動物実験代替法を人体実験代替法と言い換えることについて

最近、動物実験代替法を人体実験の代替法と言い換える傾向が散見されます。最初、この人体実験代替法という言葉の代替を見たとき、ピンときませんでした。それどころか、普通の人だったら、この言葉を見たときに「大丈夫かな」という感想を持つんじゃないかと思います。

そもそも動物実験は必要ないという考え方に由来するのだと思いますが、今回はこの「人体実験代替法」という言い換えに対して少々批判を加えたいと思います。

動物実験にも数々あります。しかし、その批判の急先鋒がターゲットとするのは医薬品、農薬等の承認に係る非臨床試験ですが、これ自体が既に人体実験代替法であり、そのことは医者や研究者は既に承知のことです。ですから、「人体実験代替法」という言い換えに対して、彼らは「何を言ってるんだ」と呆れるはずです。

さらに、獣医系大学、理学部などヒト以外について研究を行っている教育機関の動物実験は、人体実験の代替法ではありません。だから、「動物実験代替法」を「人体実験代替法」と言い換えることで、逆に獣医系大学、理学部などの動物実験を自ら除外し、動物実験代替法の範囲を狭めてしまうことになります。動物実験代替法学会には獣医系大学の研究者も少なからず参加しているのに。

本当に動物実験をやめさせたいのであれば、「人体実験代替法」という言い換えは止めた方がいいんじゃないかなと思います。あえて言い換えるのであれば、「生体実験代替法」でしょう。これなら、動物実験の苦痛のカテゴリーB以上の動物実験がほぼ全て含まれることになります。あまり意味がないどころか、動物実験の縮小にとって逆効果になる言葉に言い換える必要はないだろうと思うわけです。

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by fussyvet | 2011-02-14 19:37 | 動物
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