母校のこと、その他の獣医系大学のこと

 私は母校での動物を用いた実習、特に外科実習にはいい思い出がない。そこの教授は封建的で男尊女卑で頭が悪い癖に地位に物を言わせ、いや、その逆で寧ろその地位がプレッシャーになっている反動で、学生を「うるさい、黙れ!」方式で押さえ込むことしかできない人だった。

 今、先日、日本動物実験代替法学会に来ていた(少なくとも去年、一昨年は来ていなかったが)母校の薬理学の教授が、教育現場における生体を用いない教材に関心を示し、とても前向きにいろいろ考えていると聞いた。その先生は、私が学生時代に助教授として教えていただいたが、当時神的な教授の下でおとなしく、しかし真面目そうな印象のある先生だった。その先生を卒業後初めて見たのは、2002年だったかの日本獣医学会での「教育現場における動物を犠牲」をテーマにしたシンポジウムで進行役の一人として前に立っていた姿である。学生時代、その先生がそのようなことに関わるとは予想さえしなかった。その時は、順番で頼まれてやっているのだ程度にしか私は捉えていなかった。
 しかし、その先生が具体的に考え始めてくれているとは、本当に嬉しい驚き、それから感謝、そして願いでいっぱいになる。軒並み偏差値が医・歯学部より高くなった現在の学生達を相手に、実験に用いる動物の倫理的問題について指摘され、教官として苦しい立場にあることも伺い聞いている。それでも、頭で押さえつけるだけの封建的教官と違い、この先生は自分も一緒に悩んで考える道を選択しているのだと思ったら、卒業生として本当に嬉しい。

 先日の日本動物実験代替法学会において獣医学教育における代替法について学生達によるシンポジウムが行われた。ある学生は、解剖実習について各大学にアンケートを取ろうと依頼したが、回答を拒否された。また別の学生は外科実習について尋ねようと各大学の外科学講座教官にコンタクトを取ったが、某旧国立大学の助教授は
「お前はどこの学生だ!」
といきなり怒鳴ったそうだ。最初、その話を聞いた時、私は母校の外科の教授じゃないかと思ったが、違っていた。その学生に寄れば、私が最悪だと思っている母校の外科の教授は、寧ろ真摯に対応してくれたという。一瞬、「改心したか?」と思った。建前だけそうなのか、あるいは本当に真摯に考え始めたのか…、ここで考えていても仕方がないので置いておく。が、もしかしたら、本当に母校も獣医学部での動物の犠牲について真摯に考え始めているのかも知れない。パフォーマンスでなく、本当にそうならば…、母校の薬理学の教授のように皆考えてくれたのなら、こんなに嬉しいことはない。私もこれ以上、批判をする必要がなくなるかも知れない。本当にそうなって欲しい。

 母校ではない、某旧国立大学の外科の教授みたいなのは今でもわんさかいるのは事実。しかし、そんな地位に物を言わせるだけで考えることを知らない教官はとっとと淘汰されて、一刻も早く新しい時代が国内の獣医系大学にも訪れること、動物が好きで獣医になろうと入学してくる学生がこれから先も存在するのならば、そんな新しい時代が訪れてくれることを一心に祈ろう。
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by fussyvet | 2005-12-10 20:02 | 動物
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