ある新聞記事より

 先日、ある新聞に化粧品開発のための動物実験代替法に関する記事が載っていた。と言っても、この問題に関心がある私からすれば読んでいくうちに、「化粧品開発における動物実験代替法のことか。」と気付いただけで、記事のタイトルは「迅速に結果が分かる新しい実験方法」というニュアンスだった。内容も欧州で化粧品開発のための動物実験が禁止されることに少し触れていたけれども、新しい方法はこれまで数ヶ月かかっていたものが数日で結果が出るなど、ほとんどがその方法の実質的なメリットについてだった。

 欧州で化粧品の動物実験が禁止になることは、それだけがというわけではありませんが、動物実験に心を痛め、声をあげてきた人たちによる運動が大きく貢献してきたものだと思います。が、今後も動物実験を縮小させる大きなヒントがこの新聞記事にはあると思います。化粧品の動物実験は、「動物を犠牲にしてまで化粧品を作る必要があるのか?」という問いに多くの人が「No!」と答えたかも知れませんが、医薬品開発や医療技術向上、医学的研究のための実験となると多くの人が「No!」と答えづらいと思います。ここで誤解していただきたくないのは、だからと言ってこれまでの医・薬学における動物実験が全てなくせないものであると思っているわけではありません。やらなくていいものもあるし、使用動物数も減らせると思っています。しかし、実際に研究や実験に集中している人たち、そしてその結果を待ち望んでいる人たちに、「動物にも権利がある。使わずに、他の方法を考えて。」と訴えても、「人間の命を救うことが先だ。」と返される、いつも堂々巡りの議論が続いてその先が発展しないことが多いかと思います。そんな場合、両者にとってのメリットを考えなくてはいけない。動物を守りたい人にとっては動物が使われず、新しい薬や医療を必要としている人にとっては、これまでの方法よりも手軽であったり、コストが低かったり、時間が短くて済むようなそんな方法。
 この新聞記事はまさにそのことを表していたと私は思うのです。そして、その内容は後者にとってのメリットが強調されていたことから判断すれば、社会の多勢は使われる動物への関心よりも、新しい方法が人間にどんなメリットをもたらしてくれるかに関心を持っているのでしょう。そういう現状で更に動物実験の削減を進めるのならば、動物の権利を前面に出すのではなく、それは心の深くに常に持っておくものとしておいといて、動物実験に代わる可能性を秘めた実験方法にアンテナを探らせ、その研究開発を応援するような運動をしていった方が良いのではないかと思うのです。
 もっともそれには知識も必要ですし、研究者同士の架け橋となるようなコネクションが必要になってくるため、個人で行うには無理があります。しかし、どんな実験が行われているか情報を集めて知っていれば、ある新しい実験方法が代替法になるのではないかという思いつきは特に研究者でなくても浮かぶのではないかと思うのです。世の中の発明の多くは、個人の思わぬ発想から来ているのと同じように。

 実際に動物実験代替法の開発にはいつもコストや利便性の問題がかかってきますし、普及のためには実験者や社会にもメリットを宣伝する必要があることが、実際に昨年の世界動物実験代替法会議では話題になっていました。が、それは動物実験反対運動家にも世間一般にもあまり知られていないのではないかと感じることが多々あります。そんな中、新聞記事を目にしましたので取り上げてみました。
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by fussyvet | 2006-09-06 07:29 | 動物
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