学生時代、友人から声をかけられて、放課後に家へ帰っても親がいない小学生を預かる学童保育所でのバイトをしたことがある。そこに来る子供たちと遊んだり、話をしたりするのだ。
そこには生まれてまもなくから、何らかの理由で母親がいない低学年の男の子がいた。その子について、常勤職員の人が言った。 「彼は・・・、何と言うか、母親の愛情を知らないので、少し年齢よりも幼稚なところがあって、戸惑われるかも知れませんが・・・。」 私は具体的にどういうことなのか分からなかったけれど、とりあえず心に留めておいた。 まもなく、その意味が分かった。その男の子は他の子供たちと同じように、初めての私にも人懐こく近付き、そして慣れてきたら、私の乳房に手をやった。まだ、20代前半だった私はとても戸惑い、同時にとても嫌悪感を覚えた。私もまだ精神的に大人になりきっていなかった。その男の子は母親の愛情に飢えていて、女の人を見ると、つい、おっぱいに甘えたくなるのだろう。今の私なら、頭でも心でも理解して接してやることができるかも知れないが、当時の精神的に大人になりきっていなかった私は、頭で理解できても、生理的な嫌悪感を感じずにはいられなかった。 公務員になって新人研修を受けている時、私がいた地方では何班にか分かれて、さまざまな福祉施設に実地研修に行った。そのうちの一つが乳児院だった。一泊で行く体験学習である。体験学習というのはあくまでも、こちら側の話であり、その現場にいる子供たちには関係ない。そこに行った女の同僚が、研修の報告の中で、その研修のあり方を痛烈に非難した。 「そこの子供たちは別れ際に言いました。『今度はいつ来てくれるの?』『もう帰っちゃうの?』私たちは無責任な愛情を振りまき、そこの子供たちを裏切っているのではないでしょうか?」 彼女が使った”無責任な愛情”という言葉は私の心に突き刺さり、以来、さまざまな場面でそんな愛情を意識してみると、少なからず目に付くようになった。 昨日は心身ともに疲労がピークに達し、ともすれば無表情で息子に接する瞬間が多かった。気がつくたびに、息子に申し訳なく、情けなく思う。 こんな母親でも息子には必要だろうか? 私は自分の都合で息子に愛情を向けてはいないだろうか? そんな自問自答をしつつ、昔のことを思い出した。
by fussyvet
| 2006-05-19 00:00
| 家族
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