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親の愛など脆いもの

 私が生まれ育った家庭も傍目にはごく普通の家庭に見えていたはずである。けれど、私の心の中は父親に対するどうしようもない憎悪でいっぱいであった。「あいつさえいなければ幸せなのに…。」
 私とは反対に妹は傍目には父とうまく、いや寧ろ仲良しであった。それは父が私とのことを反省材料にしたのと、妹がそこへうまく填ったからだと思う。妹が幼い時、何かの時に母が父に「そんなことしたら、また失敗するよ。」と言った。私はとっさに「失敗するよ」の警告の中身が私のことを踏まえていると悟った。「どうせ、失敗作ですよ。」と言った私に、後から母がフォローに来たなんてこともあった。
 父親がいなくなればいい、殺したいほど憎いと思ったが、実行に移すまでには至らなかった。父がいなくなったら、父とうまくいっている妹は悲しむだろう、私が殺せば母は人殺しの親になってしまう、ここで父など殺したら私の人生はメチャメチャになってしまう、そんなのはもったいない…理由はさまざまある。私は父が自然に早く死んでくれることを願った。
 けれど、私に父と仲の良い妹もおらず、母が毎日辛くて死にたいと言い、私自身にも将来の夢がなかったならどうだっただろう?この子は15にして全てに絶望していたのではないか?私もそうだったら…?どうせ人間の目には、「普通の幸せそうな家庭」にしか見えない家庭の悩みは神様にしか分からない。「親のない子もイエス様は守ってくれる、元気を出して」という赤鼻のトナカイの歌詞があるが、親がいても絶望の淵にいる子だって守ってくれる。重い十字架を背負ってしまった彼に神の愛が届きますように。同じように夢も希望も持てずにいる子供は五万といるだろう。痛い。


 因みに今の私と父はお互いにたどたどしくて不器用ではあるけれど、悪くはない関係である。人生の先輩としてアドバイスを求めたりもしている。大人になってから、私の中に、どうしようもなく父親そっくりな面があることが分かったのと、神が私の罪を教えて下さったお陰である。
by fussyvet | 2005-06-23 18:49 | 家族
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