動物実験を縮小する一方法

 動物実験の規模を縮小させる強力な方法の一つは法律による規制である。今回の動物の愛護および管理に関する法律の改正では研究者からの反発が強かったのだろう。動物実験に関する規制はほとんど盛り込まれなかった。
 ところで、既に動物実験については他の社会活動と同じで既にさまざまな法律の影響下にある。その法律の一つが薬事法だ。薬事法は麻薬や向精神薬などの管理について厳しい規制を設けている。そのため、動物実験に用いる麻酔薬や鎮痛薬の多くも医師、獣医師、薬剤師の資格を持つ者だけが管理を許されている。逆に言えば、これらの資格を持つ者がいなければ、法規制の対象である麻酔薬や鎮痛薬を管理することはできないのである。
 医学部、獣医系学科、薬学部には上記3つのうち一つを有する者が必ずいる。だから、管理の実態もずさんではないわけではないが、とりあえず法的には体制が整い問題がない場合が多い。しかし、工学部、理学部、文学部、そして獣医系学科でない農学部の学科などではどうだろうか?医師、獣医師、薬剤師の資格を持つ者を麻酔薬の管理のために雇っていなければ、そこでは薬事法が規制対象とする麻酔薬を扱えない。しかし、動物実験はそれらの学部内でも行われている。これらの学科では麻酔を必要としない動物実験しか行われていないのであろうか?あるいは、麻酔薬を用いずに全ての処置を行っているのであろうか?だとすれば、動愛法に違反している。あるいは、麻酔薬を管理できる資格を有する者がいないのに、“違法に”麻酔薬を取り扱っているのだろうか?情報公開請求をすると興味深い結果が出ることだろうと思う。大学内にいる人間は社会性に乏しく、法にも疎い。無法地帯に近いところがある。

 傍目に残酷に見える実験でも、麻酔薬を用いて苦痛を感じさせず、そのままその動物を覚醒させずに安楽死させるのであれば、非人道性は低い。しかし、動物の麻酔について知識のないまま、実験を行えてしまうのが今の国内の現実である。イギリスなど他の先進国には現在、講義や実習を受け、認定された者でないと、動物実験に着手できない国がある。日本ではそのような動物実験に関する資格認定制度がないために、留学先で動物実験をやらせてもらえないことが分かり、慌てふためく者もいるくらいである。動物の麻酔方法すら知らない者が動物実験を行うべきではない。
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by fussyvet | 2005-08-04 12:13 | 動物
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