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「分かる、分かる。」

 以前、友達も同じことを言っていたので、こう思う人は少なからずいるのだろうと思う。
 話をしている中で、しばしば「分かる、分かる。」と相槌を打つ人がいる。言葉の言い回しは、親しさによって、「分かります。」「分かるわぁ。」に変化するが、とにかく「あなたの言っていること、気持ちが分かる。」という意味である。以前同じことを言っていた友達と言ったが、彼の言葉を借りれば、「何が分かるっちゅうの?」と私は思ってしまう。人によって、経験も違えば、感じ方も違う。似ているかも知れないが、似て非なるものである。それなのに、「分かる。」という相槌は正しくない。この相槌を打つ人には、私は二度と心の内を話さないか、近付かないようにする。他人の苦労や身の上話、簡単に「分かる。」ものではない。「分かる。」という言葉がとても軽い。その軽さに喉に何か詰まったような吐き気を感じる。こういう人に限って、その後に「でもね、私もこうしたんだから…。」とその出来事を克服した勝利者であるかのように”諭し”を続け、話した者を興ざめ、あるいは更に傷付けて追い詰めたりする。あるいは、何か違ったところが出てくると、”分からなく”なり、相手の話を聞かなくなるのだ。薄っぺらさに白けてしまう。
 「分かる、分かる。」という相槌は日常のたわいもない会話の中にちょくちょく出てくる。軽い冗談の中で使われる分には何とも思わない。しかし、もしも相手が何か胸につかえているものを吐き出したくて、ただ単に聞いて欲しくて話しているのならば、簡単に「分かる、分かる。」などと相槌を打つものではないと思う。「お察し」したり、「分かるような気がする」ことはできても、人の人生の一部を簡単に「分かる」ことはできない。もしできるという人がいたとしたら、それはとてもおこがましいことである。
by fussyvet | 2005-12-21 11:53 | 徒然
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