現場に行けなくても…

 以前にもメールをいただいた獣医師を志す若者から、またメールをいただきました。今、話題になっている「広島ドッグパーク」の事件について、「自分は地元に住むのに何もしていない。獣医師を志しているくせに。」という自責の念を語った内容でした。
 私も保健所に勤務していた頃に、次から次へと持ち込まれる不用イヌ・ネコを目の前にしながら自分は何もできない。できることなら、全て持ち帰って治療して自分自身で里親を探したらどうか?それでも一人で引き取るなどできるわけもなく、ひたすら無力感に苛まれ、自問自答の毎日でした。

 メールをもらった生徒さん。そして、同じように思っていらっしゃる方が他にもいたとしたならば、その方々へ。私も日々無力感に苛まれ、悶々としますので、気持ちはよく分かるような気がします。が、そんなに自分を責めないで下さい(自分への言葉でもあります)。そして、心を落ち着けて一緒に考えましょう。知恵を貸してください。確かに今目の前で苦しんでいる動物たちを助けることは大切です。現在、一所懸命にボランティアでできる人たちが助けに入っています。けれど、それに参加できなくても他にできることがあるはずです。どうして、今回の事件が起こってしまったのでしょうか?動物を使って、営業すること自体に無理があったのではないでしょうか?では、どうしたら防げたのでしょうか?今の動物の取り扱いに関する法律が甘いのではないでしょうか?それでは、その法律を少し勉強して、どういった問題点があるのか知っておき、折あれば、特に次の法律改正の時には動物の現状を憂える一国民として、パブリックコメントやその他もっと大きな機会に意見を伝えて、今回のような悲劇を防ぐ一助となることも大切なことではないでしょうか?

 動物の問題は産業と絡み、他の先進諸国に比べて法律が甘いため、多頭飼育崩壊による悲劇が後を絶たない状況になっています。目の前の動物を助けることと同時に、それよりも二度と悲劇が起こらないことを考えないと次から次へと助けるべき動物はあふれ出てきます。とても、人の善意だけでまかないきれないのが現在の状況です。無意味に不幸な動物を救いたいと思われる人には、この”溢れる動物たち”を溢れさせない方法を一緒に考えていって欲しいのです。もし、このメールをいただいた若者が将来小動物臨床獣医師になったとしたら、ルーチンワークである避妊去勢手術の推奨と実施も、立派な貢献だと思います。

参考:
日本にアニマルポリスを誕生させよう!
動物の愛護・管理行政のページ
動物保護体制の改善をめざすネットワーク
繁殖しません
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by fussyvet | 2006-10-10 18:45 | 動物
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