しばしばもらう子供たちからのメールについて

 先日ももらったのだけれど、しばしば「動物のためになる仕事をしたい。」「獣医になりたい。」という子供たち(メールから推定を含め小学生から高校生)から送られてくる(どっかの掲示板にURLが貼られているのでしょうねぇ)。私のホームページには私が学生時代にした動物を犠牲にする、そして今も変わらず全国の獣医系大学で行われている実習について書いてあるが、それらを見てもなお「獣医になりたい気持ちを変えられない。」という内容のものもある。私自身、具体的には分からなかったけれど自分が志す獣医学部で動物を”バシバシ”殺すという情報は得ていて、それでもなお獣医になりたいという子供のころからの夢という名の思いを捨てられなかったわけだから、それを責めたり、止めたりする権利も理由も一切ない。他人が何を言おうが若い頃に持ってしまった”思い”は”重く”、それを阻むことなど大人にはできないと思っている。
 が、一つだけ気になるので敢えて忠告しておこうと思う。これはもし10代後半の自分自身が目の前にいても同じように今の私が忠告すると思うことだ。獣医師を志し、あるいは既にその類の大学に入っている”たまご”たちに対して、既に獣医師になり、引き返すことも困難な道を歩いているその道の年長者としてできるアドバイスだと思って聞いてもらえたらと思う。その「獣医になりたい」という思いは漠然としていないか?「動物たちを助けたい」という思いからだけではないか?さまざまな情報を聞き入れない幼いころからの夢への拘りからくる頑なさ故ではないか?もし、それらのどれかに思い当たるならば、何度も自問自答することをお勧めしたい。「どんな獣医になりたいのか?」「学生実習で動物を犠牲にするだけではなく、その後、愛玩動物の臨床獣医師でさえ獣医師とは動物を犠牲にする職業であることを認識しているか?」「本当にいろいろな人からの情報を収集して整理して聞き入れているか?」
 何度も言ってきたことだけれど、獣医師は学生実習で動物を犠牲にする。巷では「動物実験をせずに獣医師になった人がいるから頑張って。」というアドバイスを聞くけれど、実際にはそのような学生は現在ほとんどおらず、そのようなアドバイスは全くの部外者からの無責任な励ましでしかないと思っている。そして、獣医師免許を取得した後も、実際に小動物臨床医のイメージを持っている子供が多いけれど、「動物のお医者さん」のイメージの人たちは一部だけであって、他は実験動物の獣医師、国家公務員(検疫所とかでお肉や野菜の検査、その他行政職)、地方公務員(と畜場で食肉衛生検査、保健所でお店回り、イヌの捕獲と処分)、研究者(動物実験を当然のように含む)、畜産動物の獣医師(乳牛として役に立たなくなった牛などの廃用証明含む)など動物を手にかけなくてはいけない。「動物が好きで動物を助けたい」と思っている獣医師のたまごが就いたとしたら、その後辛い思いをずっと続けなくてはならないことは目に見えている。だから、今敢えて言う。「動物が好きで、頑なに獣医師を夢見ているのであれば、何度でも見直せ。ちなみに獣医師は動物の病気を治すことはできるかも知れないけれど、動物を助けるのは獣医師だけではない。」
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by fussyvet | 2008-05-06 22:58 | 動物
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