憂さ晴らし

 研修も終わり、レギュラーとして入った一日目にいきなり興味深いことが起こった。今の職場はカラ出張やカラ残業で叩かれている自治体の外郭団体が運営している。その自治体の職員ではないのに、そうだと勘違いしている市民が多い。そのために起こるトラブルがとても多いとは聞いていた。
 その夜、その酔っぱらったおじちゃんはやってきた。いろいろといちゃもんをつけた後、正職員の男性が私に「後ろを片付けて下さい。」と帰宅準備を促したのを警察に通報するように言ったものと勘違いしたのかも知れない。その直後に、出してあった分厚い時刻表でその男性職員の頭を叩いた。彼は鼻に擦り傷を負った。告発すれば「傷害罪」である。
 大丈夫ですかという私の問いかけに、彼は動じずに言った。
「叩かれたのは初めてです。いろいろ今ニュースであるからねぇ。直接僕たちが不正をしているわけじゃないのに、憂さは僕たちに回ってくる。おかしな話だと思いながら、こちらが強く出れば、また問題になりますから。」
以前自身が下っ端公務員であった私は彼の気持ちがよく分かる。大きな組織の一部の不正について、その組織の表に現れている職員に憂さ晴らししたって仕方がないことだ。

 保健所に勤めていた時、同僚が言った。
「動物愛護団体の人から『あなたはバカです。』と言われた。」
賢く、力を持った自治体職員はいない。末端の職員に言っても仕方がないことが多い。議員や局長級以上の権力者に声を届けるのが一番いい。あるいは大きな力を持っている圧力団体にだ。しかし、最後の一つは奨励しない。動物を利用したい業界も大きな圧力団体であり、同じ”力”という方法を利用すれば、自分たちも同じ穴の狢になってしまうから。
 それでも、最後の最後の手段として、私もそんな方法を使いたくなってしまう時がある。しかし、それをしてしまうと後がないと思うから、自分を抑えているのだ。だから、動物を取り巻く現状を憂いている人も正攻法で攻めて欲しい。
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by fussyvet | 2005-03-09 12:29 | こうして社会は回ってる
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