BSE

ひき肉偽装、動機は「BSE」?=民主議員調査にミート社社長

6月27日22時0分配信 時事通信

 北海道苫小牧市の食肉加工卸会社「ミートホープ」のひき肉偽装事件で、牛ひき肉に別の肉を混入させ始めた動機について、田中稔社長が「BSE(牛海綿状脳症)問題で粉状の牛肉が手に入らなくなったため」と話していることが27日、民主党の調査で分かった。 

最終更新:6月27日22時0分


 この社長さんは私にとって忌まわしい記憶を思い出させてくれるために存在するようなものだ。前記事に書いた”ミンチ”と呼ばれる経産のホルスタイン牛は、2001年9月に日本でBSEが見つかってから肉用として出荷されなくなった。なぜか?BSEを診断されるのを恐れたからである。当時、BSEが発見されれば、その地域の畜産業にとっては大打撃だった。畜産農家も屠畜場も、そして農政も恐れた。家畜保健衛生所長自らが、経産のホルスタイン牛を出荷すると農家が予め相談したらそれを引き止めた。こうして、今はさほどでもないが、”ミンチ”牛は屠畜場で見られなくなった。
 私達末端の獣医師は、日本でBSEが発生するなどとは夢にも思っていなかった。BSEが国内で発見されるよりも半年ほど前の2001年初め、農林水産省は全国の家畜保健衛生所に対し、農家で死亡した牛についてBSEの検査をするよう通知を出した(BSEサーベイランス)。我々は、どうして今頃そんな調査をするのか不審に思った。きっかけは、日本がBSEのステータス評価で「カテゴリーⅢ、すなわち、国産牛が(臨床的或いは不顕性に)BSEの病原体に感染している可能性が高いが、確認されていない」という低い評価を下されたこと(経過については参照)だが、農林水産省は既に国内にBSEが入ってきているかも知れないと思っていたはずである。なぜならば、それまでBSEの原因である肉骨粉について、関連団体に対して「指導」という措置しかとってこなかったからだ。通常、人体にも甚大な健康被害を及ぼす可能性がある人畜共通伝染病に関して、「指導」などという甘い規制はしないはずである。それなのに「指導」としかしていなかったのは、関連団体からの大きな圧力があったからに相違ない。そうして、日本国内でBSEは発生してしまった。見つかったのは、2001年9月だが、それ以前から発症していた牛はいたに違いない。精査していなかったから、見つからなかっただけだろう。私たちが屠畜検査した起立不能の病畜牛の中には、BSEを発症していたために起立不能だった牛もいたかも知れない。実際にBSEが発見されてからしばらく、起立不能であったり、歩行障害を呈している牛についてBSEの精査がなされるようになったが、実際に解体前検査にあたったある獣医師は、BSEを見抜けなかったことに責任を感じて自ら命を絶ってしまった。どんなに腕がすぐれた獣医師だって、生前にBSEを診断することなど不可能だった。誰しもその獣医師に落ち度はなかったという行為にすら自らの命をかけるほどの責任を感じる末端の人間がいるにも関わらず、実際に国内がBSE汚染される原因となった圧力団体、そして関係者たちはのうのうとして相も変わらず利権に群がっている。私はどうしようもない憤りにかられた。ちょうど畜産行政のからくりに気付いた頃でもあった。
 しばらく忘れていたが、今回のニュースで思い出した。絶対に奴らを許さないと誓った日。事実を見てきた者はやはり口をつぐむことはできない。
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by fussyvet | 2007-06-28 03:50 | こうして社会は回ってる
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