犬の抑留施設改善の予算

 以前の記事、保健所による処分は殺処分だけをいうのではないという画期的な判断 1およびで紹介させていただきました通知が5月上旬、実際に各自治体に出されましたが、その後、2007年5月25日の衆議院環境委員会の中で、同じく松野頼久議員の質問をきっかけにして、

・先の通知通り、今後は環境省と協議して施設の実態の調査を行い、改善をはかること。
・厚生労働省も環境省も交付税措置に取り組むこと。

が明言されました。これにより、地方自治体では実際に動物の愛護と管理に関する法律に基づく業務を遂行するため、動物の抑留期間の延長などに必須となってくる抑留施設の改善の予算が取りやすくなります。因みに、質疑応答中に出てきますが、若林国務大臣は犬が大好きで、実際に都の施設から譲渡により犬を飼育されているそうです。立場を問わず、さまざまな経験の人がつながって、動物の諸問題が解決していきますように。
 質問してくださった松野頼久議員は熊本選出の議員さんですが、保健所等での動物の殺処分問題に関して、実際に視察に行かれたり行動してくださる議員さんで、これからもこの問題に取り組んでくださるとのことです。是非応援していきたいと思います。

 おまけですが、FESさんのところ奇跡の母子犬という動画を見つけました。冷酷な私が不覚にも涙してしまいましたが、この動画中の母子犬に起こった奇跡は実際にはほとんど起こりません。「他の犬と滅多に交流しないから。」「うちは雄だから。」「手術はかわいそうだから。」と避妊去勢手術をしない飼い主さんも多いですが、保健所等に持ち込まれる子犬が生まれた理由はいずれも「不覚にも。」です。滅多に他の犬と交流しなくても、一度”不覚にも”交われば妊娠します。自分の大切な飼い犬が雄であって増える心配がなくても、他人の大切な犬を孕ませてしまう恐れがあります。自分の飼い犬にする手術は「かわいそう。」でもその結果”不覚にも”生まれてしまった子犬たちが保健所等に持ち込まれれば更に不幸です。「生まれても飼い主を見つければいい。」そのとおりですが、その機会を譲渡される可能性が1割程度しかない、保健所等で死を待つばかりのイヌにも分けてあげて欲しいのです。

 最後に、5月25日の衆議院環境委員会中のやりとりを抜粋して掲載しておきます。

ココから-------
○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、また委員長を初め各党の皆さんにこうしてお時間をいただきますこと、感謝を申し上げます。

 今回、昨年の十二月からこの環境委員会におきまして、実は三回目のお時間をいただいて、犬、猫の殺処分の問題について、また再び質疑をさせていただきたいと思うんです。

 資料は配られていますね。質疑に入る前に、ぜひこれは皆さんに見ていただきたいんですが、資料の十六ページ、カラーコピーでつけておりますけれども、大変胸が痛むような写真であります。全国で犬や猫が四十万匹こういう形で殺処分されている、これが実態の写真でございます。ぜひ、これに基づいて、この数を少しでも減らしたい、こういう思いで質疑をさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

 まず、菅原政務官にきょうは来ていただきました。前回、四月十日の質疑で私が指摘をさせていただいた点について、全国の都道府県並びに政令指定都市、特別区に通知を送っていただきました。環境大臣も同じでございます。資料を冒頭につけてあります。

 このことには大変感謝を申し上げると同時に、全国で狂犬病予防法、動物愛護法の現場で働いている職員さんからも、もちろん、厚労省では前からこういう運用なんですよということをきのうレクの段階でおっしゃっていただいていますが、実際にはこういう運用をしてもいいんだということを知らなかった自治体の職員さんがたくさんいまして、私のところにも電話やメールで随分いただいております。今までは本当に、現場で働いていても、法律のもとで三日目以降は処分をしなければいけない、その処分の仕方は殺すことだけだと思っていて、自分でも胸が痛い思いをしながら、でも仕方がないということで処分を行っていた。

 ただ、この通知が出たことによって、大きく改善ができるのではないかというような声を大変いただいておるのと同時に、以前から私の地元を一つ例にとりまして御説明をさせていただいていましたけれども、私の地元の熊本市は日本で有数の命を助けている自治体でありますけれども、熊本県が同じ基準の中でやはりワーストフォーだったということなんですが、いよいよこの熊本県も百八十度方向を転換して、命を助ける方向に変えなければいけない、こういう動きに実際なってきております。この通知は非常に大きな意味を持つ通知だったのではないかというふうに思っております。

 さて、実際には、この通知を出していただいて、まず、資料一の通知を見ていただければありがたいんですけれども、昨年の十二月に指摘をさせていただいた生後九十日以内の子犬に関しては、狂犬病予防法の適用外だということを明記していただいております。そしてまた、四月の十日に政務官から御答弁をいただいた、処分とは殺処分だけではない、これもしっかり自治体に明記をいただきました。

 ただ、現実にそうなると、では、今まで三日目に殺処分をしていた自治体が方向転換をして、例えば、三日目からは動物愛護法のもとに移して、そこで譲渡先を見つける、要は、飼養に適すると判断をされた犬や猫に関してはできるだけ生存の機会を与えるように、いわゆる動物愛護法の精神にのっとって運用をしようとした場合には、これが一週間なのか十日なのか二週間なのかわかりませんけれども、現実問題としては、保護する数と期間が長くなってくるわけです。そうすると、施設も必要である、えさも必要である、もしかしたらワクチンも必要である、現実的に今度費用がかかる問題というものが出てくるわけです。

 そういう中で、実は私も総務省の方に、狂犬病予防法ではなく動物愛護法、狂犬病予防法はもう既に交付税措置の対象になっていますからあれですけれども、動物愛護法の保護管理に関して交付税措置が今なされていないんですね。要は、一般財源の中で各自治体が行うということですけれども、実際に、それでは、現実問題として各自治体はお金がない中で、本当にその改善がなされるのかということで、今総務省の方で検討していただいているんです。

 ぜひ大臣も総務省の方に検討を働きかけていただきたいんですが、その検討する中で幾つか今問題点があるということがございます。

 まず、どれぐらいの施設を用意したらいいのか、また、どれぐらいの期間の滞留で、その滞留、保護されている期間に何匹ぐらいいるのか、ひいては、えさ代がどれぐらいかかるんだろうか、ワクチンがどれぐらいかかるんだろうか等々、そのことについてきょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、全国ベースでお伺いしたいのは、毎年狂犬病予防法に基づいて捕獲され、要は抑留をされている犬の数、動物愛護法に基づいて、引き取り義務に基づいた形で持ち込まれる保管が必要な犬の数、こういうきちっとした合わせたデータというのはあるんでしょうか。それぞれお答えいただければありがたいと思います。

○菅原大臣政務官 厚生労働省の方で、各年度ごとの抑留の頭数を把握いたしておりまして、直近の十七年におきましては八万八千六百八十七頭、このように今手元に資料がございます。

○若林国務大臣 各年度ごとに、引き取っている犬、猫の数、そして抑留をいたします犬の数、そしてそれらの殺処分をいたしましたものの数といったようなものは、今手元にございますのは昭和四十九年からでございますが、平成十六年度まで手元に用意しております。

○松野(頼)委員 資料の六を見ていただきたいと思うんですが、狂犬病予防法の条文をつけてございます。これですと、二日間公示の後に、市町村長に通知をし、通知を受けたときには二日間公示をしなければならない、この政令の定めるところにより、処分することができる。

 その政令を読むと、「あらかじめ、適当な評価人三人以上にその犬若しくは同条に規定する動物を評価させておかなければならない。」狂犬病予防法施行令の第五条、下の方に書いてありますけれども、これを見ていただければありがたいんですが、この評価をさせなければならない、要は、処分の前に評価をさせなければならないということの規定が書かれているんですね、狂犬病予防法には。

 これはどういう評価で、この評価によってどういう選別をするのか、お答えをいただければありがたいと思います。

○菅原大臣政務官 御通告いただいていないもので、正確にお答えできるかどうかあれですが、その犬のそれぞれの評価そのものというふうに認識をしているわけでございますが、御質問の趣旨と今のお答えが、定かじゃないものですから。

○松野(頼)委員 済みません、一応ざくっと狂犬病予防法ということで通告をさせていただいたんですが、ここまで細かいところはしていないんですけれども、要は、飼養に適するものか飼養に適さないものか、狂犬病予防法でも分けているのか分けていないかというところを聞きたいんですが、それは後で事務方を通じて御報告ください。

 いずれにしても、何が言いたいかというと、まず、狂犬病予防法で抑留をした犬、動物愛護法のもとに基づいて持ち込まれた犬、これが今四十万匹処分をされているということなんですね。要は、この持ち込まれた犬の今九割が殺処分されているんです。ですから、大体四十二、三万匹が持ち込まれているのであろうというふうに思うんです。

 その中で、自治体によって、この間も御紹介しましたけれども、例えば我が熊本の自治体においては、殺処分率は十八年度は八・数%、ただし、生存率、返還率は七五%。二五%から八・数%を引くと、やはり十数%は飼養に適さない犬や猫であったり病気だったりして、これはやむなく殺さなければいけないということです。ですから、こういうやる気のある自治体と、全くそのデータがなくて、やる気のない自治体の中でばらつきがあるんです。

 この平均値をある程度とらなければ、例えば熊本市だったら、六百頭から八百頭年間収容されてくる、その中の七五%が飼養に適したりすることで譲渡ができる、その八・数%も加えると約八割近くが飼養に適するので、頑張れば命を助けられる。とすると、大体六百頭から八百頭の七五%というと、四百頭から六百頭ぐらいです。それを三百六十五日で割ると、大体一日二頭平均。それを十日間なり二週間ということでもし保護をすると、二十頭から三十頭ぐらいの施設が必要ですね。これが補助基準面積に、人口六十七万の中核都市の場合には補助基準面積になるんじゃないでしょうか。例えば、二十頭が十日間のえさは大体これぐらいですねといって割り出せるわけですね。

 ですから、この自治体のばらつきをもう一度ある程度平均化をして、そしてそこで補助基準面積を割り出したりということをしないと、交付税の対象になかなか難しいのではないか。また、全国の引き取りの、例えば譲渡のときには、動物愛護法に基づいて持ち込まれた犬に対して、引き取り手数料を取っている自治体と取っていない自治体があるんです。そこもばらばら。また、譲渡を受けるときに、もらう側に費用を幾ら払っているのかもばらばら。これがばらばらですと、結局、自己財源、自己収入の金額がばらばらなので、要は、一般費、運営費として補助をする場合に一体幾らしたらいいのか、半分は国が見ますよといっても、幾らしたらいいのかというのがわかりません。

 ですから、ここのところを、施設また頭数に関して、どうか早急に割り出していただきたいと思うんですが、大臣、どうでしょうか。

○若林国務大臣 松野委員から、実態の分析を詳細に行っていただいて、具体的に問題を明らかにしていただきました。

 委員がおっしゃるように、交付税の対象として要求をする立場としますと、やはりそういう政策的な判断を加えながらの実態に即した数量的な把握というものがなければ説得力もありませんし、受けた方も処理をするのに大変難しいことになると思いますので、今委員が御指摘になりましたような実態を基礎にしながら、どの程度の水準のものを自治体に要請をするか、それに関連した自己収入についての考え方、見通しも含めまして、要求するのに足りる資料整備を早急に行って、交付税措置は総務省にしっかりと要請していきたい、こんな思いでございます。

○松野(頼)委員 もちろん、全国的な基準、私も環境省とお話をさせていただいたならば、結構あるんです。ただ、自治体によって、前回から御答弁いただいているように、運用がばらばらなんです。

 もちろん、やりたくない自治体まで、これはしようがないことですけれども、もうこういう状況になって、今回の五月一日の通知をいただいたので百八十度方向を転換したいという自治体が結構全国に出てきているんですね。その自治体に対して、やる気のあるところはこういう基準を守っていただければ交付税措置として、項として項目を立てますよということに、私も実は取り組んでいるんですけれども、ぜひ大臣に取り組んでいただきたいのと、来年度のシーリングが九月から始まります。十二月には概算要求が始まります。この辺で、来年度できないものなんでしょうか。ぜひそこの時期的なものを答弁いただければありがたいと思います。

○若林国務大臣 委員のいろいろの深い知見と持っておられるデータなどの御指導もいただきながら、来年度要求できるような体制を整えていきたい、このように思います。

○松野(頼)委員 総務省の方には今実態把握、全国調査をしていただいていますので、大臣からしっかり要求をしていただければ、必ず、まず第一、第二ということで、全国いよいよスタートできますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 私も、けしからぬ、けしからぬと言って、けしからぬだけの議論で終わるのではなくて、やはり建設的な形で、どうやったら殺処分数を減らして命が助けられるのかという議論をさせていただいているつもりでございますので、ぜひ大臣の御尽力をお願いしたいと思います。

 少しそれに関連をするんですけれども、今度は資料の八、この新聞記事を見ていただけますでしょうか。これも、これから基準をつくっていただく施設整備にかかわるところなんですが、これは二〇〇四年の一月三十一日の毎日新聞の記事でございます。

 要は、収容施設の環境が悪い、そして基準がないという、線を引いたところ、施設の衛生状態が悪く、一たん収容されると病気にかかりやすくなる、里親に引き取ってもらうことが難しくなり、殺処分の増加につながる、線を引いた上の段です。下の段では、現在、都道府県動物収容施設に関する明確な基準はないというふうに締めくくっておりまして、全く明確な基準がないんです。

 次に、資料の九、十、これもカラーでつけてあります。

 この写真を見ていただきたいと思うんですが、これはこの二つだけじゃありません、実際の保護施設なり抑留施設の例として、こういうのが全国にたくさんあるんです。とてもこれは飼養にたえ得るものが見つかったときに、十日間、二週間そこに保護して、新しい飼い主を見つける施設では私はないと思います。

 そしてまた、環境省の動物愛護法のもとで定めている、施設の設置基準みたいな指針が一応あるんですね。

 資料の七をごらんください。

 まず、犬、猫の引き取り、上の段です。動物の所有者または占有者の責務、義務、命あるもので動物の所有者または占有者としての責任を十分自覚し、その動物、その種類、習慣等に応じて適正に飼養し、または保管することにより、これは一応自治体も含まれる内容なので、その適正にということが非常にあいまいな文言です。その下、一番下の段をぜひ見ていただきたいと思いますが、犬、猫の引き取り及び負傷動物の収容に関する措置、保管、返還及び譲り渡し、構造等が適正な施設及び方法によって保管をすること、要は、この保護のところでは全く基準が定められておりません。ただ、その真ん中の家庭動物の飼養及び保管に関する基準、ここの「所有者等」、等に、一の健康及び安全の保持の下ですね。等の下に、等は自治体の保護も含むということでありますので、そうすると、飼養施設の設置に当たっては、適切な日照、通風等の確保を図り、施設内における適切な温度や湿度の維持、適切な飼養環境を確保するとともに、適切な衛生条件の維持に配慮することということなんです。

 この文言とこの写真をぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、全くその文言とはかけ離れた施設であります。風通しがあるのかもわからない、温度がある程度一定に保たれているのかもわからない。そして、ここに一週間、二週間置けるものでは私はないと思うんです。

 大臣、ぜひこの施設の改善と、例えばこの施設は、狂犬病予防法のもとにおける抑留施設なのか、動物愛護法のもとにおける保管施設なのか、ここもぜひ整理をしていただきたいと思うんですが、まず大臣にお願いします。

○若林国務大臣 私も実は犬が大好きでございます。議員になってからは、適正な飼養管理ができませんので、孫が地元におりまして、孫に預けております。また、東京におります孫が非常に犬を欲しがったものですから、今の自治体の方に申し出てみろということを言いましたら、東京都の方に申し出て、すばらしい犬をあっせんいただいて、今、これは中型犬ですが、家の中で飼養しているというようなことでございます。

 そういうような私自身の心情からしますと、委員がお示しになられましたこの劣悪な施設の状況を拝見して、本当に胸を痛めております。このような状況にあります飼養管理の状況は、ぜひとも改善が必要であると思いますので、全国の各自治体の状況を全部一度、状況を正確に把握するのは難しいでしょうけれども、全体の傾向、状況がわかるような調査に努力をいたしまして、この基準の徹底を図るようにしていきたい、努力したい、このように思います。

○菅原大臣政務官 ここ数回の御議論を賜っておりまして、大変松野委員のこの問題に対するお気持ち、とうといものがあると認識いたしております。すべての生あるものに対する生命の尊厳というものは極めて大きなものがあるわけでございまして、その意味において、狂犬病予防法、この趣旨の中で動物愛護の観点を阻害するものではないわけでございます。

 しかしながら、現在の法のもとにおきましては、人への狂犬病の感染を防ぐ公衆衛生上の観点から必要な規制を求めるということが主眼となっておりまして、今るる御議論がございました、同法に基づいて抑留された犬の取り扱いに関しましては、動物愛護の観点の規定というものが現在設けられておりません。

 そういう意味では、動物愛護法に基づいた適切な取り扱いによるものである、このように厚生労働省としては認識をいたしております。

続く-----
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by fussyvet | 2007-07-02 11:24 | 動物
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