第5回国際動物実験代替法会議 2日目

8月22日(月)
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Opening Ceremony
Horst Spielmann: ドイツ連邦リスクアセスメント研究所科学部長、動物実験センター長兼ドイツ動物実験代替法ドキュメンテーション・評価センター(ZEBET)長
Renate Künast:ドイツ連邦消費者保護・食料・農業省長官 等
 RusselとBurchが1959年に動物実験の3原則 Reduction, Refinement および Replacementを唱えてから、この今日3Rと呼ばれるものが浸透するまでに17年かかっている。今回の代替法会議には全6カ国が参加(日本はアメリカ、英国についで多い60人が参加)。食品添加物の動物実験がEUでは改善されてきている。EUでは若年層ほど動物福祉に関心を持ち、商品の製造過程を重視する人が多い。タバコ、化粧品についてはEUでは2013年から動物実験を行って開発された商品を市場に出すことが禁止されること。

全体講義1
「類人猿を用いた研究の終わり」
Jane Goodall:The Jane Goodall Foundation, アメリカ
 演者はチンパンジー研究で著名な博士。チンパンジーがいかに個性的で、情緒豊かで、知的な動物であるかを自らの研究を元に講演。

Parallel Sessions/Workshops
・Refinement and Reduction Alternatives in Education: Teaching Humane Science
 主として大学内での動物実験において、実験動物技術者、研究者に人道的な実験のあり方をいかにトレーニングするかについてのセッション。実験動物への麻酔・安楽死にライセンスを要する国もある。共通する見解は、実験動物はトレーニングを受けた者が扱うべきであるということ。ただ、個々人の質についてバラツキがあることは問題点として挙げられよう。教育現場でCDを用いた講義はあるが、生理薬理学の教育では使用できない段階である。
 学生の中には動物権利論支持により解剖を拒否する者もある。屠畜場から採材された材料を用いたりする代替法が取り入れられている大学もある。問題点は指導教官側に“時間が足りない”こと。
 会場からの質問で、アメリカの学生と思われる聴衆から、どうしたら指導教官に解剖を止めさせられるかということがあった。

・Environmental Enrichment and Housing Standards
 実験動物の飼育環境改善とその基準、重要性、研究に与える影響等についてのセッション

・Influencing and Making Public Policy
 各機関における動物実験に対する公共政策についてのセッション

・Mechanisms of Chemically- induced Ocular Injury and Recovery : Current Understanding and Research Needs
 眼毒性試験における代替法のワークショップ。ウサギを食用としている国(ドイツ)では屠殺されたウサギの眼球を用いる方法もあった。一部、生体を用いた試験により生体を用いない試験の評価を行った発表には、北欧の動物愛護運動家から「なぜ、過去の文献を検索して用いないのか?」と批判的意見あり。

・QSAR Acceptance and Implementation
 QSAR (Quantitative Structure-Activity Relationships: 定量的構造活性相関)という、化学構造や物理化学的特性と生理活性の相関関係から、統計的手法を用いて活性予測モデルを構築する方法を用いて毒性評価等に動物実験代替法を取り入れようとする取り組みに関するセッション。

・Stem Cell Technology
 様々な組織へ分化する機能を有する幹細胞を用いた代替法のセッション。肝細胞、神経細胞毒性評価に応用できそうな代替法などの研究紹介。ただ、ヒトの幹細胞を用いるのは倫理的な意見の一致がなく、障害が高いようにも感じる(私見)。

・Replacement Alternatives in Education: Animal-Free Teaching
 教育における動物を用いない授業についてのセッション。医学部、獣医学部に関する発表が多いよう。

・Pain, Welfare & Analgesia
 実験動物への鎮痛剤の投与に関する研究と実験動物の苦痛の評価方法に関する研究のセッション。局所麻酔の是非、ゲルを用いて徐々に長く効果を保たせる鎮痛剤、ラットが発する20 kHzの超音波が苦痛の指標になるかどうか等々。

・Establishing the 3Rs Principle around the World
 各国における3Rの達成度についてのワークショップ。

・Strategies for Using Non-animal Methods in Relation to Chemicals Legistation (HPV, REACH) and Endocrine Disruptors
 化学物質規制および環境ホルモンに関する生体を用いない方法論についてのセッション。

・Challenges in Food Toxicity Testing
 貝毒、食品添加物や遺伝子改変農産物など食品の毒性試験における代替法の取り組みに関するセッション。

・Biokinetic Modelling in Silico
 コンピューターシミュレーションによる薬物の体内動態モデルに関する代替法のセッション。

・Innovative Approaches for Alternative Methods Development
 代替法開発の革新的なアプローチのセッション。血清を用いない細胞培養法を用いた検査方法やヒトの肺の細胞を用いたタバコ毒性の試験、遺伝子レベルでの解析等。

全体講義2
Systems Biology and the 3Rs
Decio L. Eizirik :Universite Libre de Bruxelles, 実験医学講座, ベルギー
 I型糖尿病の研究における生体を用いない方法について。
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by fussyvet | 2005-09-01 17:16 | 動物
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