ブリーディング

 今の仕事では実験用マウスのブリーディングもしている。実験に使う予定がなければ、系統を維持できるだけの最小限の交配を行い、極力増やさないようにしている。
 巷には自身はお金を出して愛玩動物を購入した経験があったり、ブリーダーをしていたりするが、動物実験には反対という人がいるのだろうか?それでは、ペット用に繁殖する行為と実験用に繁殖する行為とにはどんな差があるのだろうか?どちらも“人間用”に繁殖される。そして、余れば殺処分だ。因みに私自身は過剰になったマウスを殺処分したことはない。計画性を保っていると自負している。では、ペット用に繁殖したが売れずに余ったイヌやネコを終世飼育しているブリーダーや動物販売業者はどれくらいいるだろうか?
 実験動物はいったん実験に使われれば外科処置を施されたり、病原微生物を感染させられたり、苦痛を伴うこともあるが、食餌を変えるだけや軽く運動させられたり尾を温められたりするだけの苦痛が少ない実験もある。ペットとして“購入”されたイヌ・ネコの中には最初は珍しくて可愛がられたものの、飽きられると家人が留守がちでほとんど家で一人きりで何のために生まれてきたのかわからないような一生を終えるものもいる。食餌や運動が満足になされない場合すらある。もう一度尋ねるが、ペット用に繁殖する行為には異議を唱えず、動物実験のみを“残酷”として糾弾する根拠はどこにあるのか?
 動物実験数が減らせるように愛玩動物の交配も減らせる。むしろ保健所等から実験施設への動物払下げが廃止されたのであるから、もっともっとそういった収容施設から譲渡を受ける飼育者が増えてもいいだろう。

 その動物を人間の手で増やす理由はどこにあるのか?かわいいから、産ませてみたいからという理由だけの繁殖行為は動物人口が過剰な現在、人間のエゴ以外のなにものでもない。
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by fussyvet | 2008-08-07 11:02 | 動物
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