幼若動物を販売することの弊害

 今週の月曜日、2005年5月30日にNHKで放送された「クローズアップ現代」を見た人はいるだろうか?タイトルは「ペット大暴れ、悩む飼い主」である。ペット飼育本の通りにしつけをしてきたペットの飼い主が、いきなり愛犬にかみつかれるようになって困惑する事態を取り上げている。その飼い主に共通するのはいずれも幼い純血種の子犬を”買った”ことだ。
 ペットビジネスは2兆円産業である。産業であるからにはたくさん売らなければ商売にならない。だから、だれかれ構わず売りつける。ちなみに海外のシェルターでは飼う資格についても審査され、一人暮らしで家にいる時間が少ない者は飼うことができない。上記の番組中、問題行動の認められた犬の飼い主の一人はまさにこの一人でマンションに住む忙しい人であった。自分のホームページにも書いたが、動物を一匹飼うということは子供一人を育てるのを同等、あるいはそれ以上の厳しい条件がいる。子供が夜泣きしても近所からの苦情により保健所に持ち込まれて処分されることはないが、犬が夜吠えれば保健所行きを余儀なくされることが多い。また、子供が生まれたら一日ずっと一人でマンションに留守番させれば「ひどい親」「幼児虐待」ということになるが、犬はずっと一人でマンションに放っておかれても何とも思われないことが多く、そのためストレスにより問題行動や疾患を発症するのだ。
 動物の問題行動には更に性格形成に大切な時期である生後1,2ヶ月齢に親や同腹仔と引き離されてしまうことにより、成熟した性格になれないことにも因る。生後1ヶ月はぬいぐるみのようで見た目にとてもかわいい。2ヶ月はやんちゃ盛りでこれまたかわいい。可愛ければ、よく売れる。逆に言えば、可愛くなければ売れない。だから、犬の人格形成など考えず、人間にとって都合のいい「可愛い」時期、すなわち生後1,2ヶ月で親から離され、”出荷”されるのである。これが、ペット産業が商売として成り立つための条件である。
 じゃあ、少なくとも生後2ヶ月は出荷せずにおけばいいではないか?そうその通りだが、それでは余分に餌代がかかってしまうし、前は一年に5回も6回も妊娠出産させて商品である子供を取り上げて売ることができたのが、一年にせいぜい3回くらいしか生ませられなくなる。これでは商売にならない。………そう、本来ペット産業など専業では商売にならないはずなのだ。それが平然と商売になってしまっているこの国がおかしいのだ。

 私はまもなく母になるだろう。自分の意思で母になるのだ。誰からも「生ませられる」わけではない。しかし、動物は違う。母体は商品製造器であり、意思に反して妊娠出産させられ、子供を取り上げられ、また妊娠出産させられ…使い古しの機械なのだ。ペット、ペットとブームにしているのはマスコミ、生産者、そしてそれを何も知らず無邪気に買ってしまう人たちも実は同じなのだ。お願いだから、この流れを止めて欲しい。お願いだから、保健所や愛護団体には無料でペットになれる動物たちがいることをもっと多くの人が知って欲しい。同じ命、伴侶動物になるのに何の違いもないのだ。

※動物愛護団体から譲渡に際しては、飼育者としての資格審査があります。
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by fussyvet | 2005-06-02 07:29 | 動物
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