猿害の報道番組にて

 先日、テレビの報道番組である地方都市での猿害について報じていた。その都市を囲む山には猿の群れがいくつかあるのだが、その中の特に一群が住宅街に住み着き、我が物顔で闊歩し、住宅に侵入し、そして人間を襲うなど被害を与えているというものである。実害にあっている住民はその都市の自治体に駆除を要請し、自治体は都道府県に駆除のGoサインを出すよう願い出たが、聞きつけた動物愛護活動家や他の都市の一般市民から駆除以外の解決策を求められ、どうやらその都道府県がGoサインを出せずにいるらしい。

 その件に絡むシンポジウムの場面が出てきたが、興味深いやりとりがあった。

駆除反対者 「人間の姿かたちに近い猿を殺すことを子供たちがどう思うでしょうか?」
住民A 「その子供たちが襲われて怪我をしたりしたらどうするんだ!」
住民B 「動物愛護団体は牛や豚を食べんのか?いっつもそう思うわ。」
駆除反対者 「私は牛や豚を食べますが、猿は食べません!」
住民C 「何にも分かってないくせに!」
住民D 「もう出て行ってもらえ。」

「牛や豚を食べる」と言ってしまった時点で駆除反対の意見は一気に説得力を失った。「私」は猿を食べなくても猿を食べる人もいる。結局は自分がどの動物種に思い入れをしているか、そしてその動物種を守ることとその動物種による実害を駆除により解決を試みることとどちらを取るのかの選択だろうと思う。身に迫っている住民としては当然即時解決できそうな駆除を望む。実際に即時駆除がどれだけ有効なのかどうかはやってみなければ分からない。
 この猿たちはもともと観光の呼び物にと野生の猿を餌付けしたのだが、その餌付けされた猿の子孫だとその報道番組の中では言われていた。それが本当だとすれば、人間の責任で猿に罪はない。個人的には山に戻してやるべきだと思うが、それが果たして可能かどうか。動物を利用することと、後世にどんな悪影響が出るかを予想することができないのならば、簡単に利用するべきではない。この問題の元となった観光のための餌付けをしていた時代は、とにかく経済力をつけることが最優先されるべき課題で仕方がなかったのだろうけれど、こういう問題を踏まえて検討することが可能な現在、同じような問題で同じようなやりとりが数十年後にもまだ繰り返されているようなことだけは避けるべきである。
[PR]
by fussyvet | 2006-03-13 23:55 | 動物
<< どうしようもない弱さ それをさせないような・・・ >>