保健所による処分は殺処分だけをいうのではないという画期的な判断 1

 地球生物会議ALIVEのNews Letterで知りました。タイトルのとおりです。保健所の抑留犬を管轄する課は食品衛生課とか生活衛生課と名前が付く場合が多いのですが、いずれにしても「狂犬病予防法」と「動物の愛護及び管理に関する法律」の2つを同時に請け負っています。この2つの法律は、犬にとっては全く正反対の運命を決定するものだと言っていいと思いますが、これまでずっと保健所における抑留犬の処分とは”殺処分”を意味するものでしたし、保健所も処分方法とは殺すことであるとしか認識していませんでした。それを覆すような画期的判断が先日2007年4月10日に行われた衆議院環境委員会の中で行われたのです。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001716620070410005.htm#p_honbun

 この答弁の中で大臣政務官は、処分とは殺処分のみに限らず、譲渡なども含まれ、自治体に通知を出すと認識してもらって構わないと言明しています。さらに、処分指針については、動物愛護の精神に則った形で再検討することも言明しています。
 このとおりに実際に通知が出されれば、保健所も譲渡できる動物は狂犬病予防法のいう3日間の抑留期間を過ぎても動物を生存させておける根拠ができたわけで、予算も取りやすくなります。もちろん、自治体の裁量にも関わってきますし、財源により予算が取れるかどうかにもよりますが、まずは国がこのような判断を下したこと自体が画期的なわけで、
「法的根拠がないから、予算も取れない。何もできない。」
と無力感と絶望感に苛まれた私自身としては、飛び上がるほど嬉しいと思いました。まだ、実際に通知が出てみないと飛び上がるのは早いですが、とりあえずニュースとして留めておくことと、これから注視していきたいと思います。動物愛護に関心のある方、実際に活動されている方も是非忘れずにおいてもらえると嬉しい。

 この質問をしてくれたのは、どこのどんな議員だろうか、これまで動物愛護団体が推薦してきた議員だろうかと気になって調べてみましたら、熊本の議員さんだそうです。熊本と言えば、熊本市は殺処分数がとても少ない素晴らしい市なのですが、松野議員は実際に保健所や動物管理センターなどを視察して、同じ熊本でも熊本”県”は他の自治体と同じくほとんど殺処分していることと、その施設内容の悲惨さを目の当たりにしたこともあり、こんな質問をしてくださったようです。是非、応援して差し上げたい。熊本の皆様、よろしくお願いします

 最後に、以下参考までに当該答弁部分だけを抜粋しておきます。

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○松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。

 きょうは、またこの環境委員会におきましてお時間をいただきましたこと、両党の理事の皆さんに心から御礼を申し上げます。

 まず、実は昨年十二月に大臣と質疑をさせていただいて、動物愛護、犬、猫の殺処分の件で、またきょうも引き続き質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 これは前回も申し上げたんですが、資料の一をどうかごらんになっていただければと思います。この資料に書かれていますように、毎年四十二万匹、その中の九四%が全国で殺処分をされている、大体三十数万匹という犬や猫が殺処分をされているということ。環境省としましても、お示しをいただいた基本指針の中で、これをなるべく半減させていこうということで、今取り組まれていらっしゃるということも存じ上げております。

 その中で、きょうは幾つか質問をさせていただきたいというふうに思うんです。

 まず、昨年、この問題で指摘をさせていただきましたのは、犬や猫ということに対して、狂犬病予防法という法律が一つ、そして動物愛護法という法律が一つ。これによって、捕獲、抑留をされたり、動物愛護センターなり管理センターなり、全国のそういう保健所等の施設に持ち込まれるということ。その二つの法律によって、抑留をされ、そして処分をされているという現実があります。

 考えますと、狂犬病予防法の考え方、これは、狂犬病が蔓延をしては困るから、表を鑑札もつけずに歩いている犬、ひとつ犬で例を挙げますと、犬を捕獲して抑留をするというのが狂犬病予防法の理念であります。動物愛護法の理念は、持ち込まれた犬に関しては、施設によって、できるだけ生存の機会を与えるように努めることという、ある意味では逆の立場の法律が一つの犬というものに対してかかっているということ、これをどうか整理していただきたいということで、去年の十二月にお願いをしたところでございます。

 資料の二をどうかごらんになってください。

 動物愛護法におきましては、まず、三十五条、犬、猫の引き取りを所有者から求められたときは、これを自治体は引き取らなければならない、こういう規定のもとに引き取りを行っているわけです。それから落とし込んだ、「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」という中で、下の「第三 保管、返還及び譲渡し」というところで、所有者がいないと推測される保管動物、所有者から引き取りを求められた保管動物及び所有者の発見できない保管動物について、家庭用または展示動物としての適性を評価して、適性があると認められるものについては、その飼養を希望する者に、できるだけ生存の機会を与えるように努力をする、これが動物愛護法のもとにおける引き取り及び譲渡の基本的な考え方になっているわけです。

 狂犬病予防法においては、捕獲、抑留をした、その下に狂犬病予防法の条文がついていますけれども、二日間公示をしなければならない、その後にこれを処分することができるというふうになっています。

 この二つの法律によって、今三十九万匹とも言われる犬や猫が殺処分をされているというところが基本的なものでございます。

 そこで、きょうは狂犬病予防法を所管する厚生労働省から来ていただいているんですけれども、狂犬病予防法の六条の九、「これを処分することができる。」というふうにあるんですけれども、この処分の意味について答弁をいただけますでしょうか。

○菅原大臣政務官 幾つか御指摘がございましたが、厚生労働省の方からは、この狂犬病予防法におきまして、我が国で、密輸やあるいは不法犬の上陸などによりまして、狂犬病に感染した犬が国内に侵入する可能性があることから、犬の所有者に対しまして、登録、鑑札の装着等を義務づける一方で、これらを行わない犬については、抑留をしているということでございます。

 当該の抑留された犬につきましては、当該犬の飼い主の所有権をむやみに侵害しないようにするため、二日間公示した後に処分することといたしておりますが、公示期間の後における処分の方法は今御指摘の殺処分に限定するものではなくて、この六条の九項の部分に関しましては、新たな飼い主に譲渡することも差し支えない、このようにいたしているところでございます。

○松野(頼)委員 これは、今までの認識と違う、大変踏み込んだ答弁をいただいたということであります。

 この処分は殺処分を示すわけではないんですね。それだけではないということをもう一回答弁いただければありがたいと思います。

○菅原大臣政務官 今答弁申し上げましたとおり、殺処分のみならず、いわば新しい飼い主に対する譲渡、これも含まれております。


○松野(頼)委員 実は、全国の自治体で運用されている現状を見ていただくと、二日間の公示の後に三日目には処分をするということ。その処分は、狂犬病予防法で運用しているほとんどの自治体が殺処分だということで、抑留をしてから二日間公示をして飼い主が見つからない場合は、殺す処分をするものだというふうな運用をしている自治体が全国に実はたくさんあるんです。多分、ほとんどの自治体が、処分は殺処分であるというふうに理解をして運用しているところがたくさんあるんです。

 どうか、そこのところを、ぜひ全国の自治体に告知をしていただいて、決して殺処分だけが処分ではないんですよということを厚労省の方から言っていただきたいというふうに思いますが、もう一回御答弁ください。

○菅原大臣政務官 御指摘のお話の以前に、既に通知をいたしておりますので、そのように御認識をいただいても構わないと思います。

○松野(頼)委員 済みません。その次のページの資料……

○菅原大臣政務官 訂正いたします。

 これから通知を出すというふうに御認識をいただきたいと思います。


○松野(頼)委員 では、これから通知を出していただけるということですね。よろしくお願いいたします。

 それで、次の資料三を見ていただきたいと思いますが、「動物の処分方法に関する指針」というのが総理府の告示第四十号で実はあるんです。きのう夜中にちょっと発見をいたしました。ここの定義、上の方の「第2 定義」の(3)、線を引いてありますけれども、「処分 処分動物を致死させることをいう。」というふうに実は定義をされているんです。

 これに関してぜひ一回整理をしていただきたいというふうに思うんですが、このペーパーに関して御答弁いただけますでしょうか。

○若林国務大臣 今、資料三、私はこの場において実は拝見をしたわけでございますが、局長からのアドバイスがありまして、この「動物の処分方法に関する指針」は、この指針において、次の各号に掲げる用語の意義というものが定められ、その中で、処分については、「処分動物を致死させることをいう。」と決められている。その意味で、この「動物の処分方法に関する指針」の中において、ここにいう処分とは、こういう致死であるということを定めているものであるというアドバイスを今受けたところでございます。

 なお、委員が先ほど来御指摘になっております狂犬病予防法と動物愛護法との考え方の違いが、明らかに違いがあるわけでございますが、狂犬病予防法は、申すまでもなく、そのことによって、狂犬病に罹患した動物が、人間に狂犬病が広がっていくことを絶対認めるわけにいかないという視点でできている。動物愛護は、もう委員御承知のとおり、議員立法で定められているわけでございまして、できるだけ生存の機会を与えていくということでございます。

 その間、運用の面で、その精神をどう生かしていくか。狂犬病に罹患したものが広がらないということが達せられるならば、それに罹患していないというものについては、やはり動物愛護の考え方に従って、これができるだけ生存の機会を与えられるようにしていかなきゃいけない。

 その間、行政の組織が違い、趣旨が違っていることから、十分連絡がとれていないということが委員御指摘のようにあるのかなという意味で問題を感じておりますので、厚生労働省の方で、改めて、これからこのことについて趣旨を徹底するというお話でございますので、環境省としても、厚生労働省とよく打ち合わせをさせていただいて、その趣旨が生きていくようにしていきたい、こう思っております。

---------------続く------------------
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by fussyvet | 2007-04-25 11:04 | 動物
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