動物の飼育、譲渡、そして去勢避妊手術

 小学校3、4年生の頃、私は友達と二人で子猫を拾った。生後1ヶ月足らずくらいの子猫で、後をついてきたので、私たちは放っておけず拾って、双方のうちで飼っていいかと尋ねた。当然のようにどちらの家でも「ダメ!」と言われ、それじゃあ、秘密基地を作ってそこで飼おうかなどと子供にありがちな夢心地気分であれこれ思案したが、結局名案もなく日が暮れた。すると、その友達のお母さんが探しにやってきた。私たちのところに駆けつけるや否や、自分の子供であるその友達にビンタを喰らわせ、言った。
「責任も持てないくせに!無責任なことをするな!」
 私はびっくりして立ち尽くし、そして動物を拾うということがとても責任を伴うことを知った。

 これも私が小学生の頃、母が子猫を拾った。母が運転していたら、道の脇からちょろちょろっと出てきたのだそうだ。そのままにしておくと、車に轢かれることは免れない。母は放っておけず、子猫を拾った。その子猫はひどい皮膚病を患っていた。母は昔からかかっている開業獣医に通って皮膚病の治療を始めると共に、飼ってくれる人を探した。まもなく、飼ってくれるという人も見つかり、子猫の皮膚病もよくなってきた。飼ってくれるという人は、実家の裏手にある市営住宅の人だった。私は家の近くということもあり、時々猫の様子を覗いた。猫は昼間は放し飼いにされていた。そして、ある日見えなくなったので、私は飼い主に猫はどうしたのかと尋ねた。すると、
「車に轢かれて死んじゃった。」
譲渡してまもなかったのに、あっけなかった。そして、私は動物を譲るにはただ”あげる”というだけでなく、いろいろな条件が必要なことを知った。

 私が保健所に勤務していた頃、職場の駐車場で子猫を拾った。やせこけている。私は知り合いの開業獣医の元へ行き、治療した。案の定、寄生虫を持っていた。寄生虫を駆除し、きれいに洗い、そして職場で飼ってくれる人がいないか尋ねた。隣の課の人が名乗り出てくれた。小学生の娘さんが二人いる。写真を見せたら、欲しいと言ったそうだ。とてもいい人である。私は良い飼い主が見つかったと、喜んで譲渡した。新しい家族にとてもかわいがられていた。写真も見せてもらった。私も嬉しかった。しかし、数ヶ月後、その猫は死んでしまった。猫伝染性腹膜炎というウイルス性疾患だった。ワクチンはない。生まれつき、罹患していたのだ。小学生の娘さんはどんなに悲しかったか。そして、私は動物を譲ることが健康体であることを保障する必要があり、拾った動物の場合、それがとても難しいことを知った。


 動物の新しい飼い主を見つけるということがどんなに難しいことか。簡単に”あげます”とか、ボランティアによる譲渡とか言うが、その動物が健康体であることを保障し、譲渡先も飼育する能力があることを見極めなければならない。譲渡にも限界がある。動物が生まれる度に、それを行うことがどんなに困難なことか。「かわいそうだから避妊去勢手術はしない。生まれたら飼い主を探す。」などと簡単に言う者は、その責任の重さと困難さについて無知であると言うしかなく、一所懸命訴えてもそういう人が減らない。

 動物を飼うなら、避妊去勢手術を。お願いです。そうして、その分、保健所で処分される動物にチャンスを下さい。殺処分数は避妊去勢手術により減らせるのです。どうか、どうか・・・。
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by fussyvet | 2006-09-01 13:50 | 動物
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