データ捏造事件

 いつか書こう書こうと思って、早何ヶ月も過ぎてしまった。旧帝国大学医学部を舞台にしたデータ捏造による論文取り下げ事件。ありもしないデータを捏造したのは学生だが、当然指導教官によるチェックは行われていたはずであり、指導教官の「知らぬ存ぜぬ」という言い逃れはきかないはずなのだが、その後どうなったことやら。当該学生から指導教官への多額の寄付金もあったようだし、かなり「白い巨塔」臭い。ま、こういうことはちょくちょくあることなのでニュースを聞いた時は、
「たいそうなところが、たいそうなことをしでかしたな。」
と思っただけだった。
 断っておくが、多くの研究者は真摯に実験を行っている。が、たまにこういうどこの世界にでもいる気の弱い野心家が潔くない事件を起こす。お陰で周辺の研究者の信用は丸つぶれ。同じ研究機関が同じ科学雑誌、あるいはそれと提携した雑誌に今後投稿しても「あそこだから。」ということで怪しまれてしまう。いくら真摯に実験して得たデータであっても、またいくら使用された実験動物の苦痛に配慮して行われた実験であっても、そのデータも犠牲になった動物の命も無駄になってしまうのだ。
 唯一の救いは、この事件では存在しない架空のマウスを用いた捏造データが使用された、つまりこの捏造事件自体で無駄に犠牲になった動物はいないであろうことだ。おおっ!捏造データにより論文が採用され、科学の発展につながるのなら、まさに動物実験の3R、Reduction(使用動物数の削減)、Replacement(生体を用いない実験手法への置換)およびRefinement(使用動物の苦痛削減)ではないか!めでたいっ!お金のある研究者は上司に大枚を上納して、じゃんじゃんデータ捏造しようっ!
 勿論、大いなる皮肉である。
[PR]
by fussyvet | 2005-12-07 09:47 | 動物
<< アメリカに渡った動物のお医者さ... ディベート >>