvet


 今の私は余裕がない。私に限らず、初対面の赤の他人は皆忙しいものだろう。忙しいけれど、返信を必要とする人にはせっせと返信を書く。「遅れていても、相手に何か不幸があったのかも知れないし…。」と思いなおそうとするが、時間が経つにつれ、忙しい中、メールを打つのに費やした時間がもったいなく、自分が滑稽に思える。この時間をクリック募金に使えばよかった。募金先のメモを持って、郵便局へ行けばよかった。更に悪いことに、私はこのメールの主のように初対面の人間に対する口の聞き方も知らず、返信まで要求してきたにも関わらず、その後こちらに対しては一切の連絡もない若者(若くなければ、ただの○○だ)に対する寛容さを持ち合わせる余分なエネルギーが全くない。

 これまでも、「獣医になりたいが…。」と進路に悩む若者などからしばしばメールをもらい、それに対して私なりに一所懸命に答えてきたけれど、時には「なんじゃこりゃ?」と思わずにいられない場合があり、その度にどっと疲れてきました。私一人の生活であれば、そんな疲労感は屁でもないのですが、今は手のかかる盛りのわんぱく坊主を抱え、高齢出産ママの体力は限界に達しています。ちょっと「冗談じゃない!」状況ですので、メールへの返信を個人にすることは一時中止とします。「返信しなくては。」と思った場合は、個人への返信ではなくブログでさせていただきますので、よろしくお願いします。
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by fussyvet | 2007-07-24 12:57 | 動物