妊娠36週0日
体格の小さい母親を思いやって、少し早めに出てきた優しい息子と神様の取り計らい 午前4時 尿漏れのような感覚で目が覚める。 後から思えば、これが前期破水。 午前6時 再び濡れている感覚でトイレへ。「おかしいな…。」 午前6時半 生理痛のような痛み。 仕事始めの夫、出勤。 「今日明日中に生まれるかも。お腹痛い。」と真実味なく告げる。 直後に再びトイレへ。出血確認。 「これがおしるしというやつか?」 以後10から12、3分間隔で陣痛。 7:20頃 再びトイレで出血確認。 「こりゃ、ほんものや…。」 落ち着いて病院へTEL。状態を説明し、指示を仰ぐと、 「すぐ来てください。」 7:35 大晦日にまとめておいた荷物を確認。着替えをしてからタクシー予約。7:55に近くのコンビニで待ち合わせ。 7:55 コンビニでスリッパ、コップ、お茶、サンドイッチを購入し、タクシーへ乗り込む。 8:15 普通の顔してタクシーの運転手さんと会話。途中、夫の携帯へ、 「冗談じゃなく、今から病院行くわ。」 と連絡。 病院の救急外来へ。降りる時に、 「えっ、陣痛ですか?頑張って良いお子さんを生んでください。」 と掛けられた声、嬉しい。 すぐ病棟へ。内診により、 「うん、破水してるわ。」 「えー!」 「驚かんでもええ。生めばいいやん。」 「(おっしゃる通りです。)」 ベッドに荷物を置いて、陣痛室へ。次第に痛みが強くなる。 間隔は徐々に5分おきに。 「家の人は来るのか?」「旦那さんに連絡はしなくていいのか?」 と言われ、特別に許可をもらって枕もとの携帯で夫にメール。 陣痛は耐えられないほど激しくなる。涙目になってもがきながら、 「麻酔とかしてもらえないの?」 と助産師さんに哀願するが、 「う~ん。」と言って却下。 まあ、急に無痛分娩にしてって言ったって、普通はそりゃ無理だ。 痛みで気を失いそうになる。 「痛い、痛い!助けて…。」 「良い陣痛が来てるから頑張って。」 と助産師さん。 「(良い陣痛って言ったって…)これ以上痛くなるの?」 「うん。」 本当に死んでしまうと思った。 11時頃 陣痛室からふらふらになりながら分娩室へ移動。 女医さんと助産師さんの二人だけ。 女医さんが怒って、 「場合によっては助けも呼ばないかんし…!」 「ほらほら、ルート(点滴チューブ)!」 「清潔野作って!」 「ほらほら…。」 かわいそうな助産師さん。 分娩台に上がろうとしてる時に人数増える。 男性は一人居たような気がするが、あとは皆女性ばかり。 「腰を上げて。」 「もう少し下がって。」 「バーを握って。」 と指示されるが、痛くて一動作が必死。動けません。 「陣痛が来たら、一番激しいところで息んで。」 と言われるが、タイミングも分からないし、息むということがどうすればいいのか分からない。 「お通じ出すみたいにするの!」 なるほど…。 痛くて呼吸も無茶苦茶になりながら、子供はどこまで出てきているの? やがて息む時の痛みが最高潮になり、酸欠のためか目の前が真っ暗になる。 「目の前が真っ暗になるってこういうことなんだ。本当にあるんだ。」 と涙目で思いつつ、怖くて息みが弱くなる。意識が朦朧とする。 赤ちゃんが酸欠になって危険ということで娩出を助けるため吸引分娩に。 「怖い。ごめんね、赤ちゃん。」 もう、何が何だか分からない。2度、3度と息むたびに痛みと酸素不足で目の前が真っ暗になり、気がついてまぶたを開けると、「ふぅ~、ふぅ~。」と呼吸を促す眼鏡を掛けた助産師さんの顔で我に返って呼吸する。近くに居る人の声しか聞こえない。そして何度目かの息みの後、目を開けたら息子の体がすっぽり出てきたのが目に入った。 「ああ、…。」 朦朧としている中、嬉しくて涙が出てきたことだけ覚えている。 元気な産声、「おめでとうございます。」の声。 飲んだ羊水の吸引を誰かが誰かに怒られながらやっている。 「もうそこ汚染されたことになるんやで…。」 云々。いいよいいよ、ゆっくりやって下さい。ありがとう。 GCU(継続保育室)に行く前に、息子を胸の上に置かれる。泣いていたのが泣き止んだ。お腹の中で聞いたお母さんの心臓の音を分かってくれているの?小声で息子に話しかけた。 「こんにちは。初めまして。苦しかった?大丈夫だった?」 まだ見えない目でこちらの方を見る息子。聞こえてるんだね? こんなかわいい生き物、他にいない。だって、私しかこの生き物にはいないんだ。守ってあげるよ。 早産と吸引分娩の影響は?心配はあるけど、何があったって君を守るよ。戦争になんて行かせない。君を傷つけるものから全て守ってあげるよ。 息子はGCUに入った。後で訪ねたら、すやすや寝ていた。 「抱っこしますか?」 と尋ねられたが、あんまり気持ちよく寝ているので、見ているだけにした。もうさっき、抱っこしたしね。血糖値が40と低めだが、超音波検査等の結果は内臓等に異常がないということ。2日目には同室になって、おっぱいもあげれるかも。退院も一緒にできるかも。 2,636g、46cm、小さめ赤ちゃん。でも、元気に生まれてきたことに感謝。 体格の小さい私の負担を少なくするため、この時期に出てきてくれた優しい息子。これから大きくなればいい。 お母さんは頑張るよ。
by fussyvet
| 2006-01-04 13:06
| 家族
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