8月24日(水)
全体講義5 「欧州の3R実践におけるECVAMの進捗状況」 Thomas Hartung:ECVAM, Institute for Health & Consumer Protection, Joint Research Center, European Commission, イタリア 1977年以前日本は一群につき10匹、他国は5匹のマウスを使用していた。また、ドレーズテストに至っては一群6匹に24時間暴露する方法を取っていた。現在は変わってきている。 欧州では毎年総数にして1,070万匹の動物が実験に使用されている。代替法はまだ完全に動物実験を置換するだけのものではない。ある代替法で、陰性適中率(害を及ぼさない)は85%(正確性は98%)、陽性適中率(害がある)はおよそ同じくらいだが正確性は51%しかない。 Parallel Sessions/Workshops ・Computer-based Alternatives in Education コンピューターを利用した教育現場での代替法に関するワークショップ。細胞毒性学、生物医学からWebでの利用サービスまで。 ・Specific Animal Models and Refinement 遺伝子改変動物、神経科学分野で用いられる動物、外科的に局所虚血を生じさせられた動物、人工的に関節炎を惹起された動物、ペット用飼料開発のために用いられる動物など、よく実験動物が用いられる分野の動物たちの福祉に関するセッション。 ・Policy Implementation 各国での3Rに関する政策実施についてのセッション。安全性試験、化粧品開発、その他の分野での動物の福祉について。 ・Information Retrieval – Search Strategies 代替法や3Rに関する情報検索についてのセッション ・New Approaches to Risk Assessment (ESTIV-Symposion) 各種毒性試験に関してリスク評価の新手法についてのセッション。 ・Toxicogenomics – Potential, Validation, and Case Studies 遺伝子に絡む機構解明のレベルでの毒性研究において、薬物の毒性試験への応用や、バイオインフォマティクスの活用、データベースの利用など、新世代代替法としての可能性に関するワークショップ。 ・Novel Cell Culture Techniques 目新しい細胞培養法のセッション Lunchtime Forum 「回顧-経験的声」 ※このフォーラムには参加できませんでした。 Parallel Sessions/Workshops ・Humane Endpoints 実験の人道的な終点についてのワークショップ。エンドポイントの見極めは実験動物専門医にとって、麻酔法や鎮痛法と並んで重要である。このワークショップでは、生物医学的研究、感染症実験におけるエンドポイントについて、およびエンドポイントの指標としての尿中物質について講義が行われた。 尿中のDMHという物質の増加がエンドポイントの指標となるか?マウスの腫瘍増殖実験において肺転移をCTやMRIなどの画像で評価することによりエンドポイントを決定できるか? 感染実験においては化学的実験ほどエンドポイントの指標となるものがない。その他telemetryを用いた手法等についての紹介。 ボツリヌステストというボツリヌス菌が出す毒素についての実験があるが、これはLD100(全てのマウスが死ぬ濃度)が必要となっているため、死ぬまで見届けなければならない。死にかけていても生き返るかも知れない可能性があるため、例え死ぬことを予想できたとしても、である。この実験でstage1の病状は背中を丸めるハンチングバック、ラッフルヘアー(逆毛)の段階では生き返る個体があり、これらの症状が見られたからと言って致死であるわけではない。しかし、更に進んだ症状では生き返る個体はなく、それらの症状が認められたならエンドポイントとしても良いのではないか? その他、動物のケアについて討論があり、18時から翌朝8時までの間、マウスのケアを交替で行う機関は3割程度、イヌでもう少し多くの機関が行っていることが分かった(会場挙手による調査)。エンドポイントについてはまだまだ主観に頼るところが多く、客観的指標と合わせて判断していく必要がある。 ・Ethical Review- Good Practice and Outputs 各国の倫理的な実験動物の取り扱い、苦痛の分類等についての現状についてのセッション ・Search Strategies- User Requirements 有効な代替法について、国際的展望についてのワークショップ。どのような方法でいくか。規制に準拠していくにはどうしていったらいいか。 ・Advancements and Needs for Developing and Validating Alternatives for Ocular Irritancy and Corrosivity Testing 眼刺激性および眼腐食性試験の代替法発展・確認の進展と必要性についてのセッション。ICCVAM、ECVAMなど評価機関の発表を中心にして。 ・Strategies for Priorotizing and Streamlining the Valiation 代替法評価の過程整備のための方法についてのワークショップ。欧州の代替法評価機関であるECVAM初め各国の発表。 ・In vitro Metabolism: Applications in Pharmacology and Toxicology 生物の代謝作用がin vitro(生体内でない、細胞レベルや試験管内での実験)において、どう評価され、それを薬学や毒性学上どう解釈していくのかについてのワークショップ。生物の体内で起こっている生理学的現象を試験管内で再現し、評価するには所詮無理があるが…。 ・Non-Genotoxic Carcinogenicity: Mechanistic Perspectives for Alternatives 非遺伝毒性発癌性について代替法でそのメカニズムをどう評価するかについてのセッション。
by fussyvet
| 2005-09-25 20:16
| 動物
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